武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

台風の思い出(作品紹介65)

2011-09-04 15:51:18 | Weblog

「遠い海から」というタイトルの絵 鉛筆と色鉛筆

潮風を含んだ空気が立ちこめる海と、遠くに浮かぶ船のような灯火。
この絵は、発表しないうちに、人手に渡り、今はもうない。

台風12号は、ノロノロとしていて延々雨の毎日。雨と風の音を聞いているうちに台風の思い出が思いだされてきた。子供の頃は、台風がくるとワクワクした。曇った空に風が吹き荒れ、幼少の頃、大人の待っているところへ走り出すと風に押されて思った方向に進まず倒れそうになったことがある。恐怖を感じたとともに、その状態が不思議で面白かったというか、感触が心地よかったのだ。だんだん生長してその感覚が得られなくなってしまい、子供心に残念な思いがした。(単純に、体重が増えて無重力感覚が得られなくなったというコトです)

ヒロクニさんとも台風の思い出がある。
大阪の梅田にある阪急デパートと阪神デパートの陸橋から、下を見下ろし車の行きかう様子を眺め、歩く人を眺め、わたしは言った。「何か、皆急いでいるね」「こんなに風が吹いて、気持ちいいのに」と。すると、ヒロクニさんは、「せかせかしやがって・・・」「俺たちは、自由なんだ」とキザなセリフを吐き、この世を愉しむ、ふたりのセカ~イ(世界)の気分でいたら、「台風がどうのこうの・・・」と言う声がかすかに聞こえた。ちょっと首をかしげただけで、TVを見ないわたし達は、台風が来るとは全く知らず、普通に帰路についた。

JR新長田駅で電車は、止まった。運行する気配はなく、いつ運行するかの見通しもないと言う。しょうがなく降りた駅で待機するも、にっちもさっちも行かず、ヒロクニさんが、明泉寺にある資料室で絵を描くこともあったので、ともかくそこへ行こうということに・・・・。いつもはバスで行く道を歩いた。看板がバリバリ音を立ててて、落ちていく様子を見ながら、傘も差さず、ひたすら風の中を歩いた。坂を上がる途中で木が倒れていた。ヒロクニさんは、急に「この木を持って行きたい」と言う。その頃は、まだまだ従順だったわたしは、手伝った。

風と雨が降る中、「エッサ、ホイサ。エッサ、ホイサ。」と、日が暮れて真っ黒になった闇の中で、江戸時代の「籠引き」みたいに肩に木を乗せて歩く2人。
途中で「大丈夫か?」なんて声を掛けられて、遭難にでも遭ったような有様。髪も服もびしょぬれの上、木までかついでエイサッサ♪
台風の中、木を担ぐ経験は初めてのことだ。50代の男と20代の女が、台風の雨と風の中、担がないといけないような木を運ぶ様子は、美しい情景とは言いがたく、マヌケとしかいいようがない!!

「俺たちは自由なんだ」とは?こういうコトの連続なような気がする。
冒険小説は面白いが、実際に冒険をするのは大変なことだと、思い知った。
そんなコトを思いだし、苦笑しています。

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