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なぜにイランの治安当局車両🚔には、トヨタのハイラックスが目立つの❔❔ ── 旅客機オーバーラン事故を契機に考察してみた🔍

2020年01月29日 | 日記

んまー、何ともオッタマげた事故であった。

突っ込んでった旅客機でも、突っ込まれた幹線道でも、ひとりの死傷者も出なくて何より。

さて、わたし的には「それよりも引っかかったこと」がある。他でもない…世界じゅうに配信された(事故後の)幹線道路を捉えた、ヘッダー画像の報道写真にだ。

この、広い自動車道を(中央分離帯もひと跨ぎに越え)端から端まで横切ったカタチで(オーバーランが)停まった迷惑キワまる機体…。その手前に空港または治安警察の関連車両と思しき、白いハイラックスばかりが5台も停まってる。TOYOTAのデカールが赤色、という一般市販車にない色使いである他、うち最前方の2台には警光灯🚨も付いてることから(たまたま通りかかった民間の自家用車じゃなく)現地当局側の用いる緊急車両であることは明らか。


何でまた、こうもトヨタ車ばっかなんだ❔ トヨタがイラン政府"ご用達"銘柄❔❔

と、いうことでイランの警察車両(主にパトカー)は、どこのメーカーであるか(であったか)、その変遷ぶりを巷から調べてみた。おもな情報の出典は、イラン国民が歴代のパトカーについて語ってるスレだ。

それによると、イラン政権における「パトカーの調達ポリシー」は大ざっぱに3つの段階(=時代)を経てるようだ。

先ずイラン革命(1979年)前。この当時はドイツ車とアメ車オンリー。特に旧王制下では権力誇示の意味合いもあって❔か、ベンツにご執心だったらしい。そしてベンツ1強の調達方針はイスラム政権になっても(景況が良く資金が潤沢だった)21世紀初頭までは続いた。


と同時に、革命前にフランス政府や仏各社の技術支援を受けつつ創業されてた国産車メーカー《ホドロ》製のパトカーも優先導入が進む……が、なぜか2000年あたりには《ホドロ》でなく、同工場でライセンス生産されてた“なんちゃってプジョー”車や “なんちゃってルノー”車に置き換わるように。

この辺の事情はよく分らない。

あるいは走行性能やら何やらで「傍目にホドロのパトカーだと安っぽく見られる。現場の士気が下がる」というイメージ低下でも起きて❔ついに警察上層部が業を煮やした結果なのかもしれない。フランスのメーカー各社も《ホドロ》に随時"技術供与"すりゃイラン国産車の品質レベルも上がったのだろうが、じきに例の『イラン核開発問題』が勃発。核保有国であるフランス政府筋の反発は分けても強く、そのルートからの技術刷新の道は閉ざされる。(2018年にはルノー完全撤退)

核問題の浮上当初は逆に、日本メーカー各社がイランでの自車生産方針を打ち出し、フランス各社からの技術援助に取って代わるか❔とも思われた。が、やがてアメリカ主道の経済制裁が発動されるに至り、あえなく日本各社も基本『イラン現地生産の受注と完成車の輸出を凍結』で足並み揃えることになる。

が、表向きトヨタ自体はイランに禁輸してるにも関わらず、それ以降、トヨタ印のパトカーの配備割合は増してくのである。

これはトヨタ車の現地生産国の中に、(2020年の現在でも)イランに友好姿勢を示すブラジルやトルコといった第三国がいくつか存在することと無縁ではなかろう。米英仏は核保有特権の手前、政府が「そんな横流しが在り得る提携なら止めてしまえ」と自国メーカーに無理強いできるが、日本政府には(そこまで)メーカーの経営を縛れないし、そもそも当のイラン、トルコ、ブラジル…いずれとも喧嘩する気はない。その「なあなあな態度」無しには、いくら石油を買ってくれるとはいえ、イランは日本を友好国と見做さないだろう。同様な"抜け道”なら、ドイツから世界に手足を伸ばすダイムラー相手でも出来そうなもんだが、すでにイランの懐事情はキビしい。今さらベンツ入手に戻る余裕も……という消去法の結果、品質では負けぬトヨタ車の"抜け道”調達が進んだのだと思われる。

ただ…上掲の時系列グラフで見た通り、2018年以降はさらに経済的窮状にあえぐイラン。

今や、新たに配備される車両はトヨタ車とも言ってられなくなり韓国車に取って代わられた。「そこまで背に腹は代えられない内情なのか❕❔」…と、パトカーの調達先ひとつ見るにつけても窺(うかが)い知れる。


こうして、一般のパトカーは今後ヒュンダイ系列になってきそうなイランの警察車両なんであるが、冒頭に見たハイラックスだけは、韓国車なんぞに置き換えられない。


もともと砂漠気候な中東各国でのステイタス車であったことに加え、全面的にタイ生産となってからはさらにコスパが改善した さらにワールドワイドに輸出され、禁輸措置の被制裁国でも入手しやすくなったことなどが理由に挙げられる。

タイと日本の誇り。世界に送り込まれるTOYOTAの堅剛ピックアップトラック!

 
パキスタンで一般的な警察車両はミニバン風に改造した独自の形状である。


というワケで、必ずしも歴史的にはイランでトヨタ車が“ご用達”銘柄なのではないこと。かつてはイラン国産車への移行も試されたが失敗したこと。あげくに今は ヒュンダイさん(※傘下のKIAを含む)頼みになってる、という世知辛い最新動向まで明らかになった。

ともあれハイラックスだけはむしろ今後も“ご用達車両”、という点については、ぶっちゃけイランだけに限った話ではない。

中東の紛争地帯すべてで、TOYOTAのハイラックスは愛されている。もちろん、悪い意味でも。 ハイラックスほど基本剛性と悪路走行性に優れ、『にわか戦闘車両』として改造しやすい高性能ヴィークルもないからだ。


もっとも…これがアフリカ貧困地帯の武装組織ともなると、さすがにそこは〔中國★製〕のピックアップ車が八面六臂に大暴れし始めるよーなご時世でもあるんだとか。
 
 
余談ついでに💧

いろいろ書いてきたが、イランの現状は「過ぎし時代に」我らが日本も一度は歩いてきた道である。

日本に初めて「高速道路」なるモノが開通を果たした時分、警察は(当時の)国内自動車メーカーから「速度違反車を追尾検挙し得るだけの」高速クルーズ可能なパトカーを調達できなかった。その結果、下掲 のごときイタ車(初代ポルシェ911)を頼りにするハメに……なんて時代が現に在ったんである。
 
発売当時からドアミラー仕様だった原車に「無理くり」フェンダーミラーw





=了=

ポルシェ911のパトカー,愛知県警,神奈川県警
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