昨日の記事で「粋と艶」で800字作文一本書くと豪語してしまいましたが、結局今日は1文字も書けませんでした。(- -;;
一本書いてしまったせいかテンションがあがらず、全くアイデアも浮かばず、やっぱり必要に迫られないと書けないのかなーと、自分の能力のなさというか、やる気のなさにうんざりしつつあります。
それはそうと超短編戯曲最後になる第3弾。「10 YEARS AFTER」です。
『10 YEARS AFTER』
テレビやラジオでよく流れているような曲が、聞こえている。
列車のボックス席に、若い女性と、中年の男性が向かいになって座っている。
女性はイヤホンで音楽を聴きながら、景色を何気なく眺めている。
中年の男性は大いびきをかいて眠りこけている。
女性は、そのいびきの音が気になる様子。
何度か席を移ろうかと、周りを見回す。
そのたびに中年の目が覚めそうになったり、物売りのカートが通ったりして女性の気をそいでしまう。
そのカートが通り過ぎたあとで、
女 すいません、コーヒー一杯下さい。
呼び止められた売り子は、大分行き過ぎたカートを女のいる席の前まで引き戻す。
売り子 何になさいますか?
女 だからコーヒー一杯。
不機嫌な女の様子を怪訝に感じながらも、売り子は缶コーヒーと紙カップを女に手渡す。
売り子 二百円になります。
女は売り子に千円札を渡す。
売り子は女に釣り銭を取り出して払う。
売り子は元のようにカートを押して去る。
カートがいなくなると、親父が起きて女の方を見ていた。
女はそれに気づいていない。
女 ・・・
親父 あんたどこまで行きなさる?
女 えっ?
親父 あなたはどの駅まで行きなさるかって。
女 えっ、あーはーあのー・・・特に決めてないんです。
親父 こりゃ驚いた。特に決めてないんですか。
女 はい・・・決めてないんです。
親父 でもあれでしょう?何となくは、決めてるでしょう?
女 ああ・・・そうですね・・・
親父 ・・・。あぁあすみません!! 突っ込んだ質問をしてしまって!
女 いえっ。
親父 無粋でしたっ!
女 とんでもないです。
親父 本当に失礼を。
女 気にしないで下さい。
親父 はあ、
女 ……
親父 ……
女 あのっ、
親父 はい!?
女 いえ……どちら、から…
親父 はいっ?
女 どちらからいらしたんでしょうか。
親父 わたしですか!?
女 はい。
親父 わたしは、東京から来ました。
女 あぁ・・・東京から・・・
親父 (妙に満足そうに)はい…
女 わたしも東京からです。
親父 そうなんですか?
女 ええ、そうです。
親父 へえ。
女 …でも、あれですね、
親父 はい?
女 この電車東京発ですし…
親父 ええ、そうですねぇ。
女 あたしがここに座ったときから、寝てらしたですよね…
親父 ああ、そうですか?
女 ええ。
女、笑顔になり、「クスクスと」笑う。
親父もつられて笑う。
こちらは豪快に。やや大げさに。
女 あぁ、あの・・・
親父 はい?なんでしょう?
