武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

どんどん焼きの巻

2009-01-11 14:42:50 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2009年1月6日(火)掲載のえ

ベン・シャーンの絵のようなマチエールで描かれたどんどん焼き。化石を掘り起ここす現場のよう。どんどん焼きの化石発掘図のようです。

女優でエッセイストの星野知子さんのどんどん焼きは、母が子供の頃に作ってくれた手作りのどんどん焼き。材料は、小麦粉と長ネギと干し海老。水で溶いた小麦粉に具を入れて混ぜ、ホットケーキみたいにフライパンに流し込み、少し焦げ目がついたら、ひっくり返し、妹と一緒にヘラで生地をギュンギュン押すのが役目だったと語ります。昨年、結婚された星野さんは、彼に作ろうかどうしょうかと迷っていらっしゃるそうです。
新婚ムードが漂っていていいですね

そんな、どんどん焼きを作ってみました。
新潟県ということで、おせんべいのようなイメージを思い浮かべました。
水で溶いた小麦粉にネギをたっぷりと。
厚みは、5ミリぐらいになるように。スプーンからぽたぽた落ちるぐらいの硬さに。


フライパンで両面を焼き、ヘラでギュンギュンと押します。ネギのつぶれるいいにおいと音がするように。せんべいのようになり、焼き目がついたら、フライパンのは縁からしょうゆを垂らします。ひっくり返してもう一度しょうゆを垂らします。下の写真のようになりました。


下の写真は、お皿に移したものです。


この連載では、いつも次は何がくるのだろうと待ち構えている。いつも以外なものばかりで大慌てするときもあれば、あまりにも日常に的なものでかえって難しいときもある。
「どんどん焼き?どこかで聞いたことがあるわ。」と頭を抱え、ヒロク二さんに言った。人間の記憶というのは、引き出しのようになっていていざとなれば、時間をかければ思い出すものらしい。作家の、池波正太郎氏の食エッセイにどんどん焼きは、紹介されていたのを思い出した。確か、昔、屋台で売られていたものと書かれていたはず。池波氏のどんどん焼きは、東京の下町の食べ物。ネットで検索すると山形県にも、どんどん焼きというのがあり、はしでクルクルと巻かれていてソースがかかっている形態のもある。いろんなどんどん焼きがある。星野知子さんのどんどん焼きは、とても狭い地域の料理だったようです。新潟県長岡市の郷土料理といってもいいかな?
味は、関西でいうと、ネギ焼きのシンプルなもの。
ネギのかおりとしょうゆの焦げた味のコンビネーションがとてもおいいしい。素朴さが命という食べ物でした。熱々もおいしいが、さめてしまってもおいしいなと思いました。つまみ食いには最高です。

池波正太郎さんのどんどん焼きの話は、「むかしの味」新潮文庫で読めます。たった7ページの文章でしたが、とても印象に残っていたのです。屋台でただ買って食う子供じゃなっくて「おじさん、こういうの、やってごらんよ。」とすすめたり、実際メニューに加わったそう、そのおやじの代わりの店番をつとめたりと、とてもませた池波少年がおもしろくて一読の価値ありです。子供の頃から粋な江戸っ子だったのだなぁと気っ風のよさが、とても人に勇気を与えてくれます。

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