文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日経新聞、詩歌・教養欄が「阿部公房」を取り上げていたから読んで見た。

2011年10月16日 21時57分00秒 | 日記
…前文略(殆ど全文略)

日本の作家では初めてワープロを使って長編小説『方舟さくら丸』を書いたことでも話題になった。
…後略。

この部分を読んだ時、25年超前、不動産売買仲介業に於いて、芥川もまた、恐らく日本で最初にワープロを使って折込広告を作った人間である事を思い出した。当時は、切ったり張ったりして広告を作っていたのであるが、当然なことながら、真っ直ぐな線で切り貼りするのは大変な作業だったのである。

そんな時にワープロが発売されたから、早速、弊社社員を大栄経理学院に勉強に行かせたのである。一刻も早くワープロで原稿を作りたかったのだが、社員は、とても難しくて社長の考えている時間では無理です、と言って来た。

そこで芥川は上記の学院に電話を入れ、最も優秀なインストラクターを派遣してくれと依頼したのである。「1時間当たりでは大変な額になりますが」「構わん、直ぐにお願いする」

芥川は広告を作る為に必要な事だけを聞いて覚えた訳である。「自由な大きさで囲み線を引くには?」「網掛けは?」二重線やetc.

2時間で覚えたが、基本的な事は、今でも分からない(笑)

しかし、この広告がどれほどの出来栄えだったかと言えば、上記の学院から教材で使わせてほしいとの要請があった事でも分かるだろう。無論、弊社のスタイル、企業秘密だから、それは出来ないと断ったのだ。(笑)

何と言う事もない話だが。

Hさんへ、10月16日。

2011年10月16日 20時48分33秒 | 日記


gooにおける昨日のアクセス数は、以下の数字でした。


 


1015日のアクセス数


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順位: 712 / 1,643,805ブログ中 (前日比  )


 



一方昨日のアメーバは 閲覧数:635 訪問者数:462


gooの、ページごとの閲覧数ベスト20は以下の通りです。


 


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昨日の結果も、芥川の本望、本懐でした。



反ウォール街デモ 格差や若者の失業背景 他…日経新聞10月16日13,5,7面より

2011年10月16日 17時41分09秒 | 日記
先月中旬に米ニューヨークで始まった「反ウォール街」デモは首都ワシントンをはじめ全米各地に飛び火し、参加者が増えている。

米ニューヨーク・タイムズ社説(9日付)は、背景に所得格差の拡大、貧困層の増大などがあると指摘、これらの課題解決を求める声に「ワシントンの誰も耳を傾けようとしないことが問題だ」と理解を示した。

同紙は25歳以下の大卒者の失業率が9・6%、高卒の若者では21・6%に上ると説明した上で、「ほとんどの米国人にとって経済は機能していない」と論評。住宅などの差し押さえ救済策、金融取引税の導入や累進課税の強化を求めた。

米ボストン・グローブ社説(10日付)は、この運動は世界的な広がりを持つと指摘。「資本主義の隠れた手に(武器の)メリケンサックが付いている」と経済のグローバル化の影響を挙げ、運動は「米国そして世界の良心に問いを発している」と強い共感を表明した。

この運動は「ウォール街を占拠せよ」のスローガンを掲げ、一部で警官隊との衝突も発生している。ワシントンでも集会場所をめぐり当局との対立が生じているが、米ワシントン・ポスト社説(12日付)は「運動参加者は場所を与えられるべきだ」と主張、集会の自由の尊重を訴えた。

こうした論調と対照的なのが米ウォール・ストリート・ジャーナル社説(4日付)で、抗議参加者について、「ウォール街をはじめ何にでも怒りをぶつけるろくでなしの連中」であり、「特に目的も持たないようだ」と指摘した。

参加者は医療保険制度改革やクリーンエネルギー補助金などの政策を擁護してきたが、あまり効果を上げていないため「いらだっている」と分析。

「我々は同情するが、何かを良くしたいのなら、(保守派の草の根運動の)茶会党に加わるのはどうだろう」と論じた。(電子版などを参考にしました)
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反ウォール街デモ 世界に波及
「格差」「反緊縮」…主張は様々  NY、勢い維持
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オバマ外交、決め球は野球  キューバでWBC模索
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タイ洪水被害 日系企業「震災と同じ構図」供給網が寸断 車各社、支援員を派遣
デジカメ生産も直撃 ニコンやソニー年末商戦に影響も
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中国の車大手 ブラジル生産 国内減速、海外シフト
ブラジルの上乗せ課税 中韓勢狙い撃ち


