以前から報道されていたフランスのファッションコングロマリット、PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)がさる6月18日、CIを導入しグループ名を「ケリング」に変更した。
PPRと言えば、クリスチャン・デオールやマーク・ジェイコブスなどを傘下に持つLVMH(モアヘネシー・ルイヴィトン)グループ、クロエの他にカルチェ、ピアジェといった宝飾・時計ブランドを従えるリシュモングループと、双璧をなす多角経営&ブランド持ち株会社である。
抱えるブランドの顔ぶれは、 グッチ、イヴ・サン・ローラン、ステラ・マッカートニー、アレキサンダー・マックイーン、そしてドイツのプーマ、アウトドア、ゴルフなどと多彩。また、100%子会社のレッドキャッツは、インターネット通販企業で欧州各国に拠点を持ち、値ごろ感のあるトレンドファッションやPBを販売して、ボリューム市場を開拓してきた。
しかし、昨年12月にはそのレッドキャッツを売却し、今回の株主総会ではチルドレン部門「Vertbaudet」&ファミリー部門「Cyrillus」についても、投資会社と売却の話し合いをしているという。05年にはパリの百貨店「Printemps」を売却し、レッドキャッツ売却でPB「Redoute」も傘下を離れ、 PPR の「PR」が無くなったわけだから、CIに踏み切ったのもうなずける。
一大ファッションコングロマリットであり、高級ブランドの持ち株会社だから、ちまちま販売しても中々売上げにつながらない部門は切り離し、ラグジュアリーとプーマが得意とするスポーツライフスタイル部門でがっちり稼ごうというのは理解できる。投資家としても、その方が短期にリターンを求めやすくなるので、納得済みかもしれない。あくまで高級ブランド&スポーツが売れ続けるという前提ではあるが。
今後は傘下の高級ブランドには、単体での収益が重視される。従来はグループ企業が高級ブランドのデザインをコピーして値ごろ感のある商品を企画し、インターネット通販で世界中に売りさばいていた。その売上げがグループ全体の収益をカバーしてくれていたわけだが、こうしたビジネスはもうできない。
世界的に見れば、グッチやイヴ・サン・ローランは顧客を持ち、米国の景気回復やアジアの成長で期待は出来るだろう。 ステラ・マッカートニーは、日本にもコアなファンがいて人気があるし、来年はサッカーのW杯イヤーでプーマも相応の戦略で臨むはずである。
懸念されるとすれば、持ち株会社ブランドが収益を重視するあまりに、売れ筋回れ右の全天候型経営に走ることだ。ブランドの独立性は保たれても、どこかデザインが似ていくのではないかということである。
かつてのグッチとイヴ・サン・ローランのリヴ・ゴーシュは、デザイナーが同じトム・フォードだっただけに、似てしまうのはしょうがなかった。でも、プーマはスポーツシューズづくりのノウハウをもつだけに、これからはグッチやサンローランの高級スニーカーが相似形にならないとも言い切れない。
クリエーションを重視するデザイナーたちは、そうなることは断固拒否するはずだが、収益が上がらなくなれば退任、交替は止むなしである。それが顕著になるのは言うまでもない。
パリやミラノのコレクションレベルでは、各デザイナーのクリエーションを通じて、独自の世界観が披露される。ただ、その前後のプレコレクションはどうだろうか。「えっ、このデザイン、あのブランドも発表していなかったっけ」ってなりはしないだろうか。
売れてなんぼのブランドビジネスだから、しかたない面は往々にしてあるだろう。でも、デザイナーにはあくまで独自のクリエーションを重視して、他にはないデザインの商品を発表し続けてほしいものである。
まあ、「ブランディング」だの、「クリエイティブ」だのと、稚拙な企画書に意味もなく並べたがる三文ローカルメディアには、ファッションビジネスの根底にあるものなど理解できないだろうが。
PPRと言えば、クリスチャン・デオールやマーク・ジェイコブスなどを傘下に持つLVMH(モアヘネシー・ルイヴィトン)グループ、クロエの他にカルチェ、ピアジェといった宝飾・時計ブランドを従えるリシュモングループと、双璧をなす多角経営&ブランド持ち株会社である。
抱えるブランドの顔ぶれは、 グッチ、イヴ・サン・ローラン、ステラ・マッカートニー、アレキサンダー・マックイーン、そしてドイツのプーマ、アウトドア、ゴルフなどと多彩。また、100%子会社のレッドキャッツは、インターネット通販企業で欧州各国に拠点を持ち、値ごろ感のあるトレンドファッションやPBを販売して、ボリューム市場を開拓してきた。
しかし、昨年12月にはそのレッドキャッツを売却し、今回の株主総会ではチルドレン部門「Vertbaudet」&ファミリー部門「Cyrillus」についても、投資会社と売却の話し合いをしているという。05年にはパリの百貨店「Printemps」を売却し、レッドキャッツ売却でPB「Redoute」も傘下を離れ、 PPR の「PR」が無くなったわけだから、CIに踏み切ったのもうなずける。
一大ファッションコングロマリットであり、高級ブランドの持ち株会社だから、ちまちま販売しても中々売上げにつながらない部門は切り離し、ラグジュアリーとプーマが得意とするスポーツライフスタイル部門でがっちり稼ごうというのは理解できる。投資家としても、その方が短期にリターンを求めやすくなるので、納得済みかもしれない。あくまで高級ブランド&スポーツが売れ続けるという前提ではあるが。
今後は傘下の高級ブランドには、単体での収益が重視される。従来はグループ企業が高級ブランドのデザインをコピーして値ごろ感のある商品を企画し、インターネット通販で世界中に売りさばいていた。その売上げがグループ全体の収益をカバーしてくれていたわけだが、こうしたビジネスはもうできない。
世界的に見れば、グッチやイヴ・サン・ローランは顧客を持ち、米国の景気回復やアジアの成長で期待は出来るだろう。 ステラ・マッカートニーは、日本にもコアなファンがいて人気があるし、来年はサッカーのW杯イヤーでプーマも相応の戦略で臨むはずである。
懸念されるとすれば、持ち株会社ブランドが収益を重視するあまりに、売れ筋回れ右の全天候型経営に走ることだ。ブランドの独立性は保たれても、どこかデザインが似ていくのではないかということである。
かつてのグッチとイヴ・サン・ローランのリヴ・ゴーシュは、デザイナーが同じトム・フォードだっただけに、似てしまうのはしょうがなかった。でも、プーマはスポーツシューズづくりのノウハウをもつだけに、これからはグッチやサンローランの高級スニーカーが相似形にならないとも言い切れない。
クリエーションを重視するデザイナーたちは、そうなることは断固拒否するはずだが、収益が上がらなくなれば退任、交替は止むなしである。それが顕著になるのは言うまでもない。
パリやミラノのコレクションレベルでは、各デザイナーのクリエーションを通じて、独自の世界観が披露される。ただ、その前後のプレコレクションはどうだろうか。「えっ、このデザイン、あのブランドも発表していなかったっけ」ってなりはしないだろうか。
売れてなんぼのブランドビジネスだから、しかたない面は往々にしてあるだろう。でも、デザイナーにはあくまで独自のクリエーションを重視して、他にはないデザインの商品を発表し続けてほしいものである。
まあ、「ブランディング」だの、「クリエイティブ」だのと、稚拙な企画書に意味もなく並べたがる三文ローカルメディアには、ファッションビジネスの根底にあるものなど理解できないだろうが。