以下は月刊誌WiLL今月号に「モリカケ2年、18連休!」と題して前章の加地伸行氏に続いて掲載された長谷川幸洋氏の連載コラムからである。
ケチつけ野党は議員辞職せよ
いったい、日本の左派野党は何を求めて政治活動をしているのだろうか。
昨年から続くモリカケ問題や朝鮮半島情勢に関する彼らの対応を見ていると、根本的な疑問が湧いてくる。
曲がりなりにも、政治に関わっている以上「日本の国をこうしたい」という志があったはずだ。
残念ながら、いまの左派野党には、それが感じられない。
単なる「ケチつけ集団」に堕しているのである。
ある野党議員は「我々も安倍晋三政権の規制改革には反対しない。だが、それが首相の縁故に基づく特定法人などに利益誘導する仕組みになっているとすれば、問題だ。だから国会で追及している」と語っている。
その限りでは、私もまったく賛成である。
モリカケ問題の核心は「安倍首相が首相の立場を利用して特別な便宜供与を図っていたかどうか」だ。
だが、今日に至るまで具体的な首相関与の証拠は出ていない。
森友学園問題で言えば、たしかに、国土交通省大阪航空局や財務省近畿財務局の異例とも言える「森友厚遇」の形跡はある。
だが、首相が関与した事実はない。
夫人の昭恵氏が学園と交流を持っていたのは軽率だったが、それとは別だ。
そうであれば、大阪航空局と近畿財務局、公文書を改ざんしていた財務省の責任を追及するのが筋ではないか。
加計学園問題に至っては、言いがかりに近い。
そもそも国家戦略特区で議論し決定したのは、学校教育法に違反して大学設置を門前払いしていた文部科学省の告示撤廃問題だった。獣医学部の設置自体は大学設置・学校法人審議会の審議を経て、文科省が認可している。
つまり、これまた文科省行政の問題である。
野党は問題の本質を追及せずに、あえて政権打倒の道具に仕立てているのだ。
野党だから「それも仕方ない」と理解できなくもないが、朝鮮半島情勢が一段と緊張する中、モリカケは二年もやっているような話なのか。
追及がネタ切れしたら、五月の連休をはさんで野党はなんと「十八連休」に突入してしまった。
ようやく国会に復帰してきたと思ったら、まだモリカケの続編をやっている。
さすがに、昼間のテレビは「視聴者に飽きられた」と見切りをつけ始めたようだ。
連休明けからは、朝鮮半島問題に焦点を当てる番組も出てきた。
では、その朝鮮半島問題で左派野党は何を言っているのか。 ″
先日、久しぶりに『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系列)に出演したら、同席した野党議員は「日本が米国と合同軍事演習したのは、けしからん」と息巻いていた。
「米国の圧力路線に同調するな」と言いたいのである。
だが、北朝鮮が曲がりなりにも対話路線に修正してきたのは、日米を軸にした「最大限の圧力」の結果ではないか。
これまで日本は2002年の「日朝平壌宣言」や14年の「ストックホルム合意」など、北朝鮮と真剣な対話を重ね、日本独自の制裁も解除した。
それが、ことごとく裏切られてきた歴史から、この議員は目をつぶっている。
そもそも「米国の圧力路線には同調しないが、拉致問題の解決には力を貸してくれ」などという言い分が、ご都合主義なのだ。
こうしてみると、左派野党がやっているのは、安倍政権に対する「ケチつけ」だけではないか。
ケチつけに言葉が詰まると、国会の審議拒否と採決拒否である。
15年の安全保障関連法案の採決では一斉に議場から退席した。
そんな野党に税金から歳費を払う価値があるのだろうか。
国会議員は国民の代理人として予算案と法案を審議し、採決するために存在している。
審議も採決も拒否するなら、国会議員であってもらう理由はない。
彼らは歳費返上どころか、議員辞職すべきである。
ついでに言えば、政権に不満を抱く野党が一斉に議員辞職すれば、政権は解散して国民に信を問うしかなくなる。
野党不在のまま、国会審議を続けるわけにはいかないからだ。
だから「一斉辞職」は政権を倒す最強にして最大の効果がある作戦である。
だが「いつまでも議員でいたい」彼らは、そんな作戦を絶対に実行しない。
結局、与党から足元を見られているのである。
野党に期待するのはケチつけではなく、建設的な議論だ。
国の平和と安全、国民の生命財産を守って一層、豊かにするために、政府は何をすべきで、何をすべきではないか。
そういう議論である。
経済政策でも安全保障政策でも自分たちのプランを示すべきだ。 民進党も希望の党(旧)もなくなり、旧民主党は散り散リバラバラになった。
野党議員には、ここで足元を見つめ直してもらいたい。