ケンちゃんは、警察犬の訓練所で働いているんだ。家から10分くらいのとこなんだけど、ケンちゃんは、朝早くから夜遅くまでそこで働いてるんだ。たまに、1週間くらい泊り掛けになる時もあるらしい。
前に、僕、そこに見学に行ったんだ。そしたらケンちゃんは、あっちこっち忙しそうに走り回っていて、僕の相手をしてる暇が無かった。仕方なく僕は、他の従業員の人に、訓練所の中を案内してもらった。ケンちゃんは、僕がもう帰ろうとしたところに、やっと、僕の所にやって来て、はあはあと息を切らせながら、途中まで送ってくれたんだ。そして僕が、
「ケンちゃん、まだ仕事中でしょ?いいよ、ここまでで。僕、ちゃんと家に帰れるから。」
って言うと、安心した顔で、走って訓練所に戻って行ったんだ。僕はその、ケンちゃんの後ろ姿を見て、僕もケンちゃんのように男らしくなりたい、って、そう思ったんだ。
ケンちゃんは、お父さんとお母さんとの3人家族なんだ。僕の家は、お父さんとお母さんと僕と、そしてもう1人、今お母さんのお腹の中に、僕の弟か妹かがいる。
最近、うちのお父さんやお母さんが、お腹の子が男の子だったらいいね、って、よく言うんだ。女の子だと、いずれはお嫁さんに行っちゃうからなんだって。
「僕は?」
って、お母さんに聞いたら、お母さんは、あなたはお嫁さんをもらう方よ、って言ってた。
「ケンちゃんは、お嫁さん、もらわないの?」
って、僕は聞いたんだ。そしたら、
「ケンちゃんはね、今お仕事が忙しいのよ。だから、今のところは考えていないんじゃあないのかしら。」
って。
「じゃあ、僕も結婚しない。ケンちゃんみたいに、仕事に燃える男になるんだ。」
って、僕は、お母さんに宣言したんだ。お母さんは笑ってたけど、笑われたってかまうもんか。僕は、絶対にケンちゃんみたいになるんだ!
(つづく)
前に、僕、そこに見学に行ったんだ。そしたらケンちゃんは、あっちこっち忙しそうに走り回っていて、僕の相手をしてる暇が無かった。仕方なく僕は、他の従業員の人に、訓練所の中を案内してもらった。ケンちゃんは、僕がもう帰ろうとしたところに、やっと、僕の所にやって来て、はあはあと息を切らせながら、途中まで送ってくれたんだ。そして僕が、
「ケンちゃん、まだ仕事中でしょ?いいよ、ここまでで。僕、ちゃんと家に帰れるから。」
って言うと、安心した顔で、走って訓練所に戻って行ったんだ。僕はその、ケンちゃんの後ろ姿を見て、僕もケンちゃんのように男らしくなりたい、って、そう思ったんだ。
ケンちゃんは、お父さんとお母さんとの3人家族なんだ。僕の家は、お父さんとお母さんと僕と、そしてもう1人、今お母さんのお腹の中に、僕の弟か妹かがいる。
最近、うちのお父さんやお母さんが、お腹の子が男の子だったらいいね、って、よく言うんだ。女の子だと、いずれはお嫁さんに行っちゃうからなんだって。
「僕は?」
って、お母さんに聞いたら、お母さんは、あなたはお嫁さんをもらう方よ、って言ってた。
「ケンちゃんは、お嫁さん、もらわないの?」
って、僕は聞いたんだ。そしたら、
「ケンちゃんはね、今お仕事が忙しいのよ。だから、今のところは考えていないんじゃあないのかしら。」
って。
「じゃあ、僕も結婚しない。ケンちゃんみたいに、仕事に燃える男になるんだ。」
って、僕は、お母さんに宣言したんだ。お母さんは笑ってたけど、笑われたってかまうもんか。僕は、絶対にケンちゃんみたいになるんだ!
(つづく)