世界有数のリゾート地に泊まって、世界の一定部分に読んでもらうような本を書く…。

世界有数のリゾート地に泊まって、世界の一定部分に読んでもらうような本を書く、それを芥川が蜃気楼作家と敢えて呼んでいる事は、御存じの通り。

何故私がそう言うか…蜃気楼作家というのは言わば世界が２０世紀まで来た或いは２１世紀に入った、人間の知性は十二分に深まった。極端に言えばもはや国家単位で解決されなければならない物は無い。そこには本当の知性があると。…皆、そんな事は分かっているんだと。

皆、十分な知性を持っているんだと…世界の問題やetc.は、皆、分かっているんだと。

そこで安心して例えば男と女の揺らぎの事、感情の事、自分の事、こういった事々を、自然を眺めて…自然は誰にでも書ける。

これっぽっちも下品な所を見せずに書いて貴女を恍惚とさせる…芥川は確約してもよいが、そのようなものをお望みなら、あなたが芥川の文章を読んだら、それだけでいってしまうような（これっぽっちの下品さもなしに）そのような文章を、文学をお望みなら、いつでもいくらでも書いて差し上げる。

見える心には見えるもの。

今、窓の外に見えている空に在る雲は、宇宙から見た時の地球を思わせるもの。

人の一生以上にはかない雲の事だから殆ど一瞬しか見ることは出来ない訳だが、見える心には見えるもの。