昨年10月、福岡県商工部の中小企業振興課が「FACoブランド販売力強化事業」を公募した。これは福岡県と福岡商工会議所が中心となった福岡アジアファッション拠点推進会議が主催するファッションイベント、福岡アジアコレクション(FACo)を告知する「紹介パンフレットとDVDの作成」を行なうものだった。
国から資金が拠出される「雇用創出事業」であったがゆえ、委託事業者は「パンフレット及びDVD制作」のスタッフとして10名を雇用し、制作期間は15日との条件付き。業者にはRKB映画社が選定されている。ここまでは正当な手続きを踏んでいれば、何も問題はない。
ただ、この事業がその後どうなったかである。新年度に入った5月時点で情報公開されていなかったので関係者にたずねると、担当部署の課長から「(当該事業は)FACoの海外向けの資料になり、英語、中国語、ハングル、タイ語でのみ制作している。海外からの問い合わせあったときや、海外に行ったときに使用するものなのでHPなどで公表をしていない」という回答が返ってきた。
しかし、この回答を含め、事業を見ると二つの問題が浮上する。一つはFACo自体の公共性である。FACoは「福岡のファッションを発信するファッションイベント」という手段の正当性はあるが、企画制作は地元ローカル放送局のRKB毎日が行い、イベントの実施運営は似たような神戸コレクションを行なっているイベント会社のアイグリッツに丸投げ、ショーにメーンで出演するタレントは東京の芸能事務所からやってきている。
福岡のファッション業界が関わるのは、タレントが着る衣装の提供と残りのモデル、ヘアメイクやフィッターなどの裏方スタッフのみだ。チケット販売やスポンサー料、行政の補助金による収益からはイベント運営の経費が差し引かれ、残りの大半は前出の関係者三社によって利益として按分されている。
衣装の提供といっても、一部のアパレルやSPA、個人デザイナーの作品のみに限られ、福岡ファッションの大部分を占める小売業者の支援やプロモーションにはなっていない。にも関わらず、昨年までは福岡県と福岡商工会議所が2000万円程度の資金を拠出し、さらに福岡市までもが支援。開始から4年が経過しても、情報発信の能力がいまイチのためか、「パンフレット及びDVD制作」にまで資金が出されたわけである。
はたして民間の「客寄せ興行」とほとんど変わりないものに、そこまで行政が支援する必要があるのかは甚だ疑問である。またパンフレット及びDVDによって、仮にアジアからオファーがあったにしても、まず最初に行なわれるのはファッションイベントである。
イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なえると言っても、それから実販に至るまでには相当の時間と営業努力が必要になる。その資金は各ファッション企業持ちなのだ。なのにイベントに携わる三社には行政からの手厚い支援と、収益というメリットが転がり込む。
つまり、「イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なえる」は大義名分に過ぎず、「イベントは福岡ファッションの情報を発信する手段」というのも、イベントで収益をあげたい業者の思惑や自分たちを正当化する言い訳に思えてならない。
4年目の今年から福岡商工会議所はFACoに資金を出さなくなっているが、福岡県や福岡市の支援は続いている。一部の民間企業の「事業」収益のためにである。おそらく、福岡商工会議所としては、「早くビジネスモデルを確立し、自分たちの手だけで行なえ」ってスタンスだろう。ならば、FACoそのものに公共性は、それほどないってことになる。
もう一つは、FACoそのものの情報発信である。県は「海外からの問い合わせあったときや、海外に行ったときに使用するものなのでHPなどで公表をしていない」と回答した。しかし、FACoの母体である福岡アジアファッション拠点推進会議は、発足時に「官民が一体となって福岡ファッションのを積極的に世界に発信する」という役割を公言している。
なのに、その一つである「イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なう」FACoで、事業資金を拠出している県側が「パンフレット及びDVD制作」を積極的にPRしない意図がわからない。
在庫に限りがあるから、問い合わせが殺到すると困るというなら、別に現物の「完パケ」や「印刷物」を作る必要はない。推進会議のサイトや同じく国の緊急雇用基金2700万円を使用して制作し、ほとんど活用されていない「Fashion Site Fukuoka」に動画機能を付けたり、ジャンプページは増やせばいいだけの話しである。
さらに福岡に数多く居住する英語圏、中国、韓国ほかアジア諸国の外国の方々に協力を願えば良い。 この人たちが口コミやツィッター、ブログなどで積極的に福岡ファッションの情報を発信してくれれれば、パンフレットやDVDには負けないPR効果があるはずだ。情報発信でやることはいくらもあるに、なぜか場当たり的で一貫性を欠いている。
