HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

ローカルデパートの救世主?

2019-09-25 05:48:14 | Weblog
 アースミュージック&エコロジーやイーハイフン ワールド ギャラリーを展開するストライプカンパニーがソフトバンクと合弁で運営するECモール「ストライプデパートメント(以下ストデパ)」。このストデパが新しいサービスとして、提携する百貨店の名前を付けたECサイトを開設し、運営を代行する「DaaS(ダース/Department EC as a Service)」をスタートさせた。

 ストデパは、「35歳〜49歳の大人の女性」を対象に国内外のブランドをECで販売している。売上げ調査の結果、それらの商品は百貨店でも扱われていることから、顧客が実店舗に流入する傾向があったという。そこでストデパが百貨店のECサイトを開設して運営を代行し、百貨店自身が「ショールーミングのポップアップストア」(催事)を展開すれば、百貨店はコストをかけずにオムニチャンネル化を進めることができる。

 ストデパの顧客である大人の女性は、「現物を見て商品を購入したい」との思いが若者より強い。ECサイトでお気に入りのブランドを見つけると、それを販売している実店舗を訪れ、現物をチェックする傾向があるのだ。逆に百貨店がストデパのブランドをショールーミングすれば、ECでの買い上げ率が高まることも考えられる。DaaSはストデパと百貨店がウィンウィンの関係になれることを狙ったサービスとも言える。

 具体的な仕組みは以下のようになる。

 1. 百貨店がストデパのブランドを催事などでショールーミングする。
 2. お客が催事で現物(見本)を見て、または直接ECサイト(表向きは百貨店のEC、
   ストデパが運営)で会員登録および商品を購入。
 3. 売上げ額に応じてストデパが百貨店に対し、インセンティブを支払う。

 百貨店はブランド販売では委託や消化仕入れで在庫を買い取らない以上、自社ECで品揃えを充実させ自由に販売することは難しい。だから、ストデパのようなプラットフォーマーがECサイトの運営を代行してくれるのは願ったりだ。特に百貨店の衰退、閉店で地方でハイブランドが購入できなくなっている現状を考えると、一筋の光明になるかもしれない。

 ストデパはインセンティブをどのくらいの売上げ歩率するかについて発表していない。明らかにしたのは、初年度は百貨店2社と業務提携し、約2,000人の新規会員獲得を見込むこと。そして、現在、約20店舗と交渉しており、今後は50店舗まで増やすという目標だ。



 今回、ストデパと提携しサービスを提供するのは、大分市に本社を置く「トキハ(ときわと読む)」と石川県など北陸に店舗をもつ「大和」の地方百貨店2社。DaaSの記者会見にはトキハから植山浩文常務取締役が派遣され、ストライプインターナショナルの石川康晴社長ほか経営陣と同席している。そこまでさせるのは、同社が置かれた経営環境がかなり厳しいことがある。



 トキハは「別府店」で、9月12日〜25日にショールーミングポップアップショップを開催している。同社のサイトでは「有名モデルやスタイリスト、ファッションエディターによるユニークなコンテンツ、さらに各ブランド、インフルエンサーが旬な情報を発信する、見るだけで楽しい!『ファッションECサイト』体験をお届けします」という触れ込みで、告知されている。http://www.tokiwa-dept.co.jp/beppu/shopnews/details/12294

 トキハのEC https://stripe-department.com/ で取り扱われるのは、ストデパが販売する約1,000ブランドと同様の商品という。別府店のポップアップショップでは、著名人やメディア関係者がセレクトしたアイテムを揃えるようだが、商品の充実度ということでは催事を見ていないので何とも言えない。どちらにせよ、来場者にはブランドの現物(見本)を試着などで確かめてもらい、その場でECサイトの会員登録(事前にも可能)、サイト購入に繋げていくフローだと思う。まさにショールーミングである。


一番に提携したトキハの狙い

 じゃあ、なぜトキハの本店ではなく、支店の別府店だったのか。これは大分県の産業構造が大きく関わっている。トキハが本社を置く大分市は、昭和30年代に別府湾を埋め立てて臨海工業地帯を造成。石油・化学のコンビナートや発電&製鉄所などを誘致して新産業都市を目指したものの、大分県全域では知事が「一村一品運動」を提唱したくらい。その後はキャノンやダイハツの工場が進出したが、大分市にはとりたてて基幹となる産業はない。

 だからではないだろうが、日教組組合員(小中学校の加盟率は60%超で、大分は全国トップクラス)の間では長年来、カネさえを積めば子弟が教員(自治体職員でもあったとの話も)になれる因習が蔓延っていたほどだ。

