文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
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インド企業株 取得完了に遅れ コクヨ、今月中旬に…日経新聞10月1日13面より

2011年10月01日 16時41分02秒 | 日記
コクヨは30日、インドの文具大手カムリン(ムンバイ)の株式取得の完了時期が当初予定の9月から10月中旬にずれ込むとの見通しを発表した。

TOB(株式公開買い付け)に関するインド当局の許認可が遅れたため。カムリンは2011年10~12月期にコクヨの連結子会社となる見通しだ。

すでにコクヨは7月初旬にカムリンの第三者割当増資を引き受け、10%を出資。10月13日に創業家から20・3%の株式を買い取り、出資比率を50%超に引き上げる予定。

格安航空、大手抜くライアンエアーやエアアジア 収益性・成長性を評価…日経新聞10月1日13面より

2011年10月01日 16時40分07秒 | 日記
世界の航空業界で、格安航空会社(LCC)の株式時価総額が大手航空を上回る事例が相次いでいる。欧州ではライアンエアー(アイルランド)が時価総額でルフトハンザ(独)を逆転し、アジアではエアアジア(マレーシア)とマレーシア航空(同)の差が2倍近くに達した。割安な運賃で新たな需要を開拓。成長性が評価されている。

アジア最大のLCCエアアジアの株式時価総額は現在約2020億円。1年間で約3割拡大し、マレーシア航空(約1070億円)、タイ航空(約1110億円)を今年夏までに抜いた。

欧州でもライアンエアーの時価総額は約4940億円で、景気悪化への懸念で株価が下落したルフトハンザを9月に上回った。3年前に逆転したエールフランスーKLM(仏蘭)の約3倍に達している。

LCCの事業規模は大手航空に及ばない。2011年4~6月期の売上高はマレーシア航空が822億円なのに対し、エアアジアは258億円。ライアンエアーも1189億円とルフトハンザ(7852億円)を下回る。

ただし収益性という点では、4~6月期にマレーシア航空やタイ航空が営業赤字だったのに対し、エアアジアは50億円強の営業黒字を確保した。

大手航空かりーマン・ショック後の需要低迷に直面するなか、「低運賃を武器に需要を掘り起こしていることが評価されている」三菱UFJモルガン・スタンレー証券の姫野良太シニアアナリスト)。大手に比べ人件費などの固定費負担が小さく、需要減退時でも業績の落ち込みが小さいのも強みだ。

米国では既に格安航空のサウスウエスト(約5270億円)の時価総額が、デルタ(約5110億円)やユナイテッド・コンチネンタル(約5160億円)にほぼ並ぶ状況が定着している。

日本では全日本空輸、日本航空がLCC事業を来年開始する。「業績への影響は未知数で、母体企業の株式の買い材料にならない」(国内投資顧問)との見方が多い。

とはいえ、デフレが長期化する日本で将来、LCCが定着すれば航空業界の収益構造や業界地図が塗り替わる可能性もある。

清水建設 海外不動産開発に再参入 20年ぶり まずシンガポールで…日経新聞10月1日13面より

2011年10月01日 16時39分05秒 | 日記
清水建設は海外不動産事業に再参入する。シンガポールに投資子会社を設立。第1弾の投資案件として、シンガポール不動産大手のキャピタランドと三菱地所が手掛ける大規模な住宅分譲事業に参加する。

清水建設が海外の不動産開発を手掛けるのは20年ぶり。経済成長が続くアジアの需要を取り込み、主力の建設事業だけでなく不動産開発も海外展開を急ぐ。

シンガポールでのマンション開発は総額200億円のプロジェクト。清水建設は新設の投資会社、シミズ・インべストメントを通じて30日に20億円を出資し、キャピタランドの持ち分を取得した。

シンガポール中心部のビシャン・セントラル地区に38階建ての超高層マンション2棟を建設して分譲する。2012年に着工し、15年に完成する予定。

今後の投資もシンガポールなどアジア市場を中心とする。不動産開発投資を通じて、アジアの不動産開発大手との関係も強化し、建設工事の受注増にもつなげる。今回の超高層マンション建設でも工事受注を狙う。

清水建設が海外不動産投資を手掛けるのは1991年以来、20年ぶり。バブル経済の崩壊後に海外不動産事業から撤退していたが、本業の建設事業も含めた経営のグローバル化や受注拡大を狙い不動産開発も再開することにした。

