吉本芸人の闇営業が話題になっている。週刊誌が続報を小出しにするから、当の芸人は生きた心地がしないだろう。だが、芸能ネタはいずれ沈静化していくし、端からそんな世界だと思えば、さもありなんって感じになる。
それよりもこちらは、知らなかったでは済まされない問題。老舗百貨店の髙島屋が自社のオンラインストアで、実際は韓国産や国産の化粧品をフランス産と表示して販売していたことだ。仕入れ先からのデータを確認せず、サイト上に表示していたと釈明しているが、その数は25ブランド147商品に及ぶというから驚く。
なぜ、そうなったのか。あくまで筆者の推測だが、百貨店の場合、化粧品だけでなく売場で展開されるブランドのほとんどをメーカーに委託販売させている。ただでさえ自社で在庫を抱えず商品管理はメーカーに任せっきりだ。それゆえ、オンラインストアでも髙島屋の社員が運営管理に目を尖らせていたとは思えない。今回の問題発覚で、通販商品に対しても社内の人間がチェックするのは、限りなく「否」だったことがハッキリした。
オンラインストアのサイトを見ると、ビューティコーナーのページに「化粧品等の原産国誤表記に関するお詫びとお知らせ」がアップされている。https://www.takashimaya.co.jp/aboutinfo/excuse/190606_b/index.htmlこの中で、「対象商品について下記リンク先『誤表記期間』欄記載の期間に、『原産国・生産国』又は『原産国』と記載の上、同『誤』欄記載の国名を記載していましたが、実際には、対象商品は、同『正』欄記載の原産国(地)で生産されたものでした」と、説明がある。
これだけ読んでもお客には何のことかよくわからない。要は「同『誤』欄記載」とはサイトに記載されたスペックのことで、「同『正』欄記載」とは現物の商品パッケージに表示された説明書きということだろうか。
ただ、よくよく考えると、自店のスタッフがきちんと商品管理に携わっていれば、すぐに気づいたはずだ。パンフレットやカタログであれば、配布量も某大になるから回収して訂正シールを貼るわけにもいかないし、まして印刷をし直すのは不可能だ。しかし、Webであれば気づいた時点ですぐに訂正し、お詫びやお知らせはできたと思う。それにしても、自分たちが本来行うべき商品のチェックを怠って、顧客目線ではない回りくどい説明には、事の重要性に真摯に向き合っているとは思えない。
商品の化粧品には「韓国産」「Made in Japan」と明記されていたのに、サイトには「フランス産」と表示されていた。これは景品表示法が規制する「実際のものより著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認させるような表示(誇大広告など)」に触れ、消費者庁および公正取引委員会はそれにより公正な競争が阻害されると認識したわけだ。
業界では過去にも八木通商が輸入したルーマニア製造のパンツをビームスなどセレクトショップ5社が「イタリア産」と表示して販売したり、ユナイテッドアローズが単なるウール+シルクのストールに「カシミア70%」と明記して1050枚も販売した。これが景品表示法に抵触するとして、公正取引委員会の排除命令を受けている。今回はこれらの企業より歴史があり暖簾をもつ百貨店の髙島屋が行っていたことで、消費者庁としても許し難い事案にしたのだと思う。
もっとも、景品表示法に触れる問題が発生した時、決まって言われるのが「フランス産が良くて、韓国や日本の化粧品が劣るというのは、根拠に乏しい」という反論だ。ならば、正々堂々と表示すればいいのだが、そうしないところには、販売者側には「イメージを良くしたい」「売りにつなげたい」という卑しさ、また消費者側には「欧米礼賛志向」があるのではないのか。法律はそうした販売側、消費側のメンタリティまでには関知しない。ただ、正しい表示をして、公正な競争を促すだけなのである。
まあ、カタツムリを使った韓国の化粧品がヒットしたケースもあるが、衣料品と違い直接肌につけるものは、お客も敏感になっている。通販化粧品でアレルギーが発生し訴訟に発展したケースもあるのだから、商品に関する表示では少なくとも「安心を担保する」意味で、消費者を欺くようなことがあってはならないのだ。