 かたや別府市は温泉の源泉が2,200以上あり、湧出量も83,058リットル/分と、ともに静岡の伊東(同649、同34,081)を大きく離して日本一を誇る。市の中心部では鎌倉時代に温泉地が形成され、明治4年の大阪との定期航路開設で、関西から多くの観光客を集めるようになった。高度成長期には企業の慰安旅行先にもなり、地獄温泉を巡るツアーには全国から客が押し寄せた。別府はホテルや温泉旅館といった観光産業と裾野ビジネスで、経済が成り立っており、大分市に比べると外需を取り込める優位性があるのだ。

 しかし、時代とともにライフスタイルが変わり、旅行が団体から個人に変わると、別府の温泉景気は一変する。市は海外からの観光客誘致に切り替え、ソウルとの定期便開設で韓国人旅行者が増加。立命館アジア太平洋大学(APU)の開学や留学生の起業、プロバスケットボールチームの発足などと相まって、外国人と親和性のある街に変貌した。もちろん、温泉旅館は個人旅行者の受け皿となるべくハード、ソフトの整備に注力し、市民レベルでも別府八湯のキャンペーン(オンパク)や地域通貨「泉都」などで活性化が進められている。

 その結果、観光客はピーク時(1976年)の約1,312万人には及ばないものの、年間400万人まで回復(うち外国人宿泊者数は約144万人で、韓国人が6割。2018年度)。飲食や風俗の店が建ち並ぶ歓楽街も、観光客やインバウンドで景気が上向き、それが地元消費を押し上げている。

 別府にはかつて「近鉄百貨店」があり、商店街には有力な「宝石商」が店を構え、旅館の女将や夜の街で働くお姉さんたちを顧客にして潤っていた。しかし、ライフスタイルの変化やバブル崩壊による景気低迷と、88年には地元のトキハが出店したことで、近鉄百貨店は94年に撤退を余儀なくされた。(ちなみに宝飾品市場全体も全盛期の3兆円から現在は7000億円程度に縮小)

 トキハにしても大分市の本店は、厳しい経営環境にある。郊外商業施設の台頭(自社でもわざだタウンを運営)、JR大分駅ビル「アミュプラザおおいた」の攻勢、フォーラス大分の大分オーパ立て替え、そして福岡へのお客流出などだ。産業構造から富裕層の数は限られており、別府のように訪日外国人客にも期待できない。

 別府にも2007年、イズミのSC「ゆめタウン」が開業し、トキハ優位ではなくなったが、観光客が回復し(日韓問題でソウル-大分便は10月26日まで運休。釜山、務安からの便も運航を休止。『韓国人旅行者は激減』と言われるが…)景気が上向いたことから、かつて売れていた宝飾品と同等レベルのハイブランドを販売できる。ストデパがターゲットとするエージは温泉の若女将や飲食店のお姉さんたちと共通すると、踏んだのだ。トキハ別府店はさらなる誘客に向けて大幅刷新しており、9月9日にリニューアルオープンした。同時にサービスの強化は避けて通れず、それらがストデパのDaaSを目にし、真っ先に提携を申し出た理由と言える。

 また、別府市は大分市とは直線で10kmも離れておらず、国道10号線やJR日豊本線で繋がり、アクセスは容易だ。ポップアップショップには本店の優良顧客を招待し、会員登録やEC購入を促すのは言うまでもない。お客の側もトキハ本店はもちろん、大分では購入できないハイブランドを直に見ることができるため、ECでのショッピングに弾みがつくはずだ。


ハイブランドを求める地方の客



 郊外や地方に店舗を構える百貨店は軒並み厳しい。2016年以降、首都圏では西武の春日部店、筑波店、船橋店、小田原店、そごうの柏店、三越の千葉店、多摩センター店、伊勢丹の松戸店が閉店している。今月30日には伊勢丹の相模原店と同府中店、来年には新潟三越がそれぞれ店を閉じ、東急東横店も事実上の閉店(食品売り場は継続)となる。単独の地方百貨店も地域1社のみなら何とか持ちこたえているが、人口減少による消費の先細りやインバウンド需要の減退を考えると、売上げ伸張は見通せない。

 識者の中には、地方百貨店はアパレル依存の体質から抜け出し、公共施設、化粧品や食品、贈答品を強化拡充すべきだと唱える人がいる。確かに地方都市で地上8階、地下1階にもおよぶ多層の百貨店が求められるかと言えば、そんな時代はとうに過ぎている。アパレル側も売上げの低迷を見れば、ブランドのハコ(インショップ)展開には二の足を踏む。売上げが下がり、ブランドが撤退し、さらに売上げが下がる悪循環なのだ。

 だからと言って、高級品やハイブランドを求めるお客がゼロになるかと言えば、そんなことはない。どんな地方でもそれらを購入したいお客はいるわけで、それは地方百貨店がジリ貧になっているのとは、別の問題として考えるべきだ。一時、大丸の福岡店が有名ブランドを求める県外客を対象に買い物バスツアーを企画していた。それでも、地方店であるがゆえに品揃え、バイイング力には限りがあり、経費面から継続は難しかったようである。

