武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

田作りの巻

2008-12-27 22:23:22 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2008年12月16日(火)掲載のえ

二つのビルは、故黒川紀章氏と若尾文子さん。二人にオマージュをヒロク二さんが捧げて描きました。

女優の若尾文子さんが、お正月がすごく好きな黒川氏に、手作りの田作りをいつも作ったといいます。お皿に取り分けると、黒川氏は、嬉しそうに黙って食べていたそうです。おかわりとかは絶対言わないが、若尾さんが出してあげたらそれを食べるそうです。こうあらねばならぬということは絶対言わない人だったからこそ、黒川氏のために料理を作ったのかもしれないと語ります。

ヒロク二さんは、描く食べ物が決まると、いつも下の写真のような大きな「メモ」を作ります。この作業は、絵を描く前に必ずする。意気込みと決意を表わしているようだ。黒のクレヨンで描かれた文字がいい感じ。


田作りを作りました。
ごまめ50g。
合わせ調味料は、砂糖大さじ3、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ2、酒大さじ1/2。

まずフライパンでごまめを乾煎りします。弱火で15分くらい気長にいります。乾煎りしたごまめをフライパンから取り出します。取り出したフライパンをサッと拭き、中火にかけ、合わせ調味料を入れます。煮詰まってくれば弱火にして、乾煎りしたごまめを入れ、手早くからめます。出来上がりです。

田作りは、大失敗。茶色いカタマリになってしまいました。煮詰めすぎてフライパンから剥がれなくなってしまい、力ずくで剥がすと小魚は、胴体から割れ、グチャグチャになってしまいました。なんとかいけそうな?ごまめをお皿に盛り、アトリエに持って行きました。「これは、バラバラにならないのかい?」とヒロク二センセイに言われ「これは、そういうもんなの。」と資料の写真を渡した。出来立てはバリバリ音を立てて割れ、一番硬い状態。時間がたつとベタッとしてさかなどうしも剥がれるだろうけどと心の中で思った。今回の田作りが一番最悪でした。どうしょうもないごまめは、水に漬けといて絡めた飴状のものを取って、猫のキタハマに上げました。我が家は、猫にも粗食を心がけているので、キタハマは多量のさかなを食べて、目から涙流していました。キタハマのハレの日ですね。


わたくしも、ヒロク二センセイのために料理を作っている。毎日絵の制作で、普段は家でこもっているので、楽しみは食事ぐらいのような気がして。それにいつも「おいしい。」と言ってくれる。この美味しいと言う言葉は、殺し文句で、それじゃ美味しく食べれるものをと、張り切ってしまう。女性というのは、自分を見ても案外単純な生き物なんじゃないかなと思う。美味しいと言われれば、嬉しく思い、また作ろうと思ったり。わたしは、基本的にMな女だと自分のことを思っている。尽くしタイプというやつです。ところが、掃除になると俄然やる気がしないのはどうして?とにかく、とお正月をピカピカに迎えねば!と思っております。

太ったわたくしが、粘っこいエネルギーを出して「ダーリン!!」と心の中でつぶやき、細いヒロク二さんに体重をのせて撮ってもらった写真。こんな表情をしていたとは!嬉しそうに写りなさい!!
黒川紀章氏と若尾文子さんのベスト・カップルにちなんで、わたしも負けずにかんばるわと一言。