なのに今回は販売する側、しかも信用第一の百貨店がこともあろうに素通りしていたのだから、空いた口が塞がらない。まあ、意図的、組織的に行った悪意(それを知っていること)がバレると、髙島屋ブランドは一気に失墜するからその限りではないと思うが、それにしても杜撰極まりないと言うほかはない。
商品が届かないケースも
ECは実際に現物を確かめて購入しない。だから、サイト上の品質表示や仕様が実際の商品とは違っていることは無きにしもあらずだ。購入者がブランド名やデザインを重視すれば、他はどうでもいいと素通りすることも多いだろう。髙島屋のケースは別として、EC事業者は購入者が気づかなければクレームをつけることもないと想定し、意図的にスペックダウンすることもあるのではないか。それで利益が出れば、儲けものだからだ。レビューの星印評価も購入者の受け取り方次第だから、あまり客観的な指標にはならない。
さらに注文した商品と全く違うものを送りつけたり、商品そのものを送って来ないケースもある。これは筆者が実際に経験している。欧州ブランドのある商品が気に入ったので、初利用のサイトだったが、注文した。確認メールは届いたものの、発送したかどうかについては何の音沙汰もない。3週間を経過し再度、問い合わせをすると、担当者から「確かに◯月◯日、◯時に発送したとの記録がある」との回答が来た。
しかし、商品は全く届かなかった。そこでクレジット会社に問い合わせると、「商品が届くまでその商品分の金額は請求額から差し引く」と、対応をしてくれた。結局、2カ月を経過しても商品は届かなかったので、改めて相談すると「海外ECの決済を担当している米国の提携カード会社が審査をする。それに通らなければ、仕方ないが代金は支払ってもらうことになる」という答えだった。
幸い、サイトのURLをはじめ、「購入商品のページ」「注文・決済したページ」「確かに注文を受けたとする確認ページ」などを「スクリーンショット」にして残しておいた。もちろん、注文メールや問い合わせメール、アドレスもすべてコピペしていた。筆者は国内外を問わず、通販サイトを利用する時は、それをルーチン化している。こうした「証拠」と商品の詳細や注文から決済、問い合わせまでの経緯を「書面(英文)」にしてクレジット会社に提出した。提携カード会社が審査をするため、結論が出るまで3カ月ほどを要したが、商品を受け取ってないことが立証され、代金支払いは免除された。
おそらく注文したサイトは、ZOZOTOWNのように在庫を抱えてフルフィルするようなシステムではなかったと思う。通販事業者側は在庫を持たないマーケットプレイス型で、注文を受けるとメーカーや問屋に指示をしてそこから配送させていたのではないか。だから、こちらが事業者に問い合わせても確認に時間がかかったのだ。商品を発送する委託業者が実際に発送したのなら、送り状などの控えが残っているはずだし、欧州から日本への国際郵便は「laposte.fr」などで荷物を追跡できる。
しかし、そうしたものはサイト事業者からは何も示されなかった。つまり、委託業者が通販サイトの担当者に「確かに発送した」との報告はメールの文言レベルであって、送り状や国際郵便履歴などの証明するものはなかったのではないか。提携カード会社からそこを突かれると、サイト事業者としても反証のしようがない。これが支払いを免れた理由ではないかと思う。
商品を受け取ってないのだから、代金を支払う必要もないのだが、それはあくまで日本的な商慣習になる。インターネットによる越境通販の世界では、「『虚偽』『詐欺』は当然あることとして、それを認識した上で取り引きされたし」というのが国際基準なのかもしれない。まあ、アパレルの国内製造を進める「ファクトリエ」のように偽のクレジットカード番号で日本製ジーンズを大量に騙し盗られるケースもあるから、悪巧みを考えるのはEC事業者だけとは限らない。それらを想定した自己防衛策も必要ということである。