 プラットフォーマーはそんな状況に風穴を開けた。ストデパは時空を超えてハイブランドが購入できるECの利点を生かし、地方百貨店にショールーミング機能を持たせて現物の確認、試着などを可能にすることで、大人市場でのオムニチャンネル化に先鞭をつける狙いと見える。これまで隆盛を極めたZOZOは、自社ECに乗り換えるブランドの離反を受けても、それをカバーする戦略を見出しきれていない。後発でZOZOとはターゲットが異なるストデパとしては、サービスの充実で優位に立ちたい思惑もあるだろう。

 地方百貨店はインセンティブだけではそれほど収益にはならないだろうが、それでも食料品や雑貨などついで買いを誘うことはできる。さらにお試しどころの開設、C&Cの受け取り拠点など、生き残るためのサービスを考える機会にもなる。トキハや大和がショールーミングやEC購入である程度の手応えを掴めば、ストデパが交渉している他の百貨店も提携に踏み切る公算は高い。Daasが地方百貨店の当面の救世主となれるか。いよいよ、経営者目線ではなく、お客が求めるサービスの「本質」で、生き残るところが決まりそうである。
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着る映画で売る。

2019-09-18 04:54:16 | Weblog
 バーバリーを失って以降、経営面で精彩を欠く三陽商会。ライセンス生産するマッキントッシュロンドンも、セレクトショップが販売する本物に押され、先行きは見通せない。だが、ここに来てリストラ策が奏功し、経営再建が緒に就いたのか。新たなブランド開発や出店に着手している。その一つがこの秋から販売している「CAST」だ。

 CASTは、20歳後半から30歳前半向けのレディスブランド。コンセプトは「人生という物語を、演じるための服」で、MDはライフスタイルや価値観が異なる女性をアイコンにした3ラインで構成。店舗は原宿に旗艦店を構えるほか、百貨店を中心に約30店を展開する。ここまでは、ブランドデビューではよくあるセオリーだが、CASTは販促を兼ねた売り方にも注力する。

 PCやスマートフォンで視聴できる30分のショートムービー( https://www.cast-colon.com/#ct_movie )を制作し、新進女優やモデル、ミュージシャンが演じるアイコン3女子の日常のストーリーを通じて、ターゲット層にブランドイメージを訴求する。

 また、3女子が着用するアイテムをその場で購入できる「シネマコマース」を採用。PCやスマホの画面上部には各自の名前が書かれたボタンがあり、それをクリックまたはタップすれば、CASTのECサイトに飛べて劇中で着ているアイテムが購入できる。デジタルがもつインタラクティブな特性を生かし、日本で初めて導入された売り方だ。



 映画のストーリーは以下だ。顔が薄いとのコンプレックスをもつ化粧品会社のOL「LISA」(飯豊まりえ)、甘いものが食べられないフレンチレストランのパティシエ「ANNA」(emma)、自分らしくない楽曲を演奏しろと言われて悩むシンガーソングライター「CARA」(佐藤千亜妃)が、雷雨の夜に同じマンションの同じ部屋を訪れることから物語は始まる。偶然出会った3人は共通の恋人に三つ股をかけられているを知り、協力して復讐劇を繰り返すことで、自分らしさとは何かに気づくという筋書きだ。

 一見すれば、トレンディドラマのよくあるプロットと言えなくもないが、台詞も場面展開もテンポがよく、独立プロが制作し単館上映向けに配給される作品にもありそうにも思える。3名は芸能界ですでに人気を得ているというより、演じる役柄よって大きく成長できるかどうかが問われる段階。NHKの朝ドラオーディションを勝ち抜くより、こちらの方が同世代ウケする可能性があるからか。キャスティングにはそんな意図も見え隠れする。

 だからではないが、アパレルの販促という点ではどうなのだろう。配役の顔のアップや所作、動きを中心に映像が展開され、服そのものがクローズアップされるシーンはほとんどない。映像が暗いのも難点だ。映画を見て気になる商品があれば、画面上部のボタンに触れてECサイトに飛べる理屈はわかっても、見入ってしまった視聴者がどこまでの購買行動をとるのかは疑問だ。服を売るためのSP動画というよりは、女優を売らんがためのプロモーションビデオのように感じられ、セールスへの意思が希薄なように映る。

 三陽商会が絵コンテや撮影の段階で、制作者にどこまで自社の注文を伝えたのだろう。日本初のシネマコマースという触れ込みに流され、アパレルとしての要望を盛り込め切れてないと言えば、言い過ぎだろうか。それとも、監督が端から配役のキャラ偏重で演出したく、カメラマンもそうした狙いで撮ったのだろうか。まあ、電通が関わっているだけに重視されたのは制作サイドや芸能事務所の意向であって、アパレル側の注文がどこまで映像に反映されたのかと言えば、想像に難くない。