太陽電池、日本メーカー生き残れるか? 京セラ社長 久芳徹夫氏…日経新聞10月16日7面より

2011年10月16日 17時39分52秒 | 日記
目先のシェアより質向上  文中黒字化は芥川。

太陽電池市場の成長が踊り場を迎えた。世界需要の7割を占める欧州の景気悪化に中国企業の価格攻勢が加わり、日本や欧米各社は軒並み業績を悪化させている。

円高で輸出採算が悪化する中、世界シェアが低い日本メーカーは生き残れるのか。国内2位の京セラの久芳徹夫社長に聞いた。

――欧州で債務危機が深刻化し、各国政府の補助金政策も縮小している。
「欧州の市場環境がこれほど悪くなるとは思っていなかった。世界の太陽電池市場は2009年、10年と前年を上回ったが、今年は様相が異なる。

ドイツが固定価格買い取り制度(FIT)を削減する見込みで、来年も市況改善は期待しにくい。円高の中でいかに競争するか。現在、今年度80万キロワット、12年度に100万キロワットを生産する中期計画を見直しているところだ」 

-―中国勢の価格攻勢を受け、国内外の大手も赤字転落している。

「中国は国策として太陽電池産業の育成を後押しており、安値攻勢は尋常でない。それでも当社は上半期(4~9月期)も黒字を維持した。利益率は下がっているが、下半期以降も黒字を維持する計画だ」

「他社と異なるのはシリコン粒子の鋳造から一貫生産し、開発陣と生産現場が一体で技術革新に取り組んでいることだ。太陽電池の基幹部品『セル』製造で、改善の自由度が高い。部材の外部調達や工程の外部委託は、その瞬間は採算が改善するが長続きしない」 

―-円高対策で、セル生産を海外移転する考えは。
「滋賀県の2工場でセルを生産しているが、現時点で海外移転は考えていない。セルの生産効率や材料費低減などまだ改善余地かおり、発電能力も少しずつだが引き上げられる。

労務費が安い海外で生産すれば、採算が劇的に改善するわけではない。成長が鈍化したとはいえ、中長期では
必ず伸びる市場だ。1キロワット当たりの発電コストを引き下げる次世代セルの研究開発も進めるなど、将来への布石も打っている」

--日本勢は世界シェアが後退し、シャープと京セラがかろうじて10位以内。事業を続けていけるのか。
「太陽電池はテレビや半導体と異なり、自動車や建築物のような耐久消費財だ。顧客である個人や企業、自治体は10~20年使用することを前提に購入している。採算割れになるぐらい価格を極端に下げればシェアは取れるが、そうした戦略はとらない」

「初期コストが安いという理由で新興の中国製を選ぶ顧客もいるが、品質や性能に対する評価が定まるには時間がかかる。京セラは36年の実績がある。顧客は販売価格が高くても、いずれ長期のトータルコストで評価するようになる」

米社相次ぎ破綻 日本勢も正念場 将来性が期待される太陽電池だが、日米欧の大手メーカーは苦戦を強いられている。米国では8月にエバーグリーンソーラーなど3社が経営破綻した。国内最大手のシャープと独Qセルズも今年上半期(1~6月期)は赤字だった。

京セラの太陽電池事業の売上高は1000億円超とみられる。創業者の稲盛和夫氏の方針で、目先のシェアを追わず黒字確保と国内雇用の維持を最優先にしてきた。

ただ、円高のハンディを背負いながら競争を続けるのは容易でない。圧倒的シェアを握った中国勢が品質も高めてきた時に太刀打ちできるか、正念場となる。 (堀江耕平)

新日鉄エンジマレーシアに工場 パーム由来の燃料生産…日経新聞10月16日7面より

2011年10月16日 17時39分11秒 | 日記
新日鉄エンジニアリングは、パーム油の廃棄物を原料とする石炭コークス代替燃料の製造・販売事業に参入する。2013年春にもマレーシアに専用プラントを稼働して、毎年3000トンを生産する。

パーム油の残さの大半は東南アジア諸国で産業廃棄物として処分されている。環境配慮型の燃料として輸入し、日本国内の清掃工場などに売り込む。

製造するのは「バイオコークス」と呼ぶ燃料。マレーシアにはパーム油工場が多数立地するが、これらの工場から油を取り出した後に廃棄されるパームの空果房を調達、専用プラントで乾燥・加熱して乾留する。