翻って高島屋のケースは、ネット通販の闇が根深いことをうかがわせる。掲載された商品と実際に送られて来る商品の内容が違っているケースは、表に出ない部分を含めると相当な量に及ぶのではないか。ECの普及に従って、消費者庁が景表法違反や虚偽、詐欺に厳しく対応するようになった。一方で、通販事業者の間ではブランド力の向上重視や、B2BだのC2Cだの、B2Cといったビジネススタイルの次元でしか語られず、法令遵守や健全化が叫ばれないのはおかしい限りだ。
ただ、ヤマト運輸が運賃を値上げをしたことで、Amazonなど大口のEC事業者向けは24%〜40%も上昇した。さらに人手不足で、ピッキングや仕分け、梱包に従事するアルバイトの人件費も高騰している。ネット通販の事業者にとっては競争に勝ち抜くためのビジネスシステムどころか、フルフィルや運送コストの負担増の方が経営を揺るがす懸案事項になっているのだ。
ZOZOTOWNの凋落を見るまでもなく、メーカーから在庫を預かりお客の注文を受けてから商品をピッキングし梱包して、宅配便で送っていては儲からないと公言する識者もいる。一方、アパレルメーカーの中には在庫の一元運用を進め、ECモールとは受注データを連携するだけで、在庫を預けないマーケットプレイス型に移り始めているところもある。
図らずも髙島屋の問題が発覚したのは、こうした委託型システムで運営される百貨店のオンラインショップで、百貨店側の運営管理が行き届かず、商品チェックの杜撰さが露呈したことだ。ECの闇はまだまだ根深そうである。
そう考えると、これからはECで注文した商品を「店舗」や「宅配便の拠点」で受け取って現物を確かめ、試着や返品が可能なC&C(クリック&コレクト)に移行せざるを得ないのではないか。髙島屋が完全にC&Cで運用していれば、誤表示の問題もすぐに発覚していたはずだ。お客にとっても現物の商品を確認して購入すること=リアルな販売拠点の重要性が再認識できたのではないかと言える。ゆえにネット通販専用ブランドなんぞと言っているアパレル事業者は、すでに時代錯誤とさえ思えて来る。
髙島屋の問題がECの闇を白日のもとに晒したのは、購入側にとっても賢くならないといけないという教訓でもある。その辺のビジネスポイントをしっかり押さえたところが、小売りの新たなステージで主導権を握れるのではないかと思う。
それよりもこちらは、知らなかったでは済まされない問題。老舗百貨店の髙島屋が自社のオンラインストアで、実際は韓国産や国産の化粧品をフランス産と表示して販売していたことだ。仕入れ先からのデータを確認せず、サイト上に表示していたと釈明しているが、その数は25ブランド147商品に及ぶというから驚く。
なぜ、そうなったのか。あくまで筆者の推測だが、百貨店の場合、化粧品だけでなく売場で展開されるブランドのほとんどをメーカーに委託販売させている。ただでさえ自社で在庫を抱えず商品管理はメーカーに任せっきりだ。それゆえ、オンラインストアでも髙島屋の社員が運営管理に目を尖らせていたとは思えない。今回の問題発覚で、通販商品に対しても社内の人間がチェックするのは、限りなく「否」だったことがハッキリした。
オンラインストアのサイトを見ると、ビューティコーナーのページに「化粧品等の原産国誤表記に関するお詫びとお知らせ」がアップされている。https://www.takashimaya.co.jp/aboutinfo/excuse/190606_b/index.htmlこの中で、「対象商品について下記リンク先『誤表記期間』欄記載の期間に、『原産国・生産国』又は『原産国』と記載の上、同『誤』欄記載の国名を記載していましたが、実際には、対象商品は、同『正』欄記載の原産国(地)で生産されたものでした」と、説明がある。
これだけ読んでもお客には何のことかよくわからない。要は「同『誤』欄記載」とはサイトに記載されたスペックのことで、「同『正』欄記載」とは現物の商品パッケージに表示された説明書きということだろうか。
ただ、よくよく考えると、自店のスタッフがきちんと商品管理に携わっていれば、すぐに気づいたはずだ。パンフレットやカタログであれば、配布量も某大になるから回収して訂正シールを貼るわけにもいかないし、まして印刷をし直すのは不可能だ。しかし、Webであれば気づいた時点ですぐに訂正し、お詫びやお知らせはできたと思う。それにしても、自分たちが本来行うべき商品のチェックを怠って、顧客目線ではない回りくどい説明には、事の重要性に真摯に向き合っているとは思えない。