 今回のシネマコマースを至った背景には、三陽商会がものづくりでは定評があるものの、売り方や発信力は得意でないという長年の課題があると言われる。果たしてそうなのだろうか。三陽商会は同社のルーツにもなっている「サンヨーコート」の拡販では結構、広告投資をしてきた。70年代にはアイテムをメンズやレディスまで広げ、ブランド数を増やして百貨店系アパレルへと舵を切った。広告塔にプロ野球のスター長嶋茂雄を起用し、「ミスターサンヨー」は同社の代名詞にもなった。

 他にも不倫という言葉が流行し始めた80年代には、「魅せたいからコートを着る」「隠したいからコートを着る」「コートはしのび逢いのためにある」なんて、意味深なコピーの広告展開までやってのけたと記憶する。最近ではマッキントッシュロンドンの販促で、ゴム引きコートの撥水性や軽さを強調するCMを制作し、オンエアしている。

 ここまで広告に多額の投資をしてきた割に、発信力や売上げの面では効果が上がっていないと言うのであれば、「媒体」の選択に問題があったのかもしれない。だからといって、シネマコマースという斬新な手法に変えても、どこまで発信力が増し売りに繋がるかは未知数だ。今回も代理店が絡んでいることを考えると、同じ轍を踏まないとも限らない。

 過去、日本のアパレル業界における情報発信の手法は、レナウンやオンワード樫山のような百貨店系アパレルがテレビCMを多用してブランド力や知名度を上げ、それらの商品を小売りする伊勢丹や西武などの百貨店が新聞広告で販促に注力するという「マス媒体」主体のやり方だった。これには三陽商会も当てはまると思う。

 コムデ・ギャルソンやヨウジヤマモト、ビギなどDCアパレルはコレクションショーを主体に業界メディアに訴えることでプレスプロモーションをしてきた。ナイスクラップやオゾックなどの平成ブランドは、雑誌を中心とした広告記事タイアップを中心にブランド力をアップした。そこまでの売上げ規模がなく、マス媒体を使えない中小のアパレルは、商品を貸し出すファッション雑誌が唯一、情報発信を担っていたのである。

 しかし、90年代には消費者がメーンでブランド情報を入手する手段は、テレビ、新雑(新聞・雑誌)からインターネットに変わった。パソコンやスマートフォンがあれば、24時間どこでも情報が入手できるのだ。そうした環境変化にうまく乗り、マス媒体とネットメディアをうまく使い分けていったのが、ユニクロやストライプインターナショナル、アダストリアなどのSPA企業である。

 マス媒体はあくまでブランド力をアップするツールとして使い、ネットメディアは新しい仕掛けを取り入れ、販促の次元を一気に超えてEC、店舗との一元一体で運営するオムニコマースの領域にまで踏み込んでいる。デジタルのインタラクティブ機能が情報発信と販売を同時に行えるようにしたのである。



 今回、三陽商会が導入したシネマコマースも、その進化型に位置すると思う。問題はコンテンツづくりだ。ブランドサイトの閲覧を優先するなら、それに誘う優良コンテンツを制作しなければならないが、きっかけの映画を作り込み過ぎるとストーリー偏重になり、ブランドや服がクローズアップされにくくなる。しかも、わずか30分のショートムービーである。一度見てしまうと服に対する印象や残像が強くない限り、映画そのものは飽きられるから、ECへのアクセスが落ちる可能性は高い。


 アパレル側から言わせてもらうと、服の着こなしやディテール、素材感、スタイリングを強調する演出やカメラワークは必要だと思う。30分完結のストーリーより、ワンシーンをいくつも重ねたオムニバス形式で、全アイテムを登場させるくらいの技法でもいいのではないか。制作コストを考えると、配役も女優やミュージシャンではなく、モデルや劇団員でもいいと思う。主役はあくまでブランド、服というスタンスなのだし、制作費の大半をアパレル側が出すならなおさらだろう。

 「パリジュテーム」という映画がある。2006年制作のフランス映画で、世界中の18人の監督が「愛」をテーマに撮った5分程度の短編をつないだオムニバス作品だ。配役にはレオンのナタリー・ポートマンやカミーユ・クローデルのジェラール・ドパルデューが起用されているが、大半はそれほど有名ではない。むしろ、ウィットに富んだシナリオと監督の演出で魅せる映画だ。ストーリーなど気にせず、パリの街並と愛の風景が楽しめる。

 この映画を劇場で見たとき、技法はアパレルのプロモーションにも使えるなと思った。ロケ地は東京でもいいし、全国各地でもいい。短編なら服そのものはスチールのような撮り方になるし、オムニバス形式だと全アイテムを有効にアピールできる。配役は有名でなくても、ターゲットと等身大であれば、訴求には十分だ。要は服をスポットを当てる撮り方で、後はいかにオムニコマースを連動させていくかである。

