快気分析

何か快適な気分になれるような記事にしたいです。

自然災害 仕組みとアプローチ -  イタリアの雪崩と地震 そして余震による建物の損壊

2017-01-26 22:03:39 | 地震 津波
 今月18日(日本では19日)にイタリアで雪崩が発生し、犠牲者が出ました。
 当初は地震との関連が言われていましたが、別の考え方もあるようです。

引用開始 (一部抜粋)

http://news.goo.ne.jp/article/hazardlab/nation/hazardlab-18747.html

 当初、専門家の間では、前日18日にイタリア中部で相次いだM4.6〜5.7の6回の地震が雪崩を引き起こした可能性が高いという見方が大勢を占めたが、雪崩が地震発生後の2時間後に起きたことから、この意見に異を唱える研究者も出てきている。
 そのうちの一人、米モンタナ州立大学氷雪雪崩研究所のジョルディ・ヘンドリックス教授は、雪崩が巨大地震によって誘発される可能性を認めたうえで、今回の惨事について「通常、地震と雪崩はほぼ同時に発生するため、M5.1の地震の2時間後には起こりえない。地震が原因とみるのは短絡的で、むしろ雪嵐の観点から検討すべきだと思う」と述べている。
 日本でも毎年1〜3月にかけて発生する雪崩は、すべり面の違いで「表層雪崩」と「全層雪崩」に分けられる。表層雪崩は、圧雪された積雪面に降り積もった新雪が滑り落ちるタイプで、気温が低く、降雪が続く1〜2月の厳寒期に発生することが多い。これに対して、全層雪崩は、斜面の固くて重い雪が地表面を滑り落ちる春先の雪解け時期に起こる。
 ヘンドリックス氏は、イタリアで雪崩が発生する前の数日間で90センチを超える大雪が降っていたことに着目して、今回のケースは表層雪崩と指摘したうえで、一気に降った大雪によって積雪面が不安定になったのではないかと考察している。

引用終了

 では「通常、地震と雪崩はほぼ同時に発生するため、M5.1の地震の2時間後には起こりえない。」と言う部分について当時の地震を小さいものも含めて調べてみました。

引用開始  2件(一部抜粋)


http://www.bbc.com/japanese/38674631
雪崩は、午後4時半(日本時間19日午前零時半)から午後5時40分の間に起きたもよう。

http://www.emsc-csem.org/Earthquake/?filter=yes&start_date=2017-01-18&end_date=2017-01-18&min_mag=3®ion=CENTRAL+ITALY&min_intens=0&max_intens=8&view=1

2017-01-18 16:45:17.3 42.47 N 13.31 E 12 3.7 CENTRAL ITALY
2017-01-18 15:16:13.5 42.65 N 13.21 E 10 4.6 CENTRAL ITALY
2017-01-18 15:11:39.2 42.52 N 13.32 E 9 3.6 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:52:26.7 42.53 N 13.27 E 13 3.4 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:48:11.8 42.60 N 13.31 E 11 3.3 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:37:49.8 42.51 N 13.37 E 9 3.6 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:33:23.1 42.52 N 13.27 E 13 3.0 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:12:43.2 42.51 N 13.27 E 13 3.3 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:01:08.9 42.61 N 13.32 E 8 3.8 CENTRAL ITALY
2017-01-18 14:00:11.2 42.50 N 13.29 E 13 3.2 CENTRAL ITALY


http://www.emsc-csem.org/Earthquake/?filter=yes&start_date=2017-01-18&end_date=2017-01-18&min_mag=3®ion=CENTRAL+ITALY&min_intens=0&max_intens=8&view=2

2017-01-18 14:00:11.2 42.50 N 13.29 E 13 3.2 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:56:31.7 42.52 N 13.29 E 15 3.5 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:43:38.4 42.48 N 13.26 E 13 3.0 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:39:48.0 42.56 N 13.29 E 9 3.2 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:37:45.9 42.49 N 13.30 E 11 3.2 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:35:21.9 42.54 N 13.26 E 11 3.8 CENTRAL ITALY
2017-01-18 13:33:37.2 42.48 N 13.28 E 10 5.2 CENTRAL ITALY

引用終了

 雪崩が発生したのは日本時間19日午前零時半から約1時間10分の間のどこかとなり、それは世界標準時では9時間の遅れですから18日の15時半頃~16時40分頃となります。
 そうするとその約2時間前は世界標準時では9時間遅れとなり、18日の13時半頃~14時40分頃となります。
 この頃に地震でM5.1前後のを見ると、

2017-01-18 13:33:37.2 42.48 N 13.28 E 10 5.2 CENTRAL ITALY

 が最初に引用した資料のM5.1に該当するようです。
 ではその後ですが、雪崩が発生したと言われている時間で該当するものはと言うと、上記の通り、M3以上が多発しています。
 そして雪崩が発生したと思われる世界標準時で18日の15時半頃~16時40分頃に該当するものは、

2017-01-18 16:45:17.3 42.47 N 13.31 E 12 3.7 CENTRAL ITALY
2017-01-18 15:16:13.5 42.65 N 13.21 E 10 4.6 CENTRAL ITALY

 となります。
 これを見て筆者は次のように考えます。
 「確かにM5クラスの大き目の地震は直接雪崩発生のトリガーにはならなかったが、その後のM3以上の地震の多発で場合によっては疲労破壊のように次第に雪崩のなりかけとなる状況となり、最後の一押しとなった15時16分か或いは16時45分(時刻から見て前者の方が怪しい)の地震によって、雪崩となった可能性は否定できない。しかし一方では関係なく雪崩になった可能性も否定はできない。いずれなのかは今となってはわからない。証拠となる積雪はもう無いから」。
 必ずしも最大震度が雪崩の最終トリガーとなるとは限らない、と言う事です。
 そしてこの事は積雪が無い場合の建物と地震についてある重要な事も示していると筆者は考えています。
 それは次の通りです。
 「本震が有った後のそれより小さな余震で、建物、構造物が大丈夫なのかと言うとそうではなく、より小さい地震が最後の一押しとなって全壊、半壊する事も有る。」
 積雪も建物、構造物もそう違わない面があると見ています。