商品の化粧品には「韓国産」「Made in Japan」と明記されていたのに、サイトには「フランス産」と表示されていた。これは景品表示法が規制する「実際のものより著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認させるような表示(誇大広告など)」に触れ、消費者庁および公正取引委員会はそれにより公正な競争が阻害されると認識したわけだ。
業界では過去にも八木通商が輸入したルーマニア製造のパンツをビームスなどセレクトショップ5社が「イタリア産」と表示して販売したり、ユナイテッドアローズが単なるウール+シルクのストールに「カシミア70%」と明記して1050枚も販売した。これが景品表示法に抵触するとして、公正取引委員会の排除命令を受けている。今回はこれらの企業より歴史があり暖簾をもつ百貨店の髙島屋が行っていたことで、消費者庁としても許し難い事案にしたのだと思う。
もっとも、景品表示法に触れる問題が発生した時、決まって言われるのが「フランス産が良くて、韓国や日本の化粧品が劣るというのは、根拠に乏しい」という反論だ。ならば、正々堂々と表示すればいいのだが、そうしないところには、販売者側には「イメージを良くしたい」「売りにつなげたい」という卑しさ、また消費者側には「欧米礼賛志向」があるのではないのか。法律はそうした販売側、消費側のメンタリティまでには関知しない。ただ、正しい表示をして、公正な競争を促すだけなのである。
まあ、カタツムリを使った韓国の化粧品がヒットしたケースもあるが、衣料品と違い直接肌につけるものは、お客も敏感になっている。通販化粧品でアレルギーが発生し訴訟に発展したケースもあるのだから、商品に関する表示では少なくとも「安心を担保する」意味で、消費者を欺くようなことがあってはならないのだ。
なのに今回は販売する側、しかも信用第一の百貨店がこともあろうに素通りしていたのだから、空いた口が塞がらない。まあ、意図的、組織的に行った悪意(それを知っていること)がバレると、髙島屋ブランドは一気に失墜するからその限りではないと思うが、それにしても杜撰極まりないと言うほかはない。
商品が届かないケースも
ECは実際に現物を確かめて購入しない。だから、サイト上の品質表示や仕様が実際の商品とは違っていることは無きにしもあらずだ。購入者がブランド名やデザインを重視すれば、他はどうでもいいと素通りすることも多いだろう。髙島屋のケースは別として、EC事業者は購入者が気づかなければクレームをつけることもないと想定し、意図的にスペックダウンすることもあるのではないか。それで利益が出れば、儲けものだからだ。レビューの星印評価も購入者の受け取り方次第だから、あまり客観的な指標にはならない。
さらに注文した商品と全く違うものを送りつけたり、商品そのものを送って来ないケースもある。これは筆者が実際に経験している。欧州ブランドのある商品が気に入ったので、初利用のサイトだったが、注文した。確認メールは届いたものの、発送したかどうかについては何の音沙汰もない。3週間を経過し再度、問い合わせをすると、担当者から「確かに◯月◯日、◯時に発送したとの記録がある」との回答が来た。
しかし、商品は全く届かなかった。そこでクレジット会社に問い合わせると、「商品が届くまでその商品分の金額は請求額から差し引く」と、対応をしてくれた。結局、2カ月を経過しても商品は届かなかったので、改めて相談すると「海外ECの決済を担当している米国の提携カード会社が審査をする。それに通らなければ、仕方ないが代金は支払ってもらうことになる」という答えだった。
