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「グラン・トリノ」偏屈ジジイの最後の決断

2009-05-05 00:09:59 | ミニシアター系映画
「グラン・トリノ」★★★★☆
クリント・イーストウッド 出演
クリント・イーストウッド 監督、2008年、117分、アメリカ




「思ったままを口にし、
周囲の人たちを傷つけてしまい、
最愛の妻を亡くして、
息子達からも疎まれる老人を
クリント・イーストウッドが演じている」



隣に越してきたベトナム系の家族を
「米食い虫」と呼び
「クロ」だとか「イエロー」だとか、
差別用語のオンパレード、
でも見ていると分かってくる
彼にはその言葉にそれ以外の含みは無いことだ。

「そういうことは言ってはいけない」と
思っていても口には出さず
人種差別なんて考えられないと
表面上でにこやかに笑う気持ち悪い
博愛主義者もどきが見たら
顔がこわばってしまうだろうな。

もちろん面と向かって言われたほうは
気分悪いにきまってるけれど。

それでもそんな風に生きていては
他者とうまく関われるハズも無く、
奥さんが生きていた頃は彼女が
間に入ってうまくやってくれていただろうに、
その大切な役目をしてくれる人を亡くして
主人公の毎日は淋しいものとなってしまった。

夕暮れ、玄関ポーチでビールを飲みながら
ピカピカに磨き上げた
自慢の車グラン・トリノを見る、
穏やかな時間、
車の組立工として30年以上働いたご褒美だ。


彼の今の暮らしを「淋しい」ものだとしたら、
何のために毎日毎日車を組み立て、
やっと手に入れた家で、
ひとり孤独に過ごす「老後」は
一体何を意味することになるのだろう。

ベトナム系の少年との交流、
そしてどうしようもなく存在する「邪悪」に
立ち向かう主人公。

ラストはかつてダーティファイターで
銃を撃ちまくったイーストウッドの
ひとつの答えなのかもしれない。
ただラストにはどこか明るいものを期待したいから、
別のラストを用意して欲しかった。

イーストウッドの雄姿に心が熱くなる、
こんなふうに新しい作品を生み出す情熱に
胸が熱くなる。


★100点満点で100点★


soramove
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もうこれが最後かと思わせるイーストウッドの姿、
でもこうして新作を作り続ける情熱を感じて
それだけで嬉しくなる。

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