 一方、商品そのものの見せ方では、東京メトロのCM(https://www.youtube.com/watch?v=tkiJ-mmuFJ4)に注目したい。こちらは女優の石原さとみがレポーター役に起用されているが、スタイリストがキャラクターをも凌ぐ弾けた着こなしを提案している。石原さとみだけでも十分に視聴者を引き込むだろうが、日本の浴衣から欧米の懐古スタイルまで取り入れたことで、外国人旅行者の目を引く可能性は高い。逆に視聴者から東京メトロ側に衣装の問い合わせがあったのではないかと思う。

 せっかく、「着る映画」を作るのであれば、「着てほしい商品」のクローズアップが不可欠で、その方が売りに繋がるはずだ。そんなことを考えながら、第2弾のアップを待つことにしたい。
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現物を見てECで買う。

2019-09-11 06:27:31 | Weblog
 まだまだオープンは先だが、いろんな情報が漏れ伝わって来ている。「新生渋谷パルコ」のことだ。現時点であれこれ評論するのは憚れるが、発表された概要や業界情報をもとに考えてみたい。

 11月22日に開業する新生渋谷パルコは、商業部分の建物が地上9階(10階は一部)、地下1階。延床面積は約4万2000㎡。店舗数は192店で、テナントの年間取扱高目標は約200億円。令和の時代に相応しい次世代の商業施設を標榜し、ファッションからアート&カルチャー、エンターテインメント、フード、テクノロジーまでの5つの要素をミックスして一つの館を作り上げる。

 要素に掲げられるファッションからフードまでは、従来の商業施設でも語られていたので珍しくはないが、新たに「テクノロジー」を加えることで、買い物のスタイルを進化させ、魅力を上げていく狙いのようである。その目玉は以下だ。

 ◯デジタル技術を活用したオムニチャンネルに対応する売場「CUBE」を開設
 ◯売場面積130坪に10坪程度の小型店11店舗を集積
 ◯品揃えは限定商品や戦略アイテムに限り、EC購入に軸足を置く

 EC購入に軸足を置くなら、わざわざ店舗を開設する必要もないと思うが、新生パルコの目的はそうじゃない。狙いはそのブランド力、立地から、まずはお客を館、売場に呼び込むこと。前館のクローズ前は、集積されたテナントがどこにでもあるようなものばかりで、集客力を発揮したのは「ふなっしーカフェ」くらい。歩率家賃で稼ぐはずのSCが客を呼べるテナントの誘致、売れる商品の集積に窮していた。

 だから、新生パルコは、渋谷にしかない、パルコでしかお目にかかれない店舗を集め、そこでしか買えない商品=限定商品や戦略アイテムを、CUBEに一堂に揃える。商品の希少性を高めながら、ブランドのバリエーションを増やすために、各店は小型化した。実店舗を集めたのは渋谷パルコにしかないからわざわざ来てもらうのと、限定商品や戦略アイテムを揃えるがゆえに「現物」を見て、「商品」に触れてほしいということだ。

 レギュラーの商品は、ECで購入してもらうか、別の店舗で確認してもらえばいい。やはり、限定や戦略がつく商品は、店で直に見てもらわなければ「衝動買い」を誘えないし、お客が現物を見てその時は購入しなくてもECで購入できるなら、後日販売に結びつく可能性は格段に高くなる。この辺が買い物の利便性をアップしながら、お客の購買心理もとらえて販売に結びつけるオムニチャンネルの妙と言えるだろう。

 アパレル時代、取引先のショップマネージャーからよく聞いた言葉に「お取り置き」「お見分け」がある。お取り置きとは、現物の商品を見て購入するかしないか決めかねるため考える時間がほしい時、また雑誌などで紹介された商品在庫を店舗に問い合わせ、訪店、購入までの間(店舗により数日から1週間程度)に他のお客に売れないように預かっておいてもらうことを意味する。 これは今でもよく使われている。

 お見分けとは、企業によって解釈が違ったが、まずお取り置きまでの必要はないが、購入するかしないかを迷っている状態を販売スタッフに伝え、その商品の動きを気にかけてもらう程度のニュアンスで使っていたところ、もしくはお取り置きと同じ意味で、その企業が社内的にそう呼んでいたところもある。

 30年以上前にことなので、記憶がハッキリしないが、筆者がマネージャーに意味を訊ねると、取引先では後者の意味で使っていたのではなかったかと思う。ただ、今でもお見分けは、ファミリーセールのように在庫を一掃する時、とにかくお客が殺到するので一応「欲しいな」「買ってもいいかな」という印象の商品をカゴやラック、テーブルなどに一旦キープし後からじっくり検討できることを指して、そう使っている企業もある。