幸い、サイトのURLをはじめ、「購入商品のページ」「注文・決済したページ」「確かに注文を受けたとする確認ページ」などを「スクリーンショット」にして残しておいた。もちろん、注文メールや問い合わせメール、アドレスもすべてコピペしていた。筆者は国内外を問わず、通販サイトを利用する時は、それをルーチン化している。こうした「証拠」と商品の詳細や注文から決済、問い合わせまでの経緯を「書面(英文)」にしてクレジット会社に提出した。提携カード会社が審査をするため、結論が出るまで3カ月ほどを要したが、商品を受け取ってないことが立証され、代金支払いは免除された。
おそらく注文したサイトは、ZOZOTOWNのように在庫を抱えてフルフィルするようなシステムではなかったと思う。通販事業者側は在庫を持たないマーケットプレイス型で、注文を受けるとメーカーや問屋に指示をしてそこから配送させていたのではないか。だから、こちらが事業者に問い合わせても確認に時間がかかったのだ。商品を発送する委託業者が実際に発送したのなら、送り状などの控えが残っているはずだし、欧州から日本への国際郵便は「laposte.fr」などで荷物を追跡できる。
しかし、そうしたものはサイト事業者からは何も示されなかった。つまり、委託業者が通販サイトの担当者に「確かに発送した」との報告はメールの文言レベルであって、送り状や国際郵便履歴などの証明するものはなかったのではないか。提携カード会社からそこを突かれると、サイト事業者としても反証のしようがない。これが支払いを免れた理由ではないかと思う。
商品を受け取ってないのだから、代金を支払う必要もないのだが、それはあくまで日本的な商慣習になる。インターネットによる越境通販の世界では、「『虚偽』『詐欺』は当然あることとして、それを認識した上で取り引きされたし」というのが国際基準なのかもしれない。まあ、アパレルの国内製造を進める「ファクトリエ」のように偽のクレジットカード番号で日本製ジーンズを大量に騙し盗られるケースもあるから、悪巧みを考えるのはEC事業者だけとは限らない。それらを想定した自己防衛策も必要ということである。
翻って高島屋のケースは、ネット通販の闇が根深いことをうかがわせる。掲載された商品と実際に送られて来る商品の内容が違っているケースは、表に出ない部分を含めると相当な量に及ぶのではないか。ECの普及に従って、消費者庁が景表法違反や虚偽、詐欺に厳しく対応するようになった。一方で、通販事業者の間ではブランド力の向上重視や、B2BだのC2Cだの、B2Cといったビジネススタイルの次元でしか語られず、法令遵守や健全化が叫ばれないのはおかしい限りだ。
ただ、ヤマト運輸が運賃を値上げをしたことで、Amazonなど大口のEC事業者向けは24%〜40%も上昇した。さらに人手不足で、ピッキングや仕分け、梱包に従事するアルバイトの人件費も高騰している。ネット通販の事業者にとっては競争に勝ち抜くためのビジネスシステムどころか、フルフィルや運送コストの負担増の方が経営を揺るがす懸案事項になっているのだ。
ZOZOTOWNの凋落を見るまでもなく、メーカーから在庫を預かりお客の注文を受けてから商品をピッキングし梱包して、宅配便で送っていては儲からないと公言する識者もいる。一方、アパレルメーカーの中には在庫の一元運用を進め、ECモールとは受注データを連携するだけで、在庫を預けないマーケットプレイス型に移り始めているところもある。
図らずも髙島屋の問題が発覚したのは、こうした委託型システムで運営される百貨店のオンラインショップで、百貨店側の運営管理が行き届かず、商品チェックの杜撰さが露呈したことだ。ECの闇はまだまだ根深そうである。
そう考えると、これからはECで注文した商品を「店舗」や「宅配便の拠点」で受け取って現物を確かめ、試着や返品が可能なC&C(クリック&コレクト)に移行せざるを得ないのではないか。髙島屋が完全にC&Cで運用していれば、誤表示の問題もすぐに発覚していたはずだ。お客にとっても現物の商品を確認して購入すること=リアルな販売拠点の重要性が再認識できたのではないかと言える。ゆえにネット通販専用ブランドなんぞと言っているアパレル事業者は、すでに時代錯誤とさえ思えて来る。
髙島屋の問題がECの闇を白日のもとに晒したのは、購入側にとっても賢くならないといけないという教訓でもある。その辺のビジネスポイントをしっかり押さえたところが、小売りの新たなステージで主導権を握れるのではないかと思う。