HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

お仕着せのクールビズは不要。

2011-06-20 15:39:11 | Weblog
 東日本大震災、原発問題により、この夏はスーパークールビズを業界ははやらかそうとしている。
しかし、アパレルメーカーが急に「今年向けの商品」を手配できるはずもなく、小売り各社には諦め
ムードが漂っている。
 そもそも、クールビズとは、環境省が2005年に始めたキャンペーンだ。オフィスは夏場でもスー
ツ&ネクタイスタイルで仕事ができるように、室温を22~23℃くらいまで落としていたが、これが
異常に電力を消費する。
 そこで、28℃くらいまで上げる変わりにウエアも軽装にしようと始まったものだ。まあ、デスク
ワークがメーンのOLさんらは制服では寒いため、カーディガンは放せない人もいたのだから、おか
しな話しである。これも男性中心に冷房温度が設定されたいたようはきらいはある。
 ただ、今年は原発問題で夏場の電力が逼迫するのは目に見えているので、電力を使う側から温度
設定や軽装に心がけようということで、業界も「スーパークールビズ」で、一山当てようと乗り出
したようだ。
 もっとも、日本の夏が蒸し暑いのは有史以来から決まっていたことで、奈良時代以降、中国から
着物が伝わると、襟元や袖口を広げて日本の気候にあうようにアレンジしていった。それが日本な
りのファッション文化を醸成していった。
 ところが、明治以降、西洋文化のスーツスタイルが伝来し、ビジネス用の戦闘服として日本社会
に根付いていった。そもそもテーラードスーツの日本名、「背広」はロンドン仕立て屋街のサビル
・ロウに由来するという説があるように、ここらの気候、西岸海洋性(最暖月平均気温が10℃以上
22℃未満)で生まれたファッション文化。つまり、元来、温暖湿潤気候、特に夏が亜熱帯化してい
る昨今の日本にあうわけがない。
 だから、日本の夏のビジネスウエアは軽装であるべきなのだ。丸洗い可能ウールスーツやネクタ
イOKのポロシャツなんかの前に、「ジャケットを脱ぎ、ネクタイをはずせ」ばいいのだ。それじゃ、
仕事ができないという意見もあるようだが、加齢臭が気になるおっさんが汗臭いドブ鼠ルックで外
回りする方が、かえって取引先に迷惑ではというのが筆者の意見。
 内勤にしても、ボタンダウンのシャツにコットンのパンツ、ラウンドトゥのローファーなんかで
十分。あとはファッション業界側が生地や色、シルエット、デザインでトレンドを打ち出せばいい。
アロハは、破れたジーンズは、ショートパンツはとか、メディアが勝手に基準を作り、型にはめよ
うとし過ぎだ。
 むしろ、着こなしのルールは「自分の判断で決める」。ビジネスの世界で仕事をしているだから、
それくらいの判断ができて然るべきだ。「若者はやせているから軽装が似合うが、中年になるとメ
タボが気になって」なんていうのは、言い訳に過ぎない。
 部下に対し日頃から「仕事は自分の頭で考えてやれ」と言っている上司が「自分で夏のビジネス
スタイルを考えられない」でどうするのか。ファッションは自由なものだ。だから、暑い夏にはベ
アルックが登場する。ところが、これとビジネススタイルをごっちゃにするからややこしくなって、
型にはめたくなるのだ。
 クールビズなんか提唱する前に、暑ければ脱ぐ。その着こなしバランスを考えるのが個人のセン
スであり、能力だ。仕事のできる人間なら、きっと考えきれるはずである。
コメント
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