 商品を通じたお客と販売スタッフとのコミュニケーションは、買う、買わない、売れる、売れないの行為、状況だけではない。お客は微妙な心理状態にあり、それはECが浸透した今でもそれほど変わらない。ただ、お取り置きやお見分けのシステムは進化して利便性が増し、「店舗や販売スタッフに申し訳ない」とお客に気を使わせることもなくなっている。

 ECの浸透で仕組みは以下のように変わった。お見分けは、スマートフォンでは「お気に入りに追加」、PCでは「ブックマークに追加」のような感覚だろうか。Amazonのようなサイトでは「ウォッチリストに入れる」になる。お取り置きは「カートに入れる」で、一定期間内に購入しなければ、店頭に戻される。

 さらに有力ブランドになると、店舗と自社ECを一元一体で運営するオムニコマース体制を確立し始めている。そこでは以下のような流れになる。

 お客(近隣にブランドの店舗がない、または店舗で現物を確認したい場合)
 1.ECで欲しいアイテムを検索し、選ぶ
 2.気に入った商品が見つかれば、購入または店舗で受け取り
 3.現物の商品を見たい場合、店舗でお取り置きしてもらう
 4.訪店して、商品を確かめ、試着、購入(タブレットでサイズ、色違いを確認)
 5.購入しない場合、店頭または物流センターに戻される


 ざっとこんな感じだろうか。今や欲しいブランドやアイテムを探して購入するスタイルは、店舗をECのプラットフォームに乗せることで、店頭でのアイテム選びや試着、決済や受け取りの利便性を最大化するC&C(クリック&コレクト)に移ってしまった。もはやブランドを販売していく以上、C&Cには逆らえなくなっているのだ。

 もっとも、こうしたオムニコマースを整備するには、莫大なシステム投資が必要になる。そこまでのコストをかけられないところは、従来のようにZOZOTOWNやAmazonのようなプラットフォーマーに頼るしかない。しかし、彼らも大手アパレルの離反によりコンバージョンレートの低下や歩率の高止まり、送料アップによる客離れなど、ECサイトを今後も安定して運営できるかには疑問符がつき始めている。



 話をパルコに戻そう。パルコが一時代を築いたのは、ファッションデベロッパーとして無名のブランドを開拓し、それを独自のプロモーション手法で渋谷という街から情報発信して販売に結びつけ、成長させるインキュベーション機能を持っていたからだ。その基本スタンスは新生パルコでも変わらないと思う。

 今度は、オムニチャンネルを加えることで、遠隔地に住んでいるお客にもアイテム選びや決済、受け取りまでができるようにし、販売に結びつけていく。CUBEに誘致されるブランドは、すでに知名度のあるものやこれからブレイクしていくものが取り混ぜになるかもしれない。そこで限定アイテムを置くことで希少性、お客の来店動機を喚起し、戦略アイテムでブランドのインキュベートや収益向上を狙うことできる。

 CUBEの販売スタッフは、店舗のデジタルサイネージと同じアプリが入ったタブレットを持っているというから、お客はそれで在庫を探しスタッフと相談しながら、商品を選ぶこともできる。つまり、パルコはECを通じて店舗、CUBEの売場では商品の検索から取り寄せや受け取り、取り置き、現物確認や試着までを可能にすることで、SCのキーデバイスにしていこうということだろうか。

 個々の店舗は小型で、在庫も絞り込んであるわけだから、お客に寄り添うきめ細かな接客と扱う商品を減らすことによる省力化への試み、ローコストなマテハンの場になるということも考えられる。実店舗の役割、機能が問われるわけだ。

 実力、ブレイクの予感はあっても、自社ECに莫大な投資ができないブランドにとっては、CUBEのような売場が救いの神になるかもしれない。加えて、テナントリーシング前の段階として、専門学校などを卒業しプロとして服づくりを始めたものの、量産まで行かないとか、谷町がつかないとかのデザイナー&クリエイターの商品を集め、顧客開拓を狙うポップアップストアも必要かもしれない。

 デベロッパー側からすれば、オムニチャンネルの導入でC&Cをサポートし、姿を変えた実店舗を展開することで、新たなSCの姿を追求していく。来月の東京出張では、まだ施設は開業はしていないが、周辺の雰囲気を実際に見ながら、アパレル関係者からは裏事情も聞けるから、パルコの今後がどうなるかの判断材料にはなると思う。

 はたしてファッション小売りの新しいカタチをどうリードしていくのか。少なくともその主役がパルコであることを期待して、オープンを待ちたい。

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集客への焦りか。

2019-09-04 06:41:30 | Weblog
 8月26日、「東京ガールズコレクション in 熊本」の第2回目を来年4月25日に開催すると、記者発表された。今年4月20日に初回が開催され、主催者側の発表では成功裏に終了。県内への経済波及効果は5億円の目標に対し、4億6500万円(NHKはネット記事では14億円?と報道。たぶんテレビニュースでも)だったというから、熊本県や熊本市は「多額の税金を拠出する大義名分はついた」と考えているようだ。

