HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

オン対応のリネンパンツ。

2011-06-23 18:11:19 | Weblog
 「お仕着せのクールビズは要らない」とは言ったものの、では、真夏のオンスタイルをどうするか。
トップスは鹿の子のポロや布帛のシャツなどの定番アイテムがいくらもあるが、ボトムになるとこれが
意外に少ない。
 若者向けはすでに七部丈やハーフのパンツがあるから、デッキシューズやスニーカーを履けば、一応
完結。あとは色で遊べばいい。しかし、これらはカジュアルスタイルのカテゴリーで、ビジネス対応に
なると、裾がぱたぱたするパンツは間抜けに見える。ロングパンツをロールアップするにしても、素材
がチノではいくらコットンでも暑苦しい。
 やはり、夏場はシャリ感のあるリネンがベストなのだが、これが最近はすっかり見なくなった。特に
ビジネス用はどうしても「しわ」が気になり、ケアが大変なせいか、最近はSPAを除けばほとんど出回
らない。それでもロング丈のイージーパンツくらいで、スラックスタイプは皆無だ。ショップのスタッ
フはお客からはチラホラ問い合わせがあるというが、国内のメーカーが作らないのだから、どうしよう
もない。いっそ、オーダーでもするか。
 そんな真夏のコーディネートで思いを巡らせていると、フランスのメーカーから1通のメールが届い
た。「Jusqu’à -75% spécial pantalons」。今年の春夏物のパンツを最高75%オフで処分するという
ものだ。
 フランスもパリを中心にここ数年、暑い夏が続いている。チノやジーンズはこの時期になると動きが
鈍くなるのか、早めに売っていきたいようだ。ビジネス対応は日本と違い、ビスコースとポリエステル
混のセットアップなんかも企画している。これはしわが寄らないため、人気があるようで、ウール素材
と同じデザインで定番化させている。
 そこで、リネンのパンツはないかと、WEBページをスクロールすると、1アイテム見つかった。縦ポ
ケットのスラックススタイルで、セットアップの下ように細くなく、イージーみたいにダブダブでもな
い。渡りから裾にかけてのラインがややテーパードだから、直感でロールアップしてもシルエットはき
れいだと思った。
 小売り価格も30%オフで27,93 ユーロ。2本買って送料、税金を加えても1万円でおつりが来る。
半ば衝動的にオーダーし、先日、商品が届いた。実物を見ると、素材もこしがあって上質だし、フロン
トの折り目部分ではひざ上までステッチがかかっていて、中々お洒落なデザインだ。
 センスの有無、体型の違いに関係なく誰でもはきこなせるデザイン。ノープリーツのストレートだか
らしわも気にならないし、こしがあるので洗濯も十分利きそうである。惜しむらくはボタンフライの点。
用を足した後、くれぐれも窓を閉めることを忘れないようにしたい。
 もっとも、この程度のものがなぜ、国内のメーカーに企画できないのか。また、小売り側も売ろうと
いう気にならないのか。クールビズどうのこうの前に、夏が暑いのに変わりないのだから、もっと「メ
ンズ企画を熟考する」必要があるのではないだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お仕着せのクールビズは不要。

2011-06-20 15:39:11 | Weblog
 東日本大震災、原発問題により、この夏はスーパークールビズを業界ははやらかそうとしている。
しかし、アパレルメーカーが急に「今年向けの商品」を手配できるはずもなく、小売り各社には諦め
ムードが漂っている。
 そもそも、クールビズとは、環境省が2005年に始めたキャンペーンだ。オフィスは夏場でもスー
ツ&ネクタイスタイルで仕事ができるように、室温を22~23℃くらいまで落としていたが、これが
異常に電力を消費する。
 そこで、28℃くらいまで上げる変わりにウエアも軽装にしようと始まったものだ。まあ、デスク
ワークがメーンのOLさんらは制服では寒いため、カーディガンは放せない人もいたのだから、おか
しな話しである。これも男性中心に冷房温度が設定されたいたようはきらいはある。
 ただ、今年は原発問題で夏場の電力が逼迫するのは目に見えているので、電力を使う側から温度
設定や軽装に心がけようということで、業界も「スーパークールビズ」で、一山当てようと乗り出
したようだ。
 もっとも、日本の夏が蒸し暑いのは有史以来から決まっていたことで、奈良時代以降、中国から
着物が伝わると、襟元や袖口を広げて日本の気候にあうようにアレンジしていった。それが日本な
りのファッション文化を醸成していった。
 ところが、明治以降、西洋文化のスーツスタイルが伝来し、ビジネス用の戦闘服として日本社会
に根付いていった。そもそもテーラードスーツの日本名、「背広」はロンドン仕立て屋街のサビル
・ロウに由来するという説があるように、ここらの気候、西岸海洋性(最暖月平均気温が10℃以上
22℃未満)で生まれたファッション文化。つまり、元来、温暖湿潤気候、特に夏が亜熱帯化してい
る昨今の日本にあうわけがない。
 だから、日本の夏のビジネスウエアは軽装であるべきなのだ。丸洗い可能ウールスーツやネクタ
イOKのポロシャツなんかの前に、「ジャケットを脱ぎ、ネクタイをはずせ」ばいいのだ。それじゃ、
仕事ができないという意見もあるようだが、加齢臭が気になるおっさんが汗臭いドブ鼠ルックで外
回りする方が、かえって取引先に迷惑ではというのが筆者の意見。
 内勤にしても、ボタンダウンのシャツにコットンのパンツ、ラウンドトゥのローファーなんかで
十分。あとはファッション業界側が生地や色、シルエット、デザインでトレンドを打ち出せばいい。
アロハは、破れたジーンズは、ショートパンツはとか、メディアが勝手に基準を作り、型にはめよ
うとし過ぎだ。
 むしろ、着こなしのルールは「自分の判断で決める」。ビジネスの世界で仕事をしているだから、
それくらいの判断ができて然るべきだ。「若者はやせているから軽装が似合うが、中年になるとメ
タボが気になって」なんていうのは、言い訳に過ぎない。
 部下に対し日頃から「仕事は自分の頭で考えてやれ」と言っている上司が「自分で夏のビジネス
スタイルを考えられない」でどうするのか。ファッションは自由なものだ。だから、暑い夏にはベ
アルックが登場する。ところが、これとビジネススタイルをごっちゃにするからややこしくなって、
型にはめたくなるのだ。
 クールビズなんか提唱する前に、暑ければ脱ぐ。その着こなしバランスを考えるのが個人のセン
スであり、能力だ。仕事のできる人間なら、きっと考えきれるはずである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする