武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

パペットのような絵(色鉛筆紹介420)と夏の読書(古事記)

2016-08-13 17:31:06 | Weblog



「パペットのようだ」。と思ってしまいました。
パペットというのは、手にかぶせる人形で指人形のようなものなんですけど・・・・。
だから、本人に「この絵は、タイトルを付けるとしたらどんな風につけるの?」と、聞きました。

武内曰く、「これは紫色の部分、左は真直ぐなっているが見えない部分も折り曲がっていて・・」と言いながら、
胡座を組み、急に腕をひじの所で曲げ、肘の部分を急に前に出し、「こんな風になっているんだがねぇ」。と言う。
私はジーと見ながら、狐につつまれたような感じである。
そして、「形に身体性を持たせてみることは、出来ないかなぁ~と、思ってねぇ」。
そして、私は、パペットが動いているような感じを想像し、
パペットと思ったのもまんざら悪くなかったんだと納得した。

しかし、なんでも具体的なものに当てはめて考えてしまう私の絵の見方というのも、幼稚な感じがする。
これは、抽象絵画と割り切ってみたほうがいいのか?
「紫色の形態を中心としたコンポジション」と言いかえた方が良いかもしれない。
ヒロクニさんは、「身体性」という言葉を、絵の話しの端々に出すのですが、
その意味を私はまだつかんでいないのです。
「絵画と身体の関係」等の話も、たまにします。
その時は、フムフムと聞いて分かった気分になるが、
時間が経つと「あの意味は何だったのだろう?」とか、「どんな話だったのか思いだせない・・・」となり、
雰囲気だけが残っています。
言葉が、武内ヒロクニ専門用語(何の専門用語かもわからない)などになると、いつもさっぱり分かりません。
ヒロクニさんの話を聞いた初心者は、よく「宇宙人かと思った」と後で私に伝えてくれます。

しかし、紫色の上の部分は、顔を描いているわけではないが、なんかかわいいとぼけた顔に見えてしまって困ります。


暑い日が続きます。
我家も今年は昼を過ぎたらクーラーを入れて過ごしています。
昨日は、部屋が涼しいせいか、制作するヒロクニさんの横で「古事記」を読んでいました。


↑原文と古典かなづかい文と現代訳に分かれていて、古事記をそのまま味わえる本を選びました。

もちろん面白く読んだ。
その中でも、倭建命が印象に残りました。
倭建命は若く、天皇の「兄に、ねんごろに教えさとしてまいれ」という言葉の意味を取り違えてしまい、
ねんごろに兄を殺してしまう。
天皇に倭建命は、荒々しい心があると言うことから、西の方にいる熊曾建の征伐にいかされることになるのだ。
その旅は、大和から遠く生きて帰ってこれるか分からない旅である。
倭建命は、その征伐に成功し、帰ってきたら許してもらえるであろうと思い、決意を固め旅に出る。
そして、征伐して帰ってくると、「東の方にある十二の国を服従させてこい」と言われ遠征に行く。
その旅の途中、叔母のところにより「天皇は私の死を望んでいるように思える仕打ちはどうしてなのか?」と、
涙を流す。
それでも涙を呑み、東の方へ征伐へ。その途中、妻を向かえその妻のもとに、大切な「草なぎの剣」を
置き、伊吹山の神を討ち取りに行く。

ここからの展開が私の心を打つのです。
伊吹山の神は本当の神であり、誤った判断をしたため、ひどい氷雨にあい、正気を取り戻すのに時間がかかった。
次に倭建命は、「私は心では、いつも空を飛んで行こうと思っている。しかし今、私の足は歩けなくなり、たぎたぎしく
なってしまった」と言い、また次には、「ひどく疲れたので、杖をついて、そろそろ歩いた」となるのである。
最後は、「私の足は三重に折れるようになって、ひどく疲れてしまった」と言う。
その後、大和を懐かしむ御唄を3首詠み、亡くなるのです。

その御唄は、大和を懐かしみ故郷を思う強い気持ちで溢れ、私は強く心を打たれた。
また、御陵を作られると、大きな白い千鳥の姿になり、天空に羽ばたき、浜に向かって飛び去った。
その千鳥をその后と御子達が泣きながら追いかける。
千鳥は、最後天高く飛びさって行く。

征伐に行き、だんだん頼もしくなって大人びてくる倭建命から、年老い身体が思うように動かなくなってゆく倭建命。
最後は、帰れなかった大和への郷愁。死を迎える前の御唄。千鳥となり天空を舞う倭建命。
その物語が、その御唄とともに強調され、悲哀感とせつない思いがひしひしと伝わり、
非常にストレートな思いに、ある種の爽やかさを感じます。

非常に集中して読んだせいか、一日で読んでしまいました。

ヒロクニさんも本をパラパラとめくって、「活字がきれいだねぇ」。といい、アトリエに持っていってしまいました。
ヒロクニさんに、後半の年を取ってからの倭建命の話をすると、すごく嫌だったみたい・・・・。
ヒロクニさんは、78歳という歳を意識しているのか、「老いてきて足腰が立たなくなる話」の部分にくると
目の前からいなくなってしまいましたヮ。

その本の中で、解説に埴輪の絵が描いてあり、埴輪が作られた時代なんだと思い埴輪の写真をみていました。

こちらは、東京国立博物館にある武人の埴輪。


古墳から出土した埴輪。琴を弾く埴輪があります。

埴輪ってなんかかわいいですね。


明治時代の画家、青木繁が倭建命の絵を描いています。↓


日本武尊 青木繁
こちらは、たいへん凛々しい倭建命ですね。







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