 ただ、初回の開催からまだ4カ月しか経っておらず、半年以上先のイベントをこの時期に発表するのは、他ならぬ事情がある。主催者側は、当初から企画制作する「W TOKYO」と複数開催する暗黙の契約もしていたと思われるが、来年は通常の年ではないからだ。

 1964年以来、56年ぶりに東京でオリンピックが開催される。スポーツとファッション、そして東京と熊本は、ターゲットも場所も競合しないが、ガールズコレクションに「東京」という冠がつくし、TGCは他都市でも開催される。東京オリンピックはTGCにもいろんな面で影響があるのではないかと、W TOKYO側に不安があってもおかしくない。そのため、主催者にはチケット販売やスポンサー獲得を前倒しで進めてもらい、開催費用の原資と自らの利益をできる限り早めに確保しておきたい思惑もあるだろう。

 前回のスポンサーは、メディアパートナーとなったローカル放送局のTKUテレビ熊本がアカウントがあるクライアントに打診し、一業種一社という不文律に則って獲得した。第2回目はどうなのか。前回が商工会議所との絡みから、付き合いで協賛したところが多かったと思うが、企業によっては継続か、撤退か。わずか4億円台の経済効果をどう評価するか。スポンサー側の事情もあるので、営業をかけるなら早い方がいい。もちろん、獲得に当たっては、イベントの大義や内容の進化、マーケティング効果など、表向きは企画次第となる。

 そうは言っても、ガールズコレクションの類いは単なる「客寄せ興業」に過ぎないから、スポンサーが戦略や効果を深く考えているとは思えない。ならば、黙ってカネを出すかと言えば、それも違う。熊本は震災復興が進んだと言っても復興需要は一巡し、景気は減速から下降し始めている。

 一方、自治体側は、前回のTGC開催では震災からの復興を大義とし、客寄せ興行に税金を拠出する理由を何とかつけることができた。しかし、2回目となればそうはいかない。新たなものが必要になる。大西一史熊本市長は、前回と同様に「ファッションを通じた人づくり、街づくりに貢献したい」と、お決まりの抽象論、常套句を語っている。

 熊本市によると、経済効果の内訳は「イベント来場者の17000人が県内で消費した飲食や宿泊、交通費などの直接効果が2億9300万円」「原材料生産などを誘発する間接効果が1億7200万円」。「チケットは完売したが、来場者の85%が県内からで交通費や宿泊費などがやや抑えられた」(西日本新聞)という。

 主催者としては、他県からもっと集客できる心づもりだったようだが、全く当てが外れたようだ。しかし、TGCのような客寄せ興行は、今や政令市ならどこでも行っている。熊本の一月前には福岡市でも「福岡アジアコレクション(FACo)」が開催された。 ジャニーズのコンサートではないのだから、観客はチケットが入手できれば、どこでも駆けつけるわけではない。内容・構成はどの会場も大して変わらないのだから、観客は見たいタレントやブランドが何かで、イベントを選択する。

 集客は2万人にも満たず、県内客がメーンなら飲食や宿泊、交通費などの経済効果は、たかが知れている。(これも自治体特有のもり過ぎ、丼勘定くさいところもあるので、疑わしいのだが)そこで、イベント開催の大義や目標を考えていくと、5億円もの経済効果すら生み出せない市場で、本当にファッションを通じて人づくりができるのか。また、女性が活躍できる街になれるのか。ハッキリ言えば、ノーだ。



 なぜなら、先日、東京商工リサーチから発表された「2018年の熊本県内企業売上高トップ10」を見ると、それがよくわかる。売上高第1位はソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(5322億円)、2位は東京エレクトロン(2470億円)と、「電子部品の製造工場」が上位を占める。ともに工場として法人登記し、税金を納めているわけだが、地元発祥の企業ではない。従業員も大半は派遣社員に頼っているのが実情だ。

 また、トップ10のうち「4社がパチンコ企業」。一発屋歌手の元旦那の実家でもある岩下兄弟(4位、917億円)、司観光開発(5位、639億円)、SB Good Industry(8位、421億円)、二十一世紀グループ(10位、332億円)。4社で何と2300億円以上を稼ぎ出しており、これはTGC熊本の推進委員長である久我彰登氏が経営する鶴屋百貨店(7位、561億円)の4倍強に及ぶ。熊本の企業は百貨店などの小売業より、パチンコの方が多くを集客しているということになる。

 部品工場の従業員が昼勤務の後、パチンコをしてカネを落として帰る。熊本はパチンコ循環経済という構図が浮かび上がる。阿蘇や天草といった景勝地を生かした観光も主力産業とは言い難く、集客も地震の影響で回復しきれていないし、日韓問題によるLCCの運休はダブルパンチだ。 他の基幹産業と言えば、あとは農業くらいだろうか。

 県内の産業基盤は部品製造、パチンコ、そして農業に支えられているのが実情で、それらを変えてまで女性が好む美容・ファッションや旅行、サービスなどの市場を掘り起こし、ビジネス面で大転換を図るのは、土台無理な話。客寄せ興行を行ったところで、県外からの取り込みは思うに任せず、わずか4億円台の経済効果が産業創出の限界を如実に表している。

 前回の企画では、地元国立大生が「ファッション関連プロジェクト」の企画立案に参加。W TOKYOの審査の結果、不要品や廃材を再利用して製品を生み出すアップサイクルのファッションコンテストがグランプリを受賞している。しかし、これを実際にビジネス化するには専門ノウハウが必要で、それを行うのはケミカルサイエンス系の企業になるが、それが熊本にはない。

 一応、第2回目には地元?アパレルブランドのショーも予定されているというが、厳密に見ると熊本は糸、生地の産地でもなければ、シタテルやファクトリエがあるものの、企画製造・卸、リサイクルといった技術開発の土壌はほとんどない。まして、デザイナーが拠点を構え、情報が発信されるクリエイティブな街でもない。中心市街地に商店街があり、衣料品店を集積をしてきたに過ぎず、これらも郊外SCがテナントを充実させて着実に集客と売上げを伸ばず影響で、商業不振が著しい典型的な地方都市だ。




 前回、鶴屋百貨店ではTGCと地元の大学生コラボ企画した「限定スイーツ」、パーカーやTシャツ、トートバッグなどの「オリジナルグッズ」を販売した。これもTGCに多額の協賛料を支払ったのだから当然と言えば当然なのだが、そもそも自店はTGCとはターゲットや客層が違うのだから、販促投資に見合うだけの売上げがあったかは、言わずもながである。

 もっとも、久我社長にとって懸案は、2022年に開業するJR九州熊本駅ビル(商業ビル部分はおそらくアミュプラザ熊本)の動向だと思う。現在、鶴屋東館の「ユナイテッドアローズ」「ル ドーム エディフィス イエナ」「ヴィアバスストップ」「アーバンリサーチ メイクストア」、ニューズ館の「ユナイテッドアローズ GLR」「スピック&スパン」「シップス」「トゥモローランド」などの人気ブランドが、根こそぎ駅ビルに持って行かれるかもしれないからだ。マーケット規模を考えると、熊本2店体制は考えにくい。

 「ビームス」は鶴屋百貨店の斜向い、通町筋に路面店を展開しているが、これもJR九州に請われるとどう転ぶかはわからない。すでに熊本パルコは閉店、業態変更を表明し、鶴屋百貨店周辺からさらに有力ブランドが離脱すれば、中心市街地の地盤沈下に拍車がかかる。熊本商工会議所の会頭はもとより、鶴屋百貨店のトップとしてはそうさせないためにもガールズ系ブランドの誘致に取り組み、中心部へ若い女性を集客して高齢化した顧客の若返りを図りたい。久我社長がTGC熊本に前のめりになるのは、こうした危機感の表れと見て取れる。

 ただ、JR九州は強かだ。熊本地震で不通となった豊肥本線の肥後大津−阿蘇間については、2020年の運転再開を発表した。また、熊本県の椛島郁夫知事が表明した豊肥本線の三里木から阿蘇熊本空港まで枝分かれする空港線の整備にも参画する。しかし、鉄道事業が黒字化する目処は全く立っていない。不動産、デベロッパー事業が収益の柱であり、上場企業であるがゆえに海外投資家の厳しい声も無視できない辛さがある。

 デベロッパー事業がJR九州の屋台骨になるのは言うまでもなく、アミュプラザ熊本は何としても軌道に乗せたいはずだ。駅ビルのSC開発はSPC(特別目的会社)やプロパティマネジメントではないにしても、投資家にリターンするには、歩率家賃で収益を上げ続けなくてはならず、そのためには有力ブランドのリーシングが不可欠。JR九州にとっては共存共栄というリップサービスはあり得ず、自社の利益追求が最優先なのである。

 TGC熊本開催の水面下では、地場企業と大手との激しいつばぜり合い展開されている。W TOKYOのようなプロモーターは、そうした構図を嘲笑うかのように地方再生プロジェクトという旗を振りかざし、自前の活性化策が頭打ちの自治体や方向性を示せない企業やメディアを取り込もうとしている。地方都市にとって「ファッション事業」なんて所詮、空疎空虚なものなのに、自治体も企業もメディアも地場の市場を冷静に見ていないから、つけ込まれる隙を与えているのだ。

 まあ、SPA中心の安もんブランドと芸能人を利用して地方から収奪する輩も、パチンコというギャンブルで地元から冨を吸い上げる輩も、その手法や生み出す効果こそ違えど、根っこの部分ではいたって同じような気もする。それが熊本らしいと言えば、そうかもしれない。

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