ブラジルの農薬メーカー 三井化学など3社出資…日経新聞10月1日13面より

2011年10月01日 16時37分59秒 | 日記
三井化学とクミアイ化学工業、日産化学工業の3社は、ブラジルの日系農薬メーカーに出資する。現地資本が持つ2割弱の株式を買い取る。ブラジルは穀物を中心に農産物の生産量が拡大しており、農薬も成長市場と
みて事業を拡大する。

3社が出資するのはサンパウロ州の農薬メーカー、イハラブラス。出資比率は三井化学アグロ(東京・港)が10%超、日産化学が3%、すでに18%を出資するクミアイ化学は22%になる見通し。筆頭株主は28%の日本曹達で変わらない。

イハラブラスは1965年に三井物産とクミアイ化学が立ち上げた農薬の製販会社。ほかに住友商事や三菱商事などが出資しており、3社による引き受けで日本企業がほぼすべての株式を持つことになる。ブラジルでの農薬の販売シェアは4%程度とみられる。

三井化学は国内では住友化学に次ぐ農薬大手だが、これまで海外展開は遅れていた。現在農薬事業の海外売上高比率は15%程度で、2015年までに約4割に引き上げる計画。ブラジルでは13年に殺虫剤「ジノテフラン」を発売する予定だ。

東洋製缶 米社を買収 海外M&Aに1000億円 財務武器に積極化…日経新聞10月1日13面より

2011年10月01日 16時36分44秒 | 日記
海外売上比率30%目指す

製缶国内最大手の東洋製缶は、今後5~10年で海外でのM&A(合併・買収)を中心に1000億円程度を投じる方針だ。30日に発表した米製缶機械大手の買収に加え、強固な財務体質を武器に他社への出資などを積極化する。国内市場の伸びが見込みにくいなかで新興国などの需要を取り込み、海外売上高比率を現在の約9%から長期的に30%に引き上げる。

同社は米製缶機械大手、ストーレマシナリーカンパニー(コロラド州)の全発行済み株式を同社の親会社であるGSOキャピタルパートナースなどから約7億7500万ドル(約597億円)で年内をめどに買い取る。今回が同社として最大の海外投資案件となる。

ストーレは鉄やアルミニウムを飲料や食品容器に加工する機械を製造しており、米国とブラジルに工場を持つ。2010年度の売上高は2億4600万ドル(約190億円)で世界首位グループ。売上高のうち北米と欧州が合計26%で、残りは南米や中国、中東などの新興国で稼ぐ。

東洋製缶も子会社の東洋食品機械(横浜市)で製缶機械を生産しておりストーレと技術面での補完関係を見込む。東洋製缶が保有する環境負荷が少ない独自の製缶技術をストーレに供与する。

東洋が海外工場を建設する際に、ストーレから設備を安価に調達するなどし、製缶事業の収益拡大につなげる。
飲料や食品保管用の容器は新興国を中心に市場拡大が見込まれている。

10年の鉄製とアルミニウム製を合わせた世界の缶市場は2500億個で、今後、年100億個程度の成長が見込まれているという。

一方で国内は少子高齢化を背景に年25O億個で頭打ちの状態が続く。東洋製缶はこれまで過剰な設備投資を抑えるなど堅実経営で知られ、11年3月期末の自己資本比率は6割強、前期末の現預金は1500億円を超える。豊富な余剰資金をM&Aに振り向け、成長市場を開拓する。

素材各社も世界需要の取り込みを狙い容器事業に投資している。新日本製鉄は中国で13年に飲料・食品容器に使う鋼板工場を地元企業と建設。

JFEスチールも同様の鋼板工場の建設をインドやベトナムなどで検討している。今後も生活に密着した素材や部材の海外展開が活発になりそうだ。  

環境都市建設へ 事業化調査開始 東芝、茨木市で …日経新聞10月1日11面より

2011年10月01日 15時00分13秒 | 日記
東芝は30日、大阪府茨木市の自社工場跡地に環境配慮型都市「スマートコミュニティー」を建設するための事業化調査を始めると発表した。

太陽光パネルを設置した住宅や商業施設を整備し、電力・エネルギーの需給を効率よく制御するスマートグリッド(次世代送電網)を導入する計画だ。

情報通信などで ロシア社と協定 NEC…日経新聞10月1日11面より

2011年10月01日 14時58分24秒 | 日記
NECはロシアの政府系投資会社ロスナノと情報通信技術や生体認証技術、エネルギー、スマートシティー(環境配慮型都市)などの分野を対象に、相互協力協定(MOU)を結んだ。ロシアでの事業を検討する。

ロシアでは2014年のソチ冬季五輪、18年のサッカーワールドカップなどイベントが相次ぎ、社会インフラの整備が急速に進む見通し。

インドの電力機器大手 日立が子会社化…日経新聞10月1日11面より

2011年10月01日 14時54分04秒 | 日記
新工場を建設

日立製作所は30日、インドの電力機器大手、ハイレル・エレクトロニクス社(グジャラート州)を10月に子会社化すると発表した。数十億円を投じ同社株の60%以上を取得する。

新工場も建設し、2012年12月末までの稼働を目指す。インドでは産業用インバーターなど電力機器の需要が拡大しており、日立はハイレルの生産力や販路を活用して市場を開拓する。

子会社化後、ハイレル社は社名を「日立ハイレル・パワー・エレクトロニクス」に変更。15年度に80億ルピー(約140億円)の売上高を目指す。

新工場はグジャラート州の工業団地内に建設する。投資額や生産規模は今後詰める。

3社統合へ社内ウェブ パナソニック クラウド活用…日経新聞10月1日11面より

2011年10月01日 14時53分01秒 | 日記
パナソニックは来年1月のパナソニック電工。三洋電機との事業統合に先駆け、10月に3社共通の社内ウェブサービスを導入する。インターネット上で様々なサービスを利用するクラウドコンピューティングを活用。

メール、予定管理、ウェブ会議などで合計20万人が情報を共有できるようにする。運用費などで年30億円のコスト削減効果を見込む。

新システム「グローバルーワークプレイス(GWP)」の対象となるのは、3社合計で約37万人いる社員のうち管理部門、営業部門を中心とする20万人。まず国内から始め、年内に海外の拠点にも広げる方針。約20力国の言語に対応する。

新システムは他社のグラウトサービスを利用して、メールや予定管理のほかウェブ会議や資料の共有などの機能を一元化する。自宅からもウェブ会議に参加したり、資料を閲覧したりできるようにする。

パナソニックは来年1月にパナソニック電工、三洋電機と事業統合する予定。それに先駆けて共通のネットワークシステムを導入することで情報共有を深める。気軽に商品のアイデアなどを出し合い、製品開発のスピードと質も高めたい考えだ。

出張費の抑制や生産性向上も期待できるとみている。パナソニックは今後、経理、人事などを扱う基幹システムの統合も段階的に進める。

日産、14年に新工場稼働 ブラジルで戦略小型車…日経新聞10月1日9面より

2011年10月01日 14時31分30秒 | 日記
日産自動車がブラジルに建設を予定している新工場の概要が30日、わかった。リオデジャネイロ州に建設し、年産能力は約20万台で2014年に戦略小型車の生産を始める。

投資額は今後5~6年で累計1000億円を超える見込み。世界第4位の自動車市場に成長したブラジルの攻略を本格化し、16年度に現状1%にとどまる市場シェアを5%以上に引き上げる。

日産は6月に発表した中期経営計画でブラジルに新工場を設ける方針を表明していた。リオデジャネイロは人口が集中するブラジルの南東部の主要都市。市場に近いうえ、海運輸送にも適している。

当初、メキシコから調達する部品が多いため、部品調達を効率化できる立地として選んだ。生産車種はまずは日産の戦略小型車「マーチ」になる。ブラジル市場はマーチと同じ小型ハッチバックタイプの車種が市場の過半を占める。

市場ニーズの強い車種の現地生産から始め、段階的に車種を広げる。将来は電気自動車(EV)の現地生産も視野に入れる。マーチは「Vプラットホーム」と呼ぶ日産が5年がかりで開発した低コストな車台を用いる。

設計を世界で共通化し、汎用部材で対応可能。部品産業が育っていない新興国の生産に適した車台だ。これまでにタイ、中国、インド、メキシコで同車台を用いた生産を開始し、ブラジルで5力国目になる。ブラジル市場は年率10%以上の成長を続け、10年は357万台。

中国建機大手が日本進出 中聯重科 ポンプ車30台受注…日経新聞10月1日11面より

2011年10月01日 14時26分54秒 | 日記
【上海=菅原透】中国の建機大手、中聯重工科技発展(中聯重科、湖南省)が日本に進出する。福島県の建築・土木会社から生コンクリートを圧送するポンプ車30台を受注。

10月から順次、出荷する。中聯重科が日本向けに輸出するのは初めて。同社では2012年をメドに日本で研究所と生産拠点を設け、市場開拓を本格化する方針だ。

金堀重機(福島県会津若松市、宮沢洋一社長)から受注した。高さ33メートルから生コンを圧送できるポンプ車など30台を13年4月までに出荷する。金堀重機は現在、17台のポンプ車を保有するが、順次、中聯重科製に切り替える。

中聯重科は今後、日本で研究所と工場の設立を検討する。道路交通法など日本の法規にあった製品に改良するなどして、日本の顧客要求に素早く対応する体制を整える。

中聯重科はポンプ車などコンクリート機械やクレーン車が主力。1~6月期の売上高は前年同期比50%増の241億4800万元(約2900億円)で、純利益は同2・1倍の46億2800万元だった。08年に伊コンクリート機械大手のシーファ社を買収。近年は東南アジアなど海外での展開も積極化している。

中国の建機メーカーでは三一集団(湖南省)も日本での受注活動に力を入れている。コマツなど世界的な建機大手がひしめく日本市場で今後、中国勢との競争が激しくなりそうだ。

円高でも日本への投資継続 米サンディスク メロートラCEO…日経新聞10月1日9面より

2011年10月01日 14時02分08秒 | 日記
▽…フラッシュメモリー大手、米サンディスクのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は30日、「円高という困難な状況でも、日本への投資を続けていく」と語った。

東芝と共同運営する三重県四日市市の工場に総額で60億ドル(約4500億円)を投じており、「外国の企業としては最大級だろう」と胸を張る。

▽…東日本大震災では生産拠点を集中させるリスクが顕在化したが、「四日市工場は免震構造など最新の耐震対策を施しており、東芝との共同事業によるスケールメリットを享受している」と強調する。「日本で新技術を開発し、より早く展開することで、性能とコストの両面で競争力を高めていく」と決意を新たにしていた。

中国市場 著作権への認識甘く…日経新聞10月1日9面より

2011年10月01日 14時01分10秒 | 日記
日本のキャラクターやアニメなどのコンテンツは海外で高い評価を受けている。とりわけ中国での人気は高く、規制の多いテレビや映画でも「クレヨンしんちゃん」や「ウルトラマン」などが放映されている。

頭打ちとなっている日本のコンテンツ市場と違い、2010年の中国のコンテンツ市場規模は05年比73%増の135億ドル (1兆370億円)と急成長。日本の4割程度の水準まで拡大している。

市場の急拡大を支えるのは世界最大に膨れあがったインターネット人□だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)が今年実施した調査によると、「九〇後(90年代生まれ)の若者は日本のアニメをネットで見るケースが多い」。

日本のアニメなどソフトが海外で人気を博す 「クールジャパン」現象は日本のコンテンツ産業にとって大きな追い風だ。だが、中国では著作権侵害のリスクが事業展開の大きな壁となっていた。

特許庁によると、日本企業が受けた模倣被害の社数(09年度で1059社)のうち、中国の割合が66%と最多だった。著作権への意識が定着していないために、「キャラクター使用料を回収できないケースもある」(調査会社幹部)。

ブランド管理に厳格な米ウォルドーディズニーは上海市政府系企業と組んで「上海ディズニーランド」の開発を急いでいる。これから市場開拓に挑む企業にとっては、「現地の有力企業と組むことは有効な手段の一つ」(ジェトロ)。

提携先企業が自社の利益を守るために海賊版の排除などの対策を徹底することが期待できるためだ。
チャンスとリスクが混在する中国でのコンテンツビジネス。無理に自力で展開せずに、現地事情に通じた相手と組むことは、開拓が困難な市場ではビジネスを成功に導く一つの手法といえる。

サンリオ 商習慣のリスク軽減 「キティ」使用権、香港社に…日経新聞10月1日9面より

2011年10月01日 12時38分29秒 | 日記
中国でキャラクター事業強化

サンリオは香港の大手商社、利豊(リー&フォン)グループに中国の事業権を供与する。「ハローキティ」などキャラクターを中国で展開する権利や、現地企業への二次使用権の認可などを利豊に任せる。

日本の著名キャラクターは海外でも人気が高いが、著作権侵害のリスクや商習慣の違いなどの要因で中国での展開は遅れている。利豊のネットワークを活用し、中国売上高(小売りベース)を3年後に現在の2倍の200億円に引き上げる。

利豊グループの創業家が2007年に買収した兼松繊維(東京・品川)と10月上旬に契約する。今後、兼松繊維を含め利豊グループが中国での版権管理を手掛け、衣料・雑貨・玩具メーカーなど他社にキャラクター使用権を広げる窓口となる。中国での売り上げの数%をサンリオが受け取る仕組み。

サンリオは欧米では子会社を通じて自社でメーカーと交渉しているが、中国は著作権ビジネスに対する認識が甘く、知的財産権を侵害されることも多かった。代金回収などでもリスクが多く、自社での営業・管理は難しいと判断した。サンリオがマスターフイセンスを供与するのは初めて。

中国では米ウォルマートーストアーズや仏カルフールなど外資系大手小売りが出店を加速し、流通網が整備されつつある。こうした小売店でキティの雑貨をコーナー展開すれば効率的に事業を拡大できるとみている。

サンリオは国内の玩具・雑貨市場が低迷するなか、海外でキャラクターの使用権を供与する事業を拡大している。中期経営計画で15年3月期の連結営業利益は11年3月期比6割増の210億円を掲げているが、中国など新興国での事業を加速することで前倒しで達成したい考えだ。

利豊グループはセブン&アイーホールディングスや米トイザラスなどに商品を供給する大手企業集団。昨年、利豊グループ傘下の投資会社フォンーインベストメントがサンリオ株を1%取得。利豊グループの取引先であるアジア工場を活用するなど、製造面では連携していた。

「流動性のわな」の暗い影 FRBが米版ゼロ金利政策 …日経新聞10月1日6面より

2011年10月01日 12時30分00秒 | 日記
今から10年ほど前、筆者は日銀幹部らと超低金利政策がはらむ逆説を長時間議論した。日銀は当時、金融面から景気刺激策を取るよう圧力を受け、ゼロ金利という緩和策を採用した。

しかしゼロ金利を続ければ続けるほど効果には疑問を持ったようだ。問題は日本の金融システムの二極化だと日銀幹部らは訴えた。企業は資金繰りに苦しんでいるのに、銀行が極端にリスクを嫌うため借り入れができないのだという。そうなると金利がゼロであろうとなかろうと関係ない。
  
その一方で融資を必要としないような優良企業は恐ろしく容易に資金調達ができる。結果的に「(中央銀行が資金を供給しても経済活動が高まらない)流動性のわな」に陥ってしまった。

当時の速水優日銀総裁は本当は金利を上げられれば預金者だけでも救えるのにとそっと漏らしたものだ。
当時の日銀の経験が、現在の米連邦準備理事会(FRB)の政策決定に暗い影を投げかけている。FRBが先週、日銀ゼロ金利政策の米国版ともいうべきツイスト・オペを打ち出した。

長期国債などを積極購入する一方で短期国債を売却して長期金利を引き下げ、企業や住宅市場に資金を供給する政策だ。

しかし国際通貨基金(IMF)が金融安定性報告の中で指摘したとおり、米経済も(10年前の日本同様)二極化している。米優良企業の多くは高い収益性を誇り流動性も十分確保している。他方で米国内の雇用の大半を担う多くの中小企業の資金繰りは依然厳しい。
  
先週末のIMF年次総会では3通りの解決策が参加者から提示された。欧州各国は金融規制当局が目標設定や政治的圧力で銀行に貸し出しを「強く指導」するよう求めた。銀行関係者は銀行の自己資本規制緩和が問題解決の近道と説いた。

各国中央銀行がもっと直接的に融資に関与すべきだとの主張もエコノミストから上がった。FRB元副議長のアラン・ブラインダー氏は、FRBが住宅ローン担保債券や企業向けローンを購入するよう主張する。

米中小企業向けの融資を担保にした有価証券をFRBが買う案も披露された。中小企業向け融資担保証券の買い上げというのは理にかなって見えるが、欧州債務危機により米銀がリスク回避傾向を強める現状では特効薬とはならない。速水総裁が生きていたらどう助言するだろう。

(30日付)=英フィナンシャル・タイムズ特約