都市ごみの焼却処分などに使うガス化溶融炉の燃料として利用できる。通常ガス化溶融炉は石炭コークスを燃料とするが、全量をバイオコークスに切り替えれば、コークスの燃焼に伴うCO2の排出をゼロと見なせる。

12年春にも西部ペラ州で専用プラントの建設に着手、13年の稼働を目指す。総事業費は4億~5億円程度。製造したバイオコークスを日本に逆輸入して、ガス化溶融炉を持つ国内自治体などに販売する。

新日鉄エンジは国内清掃工場など30~40力所にガス化溶融炉の納入実績があり、まずこれらの清掃工場に売り込む。販売するバイオコークスの価格は未定だが、1トン当たり5万~7万円程度になるとみられる。

日本企業がパーム由来のバイオコークスの商用量産に乗り出すのは初めて。13年度にも年1億円以上の販売を目指す。

黄金のフルートをもつ男 ジェームズ・ゴールウェイ リンダ・ブリッジズ著…日経読書欄から。

2011年10月16日 17時14分42秒 | 日記
ベルリン・フィルの首席フルート奏者を務めた巨匠の自伝。

北アイルランドの労働者階級の家庭に育った少年がフルートと出合い、頭角をあらわして栄光の階段を上っていく。

世界最高のオーケストラで指揮者カラヤンの信頼を得るが、ソリストになる夢を断ち難く、たもとを分かつことに。

結婚生活の破綻、片腕を骨折する交通事故など、過酷な運命に強い意志で立ち向かう姿に打たれる。高月園子訳。
 
(時事通信社・2500円)

メジャー級アメリカ 経済学に挑んで 佐藤隆三著…日経読書欄から。

2011年10月16日 17時10分29秒 | 日記
ノーベル経済学賞は今年も米国の研究者が選ばれ、日本人の初受賞はならなかった。戦後の米国経済学が隆盛を極めるのは、覇権国である米国の経済分析として発展してきたからかもしれない。

米国の一流大学で長年教職についていた著者は、大リーグ選手と同じように努力と強烈なプレッシャーに耐える信念が必要だと説く。ポール・サミュエルソンら著名経済学者との交流を織り交ぜながら、経済学研究の第一線のさまを描く。
 
(日本評論社・2300円)

「モラルのある人は、そんなことはしない」科学の進歩と倫理のはざま…朝日新聞10月16日13面より

2011年10月16日 16時32分46秒 | 日記
アクセル・カーン〈著〉 

生命操作の技術をどう考える 辻篤子(本社論説委員)

文中黒字化、*は芥川。

カズオ・イシグロ原作の映画「わたしを離さないで」の切ないシーンがよみがえっだ。クローン技術で臓器提供のためだけに生まれてきた少年少女の物語だ。

この想定こそ荒唐無稽に思えても、きょうだいへの移植を目的にこどもをつくることを認めるかどうか、そんな議論は現実に起きている。

生殖補助医療や臓器移植、遺伝子操作と、生命を操作する技術が急速に進む。私たちはどう考えればよいのか。
フランスの著名な遺伝学者である著者が多くの具体例をもとに思索をめぐらす。その根底にあるのは「他者の尊重」という原則だ。

表題は子ども心に刻み込まれた、教育者だった父の言葉「良い子はそんなことを言ってはいけない」に由来する。

市民がそれぞれ考えるためには専門家による情報提供が欠かせない。その専門家が、自身が望む方向に世論を誘導しようとしたとき、民主主義は危機的状況に陥る。この指摘はずしりと重い。

*辻さんよ、それこそが、多分あなたの上司なのであろう星浩達が、続けてきた事なのですぞ。

「柿のへた 御薬園同心 水上草介」梶よう子〈著〉…朝日新聞10月16日13面より

2011年10月16日 16時31分02秒 | 日記
時代小説に女性読者が急増中だと聞く。「鬼平はいいなあ」とつぶやくオジサンよりも、通勤電車で高田郁の「みをつくし料理帖シリーズ」を開くOLの姿が目につくのだ。

時代小説に江戸時代を舞台としたものが多いことは変わらない。しかし、中身は「強い男たちの物語」から一種の成長物語へとシフトしている。本書もその一つだ。

幕府が将軍のために薬草を栽培する小石川御薬園の同心・水上草介は、まだ22歳。名前の通りの草食系男子で、本草学には詳しいが、男装の剣の達人である千歳には力もロもかなわない。

彼の周囲で起こる小さな事件と本草の知識とが絡み合い、草介は少しずつ成長して行く。そして、長崎で蘭方医修業する話が持ち上がる。草介、どうする? 読後感はさわやか。薬草の知識と歴史の勉強も程よく楽しめる。

この「程よさ」加減が万人に受けて、もっと読みたい気にさせているのは間違いない。ブレークの予感がする作品である。

田中貴子(甲南大学教授)

「ルポ下北核半島 原発と基地と人々」鎌田慧、斉藤光政〈著〉…朝日新聞10月16日13面より

2011年10月16日 16時29分20秒 | 日記
一身に担う日本近現代史の矛盾  本社編集委員 評・上丸 洋一

日本で初めて「原子の火」がともった茨城県東海村。原子炉建設地のすぐ南側に、米軍の射爆場があった。1957年に原子炉の運転が開始されてからも、射爆場はそのまま使用された。訓練が停止されたのは14年後の71年。

直後に近くで核燃料再処理工場の建設が始まる。原発と基地はよく似ている。都会に置けない巨大施設が、都会から離れた地域に隣り合うように置かれている。

その典型が青森県の下北半島だ。そこには核燃料サイクル基地や原発などの原子力施設が集中し、米軍の海外基地としては3番目に大きい三沢基地などがある。

本書は、下北半島の原子力施設とこれに反対する人々を長年、取材してきた鎌田慧と、地元紙「東奥日報」の記者として県内の基地の動向を追ってきた斉藤光政のルポを合わせて収録している。

「核廃棄物は1〇〇年先まで管理する、というけど、二○年先さえどうなるかわからない。まあ、大丈夫かなというのは、せいぜい五、六年先までだ」

六ヶ所村の核燃料サイクル基地に反対する地元の老人はそう語る。下北半島北端の大間では、原発予定地からわずか250メートルのところに一軒のログハウスが立つ。反原発の志を亡き母から継いだ娘が、ここを拠点に運動を続ける。

電気は太陽光と風力でまかなう。東日本大震災後の停電時にもここだけは電気がついた。
2003年のイラク戦争に際し、バグダッド空爆の一番乗りをしたのは、三沢基地に所属する米空軍機だった。

その基地がもたらす交付金などが三沢市の財政と経済を支える。基地に対する地元住民の感情は複雑だ。日本近現代史の矛盾を一身に担うかのような下北半島。青森県が生んだ歌人、劇作家寺山修司の歌を思う。
――身捨つるほどの祖国はありや

かまた・さとし 38年生まれ。ルポライター▽さいとう・みっまさ 59年生まれ。新聞記者。

日本人の美風 出久根達郎〈著〉…朝日新聞10月16日14面より

2011年10月16日 16時28分21秒 | 日記
敗戦の年の春。物理学者の中谷宇吉郎は岩手県のとある宿に泊まる。美しい若女将(おかみ)の部屋には驚くことに蔵書の古典や新刊が数多くあった。近くに変わった本屋がいて、読書家から注文をとっては東京へ買い出しに行くという。

著者は中谷の随筆「I駅の一夜」を紹介しながら、こうした無名の人の奇特な志が日本を支えてきたと説く。こんな秘話が7編。古書に通じた市井の作家ならではの日本人論だ。 (新潮新書・735円)

「表裏井上ひさし協奏曲」西舘好子〈著〉…朝日新聞10月16日14面より

2011年10月16日 16時27分27秒 | 日記
故・井上ひさしさんの前夫人で、劇団こまつ座の初代座長が振り返った「つらく、楽しかった」結婚生活。

開放的な東京下町の女と内省的な東北の男が、ぶつかり合いながら“作家・井上ひさし”を世に出した。直木賞受賞、こまつ座旗揚げ、離婚。

その後の長い間の別離は生々しさを消し、死は人生の浄化であってほしいと本書を書いた。震災で「別れ」について考え続けた長女の「あとがきにかえて」に救われる。(牧野出版・2100円)

「神様の女房」 もう一人の創業者・松下むめの物語 高橋誠之助〈著〉…朝日新聞10月16日14面より

2011年10月16日 16時25分35秒 | 日記
条件がいちばん悪いから結婚   梶山寿子(ジャーナリスト)

「経営の神様」松下幸之助の伝記や名言録は多々あれど、その成功を支えた糟糠の妻の功績に光を当てた書籍は少ない。

本書は松下電器(現パナソニック)の“もう1人の創業者”松下むめのの生涯を、松下夫妻に長年仕えた元執事が小説風に綴ったもの。最近放送されたテレビドラマの原作でもある。

数ある縁談の中で幸之助を選んだのは「条件がいちばん悪かったから」という逸話がおもしろい。だからこそ自分の力で人生を切り拓けるーそう考えたところに起業家精神が見て取れる。好条件の男性に「幸せにしてもらいたい」平成の婚活女子とは心がけが違うのだ。

夫が事業を興した後は、営業や経理を担当して商売の才を発揮。風呂代に困るほどの資金難にも「希望があったら、苦労にはならへん」と泰然と構える。

住み込み制の社員教育によって松下の経営哲学の礎を築き、手厚いもてなしで取引先の心をつかんだと知れば、「あの奥様がいたからこそ、幸之助さんは偉大な足跡を残せた」との評にも納得がゆく。

いささか古風な夫婦像ではあるが、夫の良き相談相手であろうとした夫人の努力は、昨今のセレブ妻もぜひ参考にしてほしいもの。日本企業の大半を占めるのは家族経営型の会社。ビジネスにおける社長の妻の存在は案外大きい。(ダイヤモンド社・1365円) 

桜庭一樹さんと読む 「嵐が丘」(上)…朝日新聞10月16日14面より

2011年10月16日 16時21分56秒 | 日記
*このコーナーには本当に大笑いさせられる、つまり、素晴らしい。

胸焼けしそうな異形の恋愛
視点が斬新なミステリー?
  文中黒字化は芥川。

ヒースクリフとキャサリン。イングランドの片田舎、荒れ地で育った2人の男女が激しく惹かれあい、傷つけあう、異形の恋愛小説。登場人物の性格やセリフに、胸焼けしそうな過剰感がある。

大分県の瀬口美子さん(58)は「『魂が何でできているか知らないけど、ヒースクリフと私の魂は同じ』というキャサリンの有名なセリフも、『80年かかってもおれの一日分も愛せるものか』というヒースクリフのセリフも、ともに自己愛の発露。人間は愚かで悲しい生き物」、山形県の原裕子さん(49)は「登場人物の言いたい放題の自己主張に、正直疲労を覚えた」と感想を寄せた。

「いがみ合いがコントのよう。どうしようもないやつらだなーと笑いながら読むと楽しめる」 (東京都・十市亜樹さん・31)という声もあった。

作家の桜庭一樹さんは「子供のころ、まるで宝塚歌劇のような感覚で読んだ。確かに演劇的な過剰さがありますね。漫画で言えば見開きページにバーンと描くセリフでしょうか。当時は純文学とエンターテインメント小説が分化していなかった」と話す。

ある日、アーンショウ家の屋敷へ連れてこられた浮浪児のヒースクリフは、やがて屋敷の娘キャサリンを愛するようになる。しかし成長したキャサリンは、ヒースクリフに惹かれながらも、別の屋敷のエドガーと結婚してしまう。ヒースクリフはキャサリン、エドガー、その子供たちへのまがまがし復讐を始める。

桜庭さんは「今読むと、ホラー小説のようでもある」と語る。「ヒースクリフは、アルコール中毒にかかったキャサリンの兄を意図的に殺したのではないか、という評論家の説があります。

また、ヒースクリフとキャサリンは実は血がつながっていた異母兄妹で、キャサリンはそれを察知していた、という説も。読む人によってこれだけ解釈が割れる小説も珍しい。またそれは、傑作のあかしでもある」

語りの手法が驚くほど新しい。「家政婦のネリーが話しているのを、物語の書き手が聞いているという構図。しかし、その家政婦自身が食わせ者で、本当のことを言っているのか、信用できないフシがある。視点が斬新で、ミステリーに近い」 (桜庭さん)

作者エミリー・ブロンテの存命中、作品はほとんどかえりみられず、エミリーは30歳で早世した。今では、『リア王』『白鯨』と並び、三大悲劇と称されるようになっている。(近藤康太郎)


E・ブロンテ/光文社古典新訳文庫・上下、700~800円、岩波文庫・同、693~798円など。

G20危機にバラバラ IMF拡充案  他…朝日新聞10月16日3,7面より

2011年10月16日 16時21分05秒 | 日記
仏 手柄狙いの大統領  米 赤字続き余裕なし
新興国にも迫る影  投資マネーが続々逃避

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欧州危機 収束か拡大か 公的資金の扱いカギ

熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト 1年で沈静化
永浜利広・第一生命経済研究所主席エコノミスト  今後も綱渡り