おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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ヒストリー・ダイアリー #2-1~2-3

2006年09月11日 00時23分28秒 | 戯曲『ヒストリー・ダイアリー』
 戯曲「ヒストリー・ダイアリー」2回目です。
 それにしても、今改めて読み返すと……こっぱずかしーっ!……ざーとらしいんですよ。ところどころ目に付く。
 これほんとにブログに載せるの?!ねえっ、ねえっ!…って感じです(汗)
 早く終わらせて、新作掲載しましょう(それもあやしいが)(^^;
 ではどうぞぉ……



 SCINE.2-1 空の落とし物(一)


    先の公園の近くにある通り。またベンチがある。
    結城まもりが入場してくる。本を一冊かかえている。
    ベンチの近くまで来ると、辺りをキョロキョロと見回す。
    そうして、周りに誰もいないことを確認すると、
    持っていた本を開いて、ベンチの上にそっと置く。
    それから、両手を本の上にあて、念じるような姿勢をとると、
    ブツブツと、なにか呪文のようなものを唱え始める。

まもり「~~~~~・・・、よしっ、これでこの前を通った人は、コイツの存在に気を引かれるハズ。・・・お願いだから、誰かやさしい人ひろってあげてね。・・・・・(自分のセリフに笑って)なんか、犬っコロでもすてるようなセリフ・・・」

    まもりは再度本に手を当て、また念ずるようなポーズで目を閉じる。
    しばらくして、大きくため息を一つ。同時に目を開ける。

まもり「(引き締まった顔で)よしっ・・」

    まもり、ハケ口まで真っすぐに、退場。




 SCIENE.2-2 空の落とし物(二)


    まもりの退場と同時に、耕平と由里が入場してくる。

耕平「・・そんな落ち込むことじゃないだろ? しょうがないじゃん。今度はもっと金ためて探しにきなよ」
由里「そんなんじゃ遅いのっ! 今じゃなきゃ意味ないんだから。・・・またあいつにバカにされちゃう・・・」
耕平「アイツ? ・・・あぁっ、なるほどね。・・・やっとわかったよ、・・・まーたケンカしたんだ」
由里「ケンカじゃないっ! ・・・なんてゆーか、互いの価値観の衝突っていうのかな・・・」
耕平「どんな大そうな名前つけたって、ケンカはケンカだろ?」
由里「ちがいますっ! あのねー・・・」
耕平「あれっ? なんだこれ?」

    耕平は、まもりの残していった本を手にとる。
    その間、由里は「ぱくぱく」してる。

耕平「・・・こんなとこに、読みかけの本忘れてってら。誰だろ」
由里「・・・そんなもの、そこに置いときなさいよ。そのうち誰か取りにくるわよ」
耕平「そうなんだけどさ、なんか気になるな・・・」

    耕平は、開いてあった頁に目を通す。
    読み進めるに従い、その表情には少しずつ驚きの色が浮かんでくる。

由里「・・・どうしたの?」
耕平「・・・なんだこれ・・・。・・・この本、オレの事が書いてある」
由里「はぁっ? ・・・なによそれ?」
耕平「だってさ・・・」
由里「ちょっと見せて(耕平から本をひったくる)」
耕平「あっ! ふざけんな! 勝手に見るなよっ!」
由里「なに言ってんの、これ、あんたのじゃないでしょ?」
耕平「おいっ!」

    由里もその本に目を通す。耕平と同様にだんだんと驚いた表情になり、
    また、同時にだんだんと顔が赤くなってくる(役者は努力せよ(笑))。

由里「・・・ちょっと耕平、あんた今、これ読んだのッ?」
耕平「は? 読んだよ。悪いか?」
由里「あんた、今から記憶消しなさい。・・・頭出して! 私が死んでも忘れさせてあげる!」
耕平「なんだよ? なに言ってんだ!? お前、頭おかしくなったんじゃねーのッ?」
由里「・・・あ~~~んっ! この本なんなのよ~~っ! 何でこんな事書いてあるの? プライバシーの侵害だあ、訴えてやる~~っ!」
耕平「おまえ、一体どうしたんだよ!」
由里「・・・この本、私がもらっとくわ。こんなとこに置いといて、誰かに読まれたら大変だよ」
耕平「・・・・・?(自分の読んだ本の内容と、由里の言動との矛盾に気付いて首をかしげる)」
由里「ほらっ、耕平、行くよっ! 夕飯食べに行くんでしょ?」
耕平「あっ、お前それ、勝手に持ってっちゃうのか?」
由里「いいのよ、もうそんなこと気にしてらんないっ!」

    二人は退場。



 SCINE.2-3 ツートンカラーの丘


    入れかわりに、まもり入場。

まもり「・・・どうやら、持ってってくれたみたいだね。・・・・・ふぅ、・・・(誰かに話しかける)ねえ、これでいいんでしょ? 新しい持ち主、ちゃんと作ったよ? ・・・あたしのちからも、結構すてたもんじゃないよね。・・・・・さあこれで、あんたもあたしに頼って仕事を楽するのは終わりにしなさい。・・・もうあたしにとりついてる理由はなくなったんだし、早くあの二人のこと追いかけたら?」

    まもりは目をつぶり、見えないものが去っていくのを確かめる。

まもり「・・・行った・・・みたいだね・・・」

    まもりは続いて、客席の方にその視線を向ける。

まもり「・・この世の歴史の全てを記し続ける書物が、この世界のどこかに存在していました。その書物は、ある周期を迎える毎に、この星の誰かの手の上に落とされてきたのだそうです。・・・・・誰かがそれを手にし、そして、彼らは試されることになる・・・・・今行ってしまった彼・・・ケータが、私にそう伝えてくれました・・・」