HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

地方と、見下すな。-2

2009-05-24 07:49:37 | Weblog
 昨年、セレクトショップのUAが新規プロジェクトとして「値ごろ感
のトレンド業態」と銘打った「COEN(コーエン)」をスタートした。
UAはマーケットをハイプライスのトレンド型と、ロープライスのボリ
ューム型にわけ、ショップ展開をやってきた。しかし、お客が成熟した
こともあり、トレンドとボリュームの間に「値ごろ感がありつつ、セン
スが高いマーケットがあることがはっきりしてきて、その規模が拡大し
つつある」のがわかったからだという。
 プレス資料には、資本業務提携をした三菱商事と組んで、生産は委託
し効率を上げるためにチェーン化していくとあった。要は商社とコラボ
して、コストの安いアジアで生産し、郊外のショッピングセンター中心
にショップを展開しようということだ。
 早速、イオンモールのショップをのぞいてみたが、正直、がっかりし
た。企画のレベルは低く、素材もセンスもよくない。デザイン、アイテ
ムのバランスがUAのイメージとは大きくかけ離れている。
 「こんなんでは、売れねえだろう」。予感は的中した。全く売れず、
修正をよぎなくされたのである。ブランド力があるので、商社にアウト
ソーシングして、あとは店を出すだけ。これで簡単に郊外のマーケット
を攻めきれると思ったのか。
 こちらも先の編集者同様で、どこか東京目線でものを考えているよう
に思える。収入がそれほど高くなく、寂れた商店街とロードサイド店と
ショッピングセンターしかない地方だからと言って、ブランドで仕掛け
れば、簡単に売れるというほど、マーケットは甘くない。あまりに「地
方だからと」バカにしている。
 今のお客の頭には、トレンドだろうと、ボリュームだろうと、その中
間だろうと、アイテムごとの「値段の目安」があり、その値段より価値
やセンスが上回ったときだけ、財布の紐をゆるめるのだ。若者がファッ
ションにそれほど投資しなくなった時代にそんなことさえ気づかないよ
うでは、トップ交代も止むなしか。地方と、見下すな。である。

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地方と、見下すな。

2009-05-24 07:48:08 | Weblog
 雑誌のルポ原稿を書くようになって、もう、かれこれ十数年になる。
プレス会社で広告を作っていた時に編集者と話していたら、記事も書
きませんかと言われたのがきっかけだった。
 最初はブランドのルポ、次に新作デザインの紹介、インタビュー、
リサーチ。さらに海外取材に出かけたり、各地の企業やショップの取
材も担当するなど、仕事は次第に広がっていった。
 ただ、最近ひとつだけ解せいないことがある。それは編集者が読者
の要望をもとに企画を立て、仕事を依頼してくる時、必ず言うフレー
ズだ。「地方にスポットを当てたいので…」20年前ならいざ知らず、
未だに東京と地方を分け考えようとする発想。全然わかちゃいない。
そもそも、何でわざわざ「地方」と言わなければならないのか。
 最近は地方も東京も情報量の格差はなく、売れている商品もたいし
て違いはない。ましてインターネットの時代である。東京もそれ以外
の都市も関係ないはずだ。いくら不況といえど、マネジメント能力が
高かければ、ビジネスで成功しているケースはいくらでもある。勝ち
組の代表格、ユニクロも、しまむらももともと東京以外で売れて、ブ
ランド化し、全国に広がっていった。
 逆に東京こそ、不況のあおりをいちばん受けているのではないか。
東京の象徴である、テレビのキー局は売上げダウンが深刻で、しょう
もない番組ばかり作っているし、その収入をもたらす広告代理店も営
業赤字を出しまくっている。パチンコメーカーのCMばかりが目立つ
のは、そこまでしないとスポンサーが集まらないからだ。
 自動車メーカーも、家電メーカーもリストラの嵐、百貨店は老舗だ
って店を閉めざるを得ない状況。上京しても仕事がなく、ネットカフ
ェ難民に陥っていく若者は後を絶たない。それらは東京が素晴らしい
街というのが幻想であることを如実に証明している。
 東京には自然も、天然資源も、農業も、漁業もなく(野菜農家や海
苔業者などはいるが)、人が生きていく上で必要なものを生産できづ
らい街になっている。地方と、見下すな。である。
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格好だけマネしても。

2009-05-23 05:06:34 | Weblog
 さる3月22日、福岡国際センターで開催された福岡アジアコレクション。ステージでは
テレビでおなじみの2流タレントや旬をすぎたモデルが、地元メーカーとの協業ブランドを
纏い、華やかな?ショーを繰り広げた。
 実はこのイベント、05年から開催されている東京ガールズコレクション(TGC)を
パクったもの。そのTGCで脚光を浴びているのがSPAによるファストファッションだ。

 TGCの主催は通販サイトの運営企業「ブランディング(旧ゼイヴェル)」で、
観客は携帯ショッピングに何の抵抗もないギャルたち。SPA側も渋谷109などの
ファッションビルに直営店を構えるが、TGCでブランド力をあげながら、通販対応で
全国にファンを拡大する狙いがある。

 TGCは毎回、動員記録を塗り替え、一定のプロモーション効果を出している。
これはファッションの産業構造が、アパレルメーカー&卸+小売り(店舗販売)一辺倒から、
SPA+通販(無店舗販売)に変化していることをさす。

 一方、福岡ではアパレルメーカーも小売業も高級品を中心に販売してきたが、
福岡アジアコレクションの開催は、ファストファッションへの参入を予感させる。
現に出展した地元メーカーや販売をサポートする小売業は、入場者の反応に手応えを感じ、
売上げ拡大を視野に入れているようだ。

 ただ、福岡の場合、アパレルメーカーと小売りのポジションは変わらない。
SPAではないから、メーカーは直営のショップを持たず、小売業はクリエーション&
プロダクトの機能がない。現状ではブランドの価値をあげ、売上げに結びつけていけるかは
未知数だ。

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