女 わたし、降りる駅決まりました。
親父 あぁ、そうですか、…
女 あたし、次の駅で降ります。
親父 はあ、
女 それで、東京に帰ります…
親父 それは、よかった…
女 …はい、ありがとうございました…
親父 気を付けて。
女 はい。
女、立ち上がる。
女 それじゃあ…
親父、笑顔で見送る。
女、去る。
親父 ……わたしも、行こうかな……
冒頭に流れていた音楽のヴォリュームがあがる。
ゆっくりと明かりが落ちていく…
了
* * *
これちょっとあれなんですよね(笑)。途中でちょっとつじつまが合わないところがあって、今読み返して慌ててるんですが、まあ、それも一興という事で、そのまま載せることにしました。
途中の雰囲気とか、気に入っているところもあるのですが、さすがに7年前は若い。至らない点が多い(今でも全く至らないんですが(笑))。
けれども次回からは更に前の10年前に書いた戯曲を公開しようってんだから、自分でも良く恥ずかしくないなあ、と思います。でももはや開き直ってるんですよね(笑)。
それではまた。
一本書いてしまったせいかテンションがあがらず、全くアイデアも浮かばず、やっぱり必要に迫られないと書けないのかなーと、自分の能力のなさというか、やる気のなさにうんざりしつつあります。
それはそうと超短編戯曲最後になる第3弾。「10 YEARS AFTER」です。
『10 YEARS AFTER』
テレビやラジオでよく流れているような曲が、聞こえている。
列車のボックス席に、若い女性と、中年の男性が向かいになって座っている。
女性はイヤホンで音楽を聴きながら、景色を何気なく眺めている。
中年の男性は大いびきをかいて眠りこけている。
女性は、そのいびきの音が気になる様子。
何度か席を移ろうかと、周りを見回す。
そのたびに中年の目が覚めそうになったり、物売りのカートが通ったりして女性の気をそいでしまう。
そのカートが通り過ぎたあとで、
女 すいません、コーヒー一杯下さい。
呼び止められた売り子は、大分行き過ぎたカートを女のいる席の前まで引き戻す。
売り子 何になさいますか?
女 だからコーヒー一杯。
不機嫌な女の様子を怪訝に感じながらも、売り子は缶コーヒーと紙カップを女に手渡す。
売り子 二百円になります。
女は売り子に千円札を渡す。
売り子は女に釣り銭を取り出して払う。
売り子は元のようにカートを押して去る。
カートがいなくなると、親父が起きて女の方を見ていた。
女はそれに気づいていない。
女 ・・・
親父 あんたどこまで行きなさる?
女 えっ?
親父 あなたはどの駅まで行きなさるかって。
女 えっ、あーはーあのー・・・特に決めてないんです。
親父 こりゃ驚いた。特に決めてないんですか。
女 はい・・・決めてないんです。
親父 でもあれでしょう?何となくは、決めてるでしょう?
女 ああ・・・そうですね・・・
親父 ・・・。あぁあすみません!! 突っ込んだ質問をしてしまって!
女 いえっ。
親父 無粋でしたっ!
女 とんでもないです。
親父 本当に失礼を。
女 気にしないで下さい。
親父 はあ、
女 ……
親父 ……
女 あのっ、
親父 はい!?
女 いえ……どちら、から…
親父 はいっ?
女 どちらからいらしたんでしょうか。
親父 わたしですか!?
女 はい。
親父 わたしは、東京から来ました。
女 あぁ・・・東京から・・・
親父 (妙に満足そうに)はい…
女 わたしも東京からです。
親父 そうなんですか?
女 ええ、そうです。
親父 へえ。
女 …でも、あれですね、
親父 はい?
女 この電車東京発ですし…
親父 ええ、そうですねぇ。
女 あたしがここに座ったときから、寝てらしたですよね…
親父 ああ、そうですか?
女 ええ。
女、笑顔になり、「クスクスと」笑う。
親父もつられて笑う。
こちらは豪快に。やや大げさに。
女 あぁ、あの・・・
親父 はい?なんでしょう?
女 わたし、降りる駅決まりました。
親父 あぁ、そうですか、…
女 あたし、次の駅で降ります。
親父 はあ、
女 それで、東京に帰ります…
親父 それは、よかった…
女 …はい、ありがとうございました…
親父 気を付けて。
女 はい。
女、立ち上がる。
女 それじゃあ…
親父、笑顔で見送る。
女、去る。
親父 ……わたしも、行こうかな……
冒頭に流れていた音楽のヴォリュームがあがる。
ゆっくりと明かりが落ちていく…
了
* * *
これちょっとあれなんですよね(笑)。途中でちょっとつじつまが合わないところがあって、今読み返して慌ててるんですが、まあ、それも一興という事で、そのまま載せることにしました。
途中の雰囲気とか、気に入っているところもあるのですが、さすがに7年前は若い。至らない点が多い(今でも全く至らないんですが(笑))。
けれども次回からは更に前の10年前に書いた戯曲を公開しようってんだから、自分でも良く恥ずかしくないなあ、と思います。でももはや開き直ってるんですよね(笑)。
それではまた。