ただ、「パンフレット及びDVD制作」は、紛れもない公金を使った公共事業である。まずそれを管理掌握する福岡県が物件の完成結果を公に報告しないのは問題である。また、推進会議も事業の企画立案から運営管理、広報までを担っているはずなのに、県のディスクローズ体制に異を唱えないのは、活動に歪みが生じているといわざるを得ない。
国から資金が拠出される「雇用創出事業」であったがゆえ、委託事業者は「パンフレット及びDVD制作」のスタッフとして10名を雇用し、制作期間は15日との条件付き。業者にはRKB映画社が選定されている。ここまでは正当な手続きを踏んでいれば、何も問題はない。
ただ、この事業がその後どうなったかである。新年度に入った5月時点で情報公開されていなかったので関係者にたずねると、担当部署の課長から「(当該事業は)FACoの海外向けの資料になり、英語、中国語、ハングル、タイ語でのみ制作している。海外からの問い合わせあったときや、海外に行ったときに使用するものなのでHPなどで公表をしていない」という回答が返ってきた。
しかし、この回答を含め、事業を見ると二つの問題が浮上する。一つはFACo自体の公共性である。FACoは「福岡のファッションを発信するファッションイベント」という手段の正当性はあるが、企画制作は地元ローカル放送局のRKB毎日が行い、イベントの実施運営は似たような神戸コレクションを行なっているイベント会社のアイグリッツに丸投げ、ショーにメーンで出演するタレントは東京の芸能事務所からやってきている。
福岡のファッション業界が関わるのは、タレントが着る衣装の提供と残りのモデル、ヘアメイクやフィッターなどの裏方スタッフのみだ。チケット販売やスポンサー料、行政の補助金による収益からはイベント運営の経費が差し引かれ、残りの大半は前出の関係者三社によって利益として按分されている。
衣装の提供といっても、一部のアパレルやSPA、個人デザイナーの作品のみに限られ、福岡ファッションの大部分を占める小売業者の支援やプロモーションにはなっていない。にも関わらず、昨年までは福岡県と福岡商工会議所が2000万円程度の資金を拠出し、さらに福岡市までもが支援。開始から4年が経過しても、情報発信の能力がいまイチのためか、「パンフレット及びDVD制作」にまで資金が出されたわけである。
はたして民間の「客寄せ興行」とほとんど変わりないものに、そこまで行政が支援する必要があるのかは甚だ疑問である。またパンフレット及びDVDによって、仮にアジアからオファーがあったにしても、まず最初に行なわれるのはファッションイベントである。
イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なえると言っても、それから実販に至るまでには相当の時間と営業努力が必要になる。その資金は各ファッション企業持ちなのだ。なのにイベントに携わる三社には行政からの手厚い支援と、収益というメリットが転がり込む。
つまり、「イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なえる」は大義名分に過ぎず、「イベントは福岡ファッションの情報を発信する手段」というのも、イベントで収益をあげたい業者の思惑や自分たちを正当化する言い訳に思えてならない。
4年目の今年から福岡商工会議所はFACoに資金を出さなくなっているが、福岡県や福岡市の支援は続いている。一部の民間企業の「事業」収益のためにである。おそらく、福岡商工会議所としては、「早くビジネスモデルを確立し、自分たちの手だけで行なえ」ってスタンスだろう。ならば、FACoそのものに公共性は、それほどないってことになる。
もう一つは、FACoそのものの情報発信である。県は「海外からの問い合わせあったときや、海外に行ったときに使用するものなのでHPなどで公表をしていない」と回答した。しかし、FACoの母体である福岡アジアファッション拠点推進会議は、発足時に「官民が一体となって福岡ファッションのを積極的に世界に発信する」という役割を公言している。
なのに、その一つである「イベントによって福岡ファッションのプロモーションを行なう」FACoで、事業資金を拠出している県側が「パンフレット及びDVD制作」を積極的にPRしない意図がわからない。
在庫に限りがあるから、問い合わせが殺到すると困るというなら、別に現物の「完パケ」や「印刷物」を作る必要はない。推進会議のサイトや同じく国の緊急雇用基金2700万円を使用して制作し、ほとんど活用されていない「Fashion Site Fukuoka」に動画機能を付けたり、ジャンプページは増やせばいいだけの話しである。
さらに福岡に数多く居住する英語圏、中国、韓国ほかアジア諸国の外国の方々に協力を願えば良い。 この人たちが口コミやツィッター、ブログなどで積極的に福岡ファッションの情報を発信してくれれれば、パンフレットやDVDには負けないPR効果があるはずだ。情報発信でやることはいくらもあるに、なぜか場当たり的で一貫性を欠いている。
ただ、「パンフレット及びDVD制作」は、紛れもない公金を使った公共事業である。まずそれを管理掌握する福岡県が物件の完成結果を公に報告しないのは問題である。また、推進会議も事業の企画立案から運営管理、広報までを担っているはずなのに、県のディスクローズ体制に異を唱えないのは、活動に歪みが生じているといわざるを得ない。