武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

秋の終わり(色鉛筆作品640)と 三昧の境地

2021-10-20 11:56:34 | Weblog

ガッツポーズをするヒト。

人なのか?

街の中にある建物のようでもある。

萌黄が枯れたような色には、秋を感じます。

赤い色は、葉の紅葉のようにも。

秋の季節に見るといいなぁ~と思い取り上げました。

この絵は、色鉛筆で塗り込められ、

表面は蝋引きされたような感じになっています。

色鉛筆の粉っぽい感じは全くなく、執念を感じる塗り込め方。

これが、武内の色鉛筆画なんです。

本などの色鉛筆画のテキストを見ても、このような絵の描き方は皆無。

描いて、描いて、描いたあげくに生まれた、

この独特の描き方は、なんともいえない風合いがあります。

筆圧が異様に強い人なのです。

 

 

秋の小春日和がこのまま続いてくれれば良かったのですが、

いきなり冬のように寒い日々。

我が良人は、暖かさが続く間は、制作、制作と制作三昧な日々。

傍目で見ていても、よくここまで絵が描けるなぁ~と驚嘆するぐらい

激しく制作をしていました。

やっぱり、普通の人と違うパワーを感じ、凄みを感じていました。

なんたって84歳だし。

紙の山があり、メモとか、途中で置いてある絵や切れ端が散乱していた。

その山の点検を始めたらしく、捨てたり、使えるものをわけ、

気になる絵には、再度手を加えたり、

また、仕上げたりしているようで、

「ちょっと、来て。」と呼ばれ、アトリエで絵を見る。

「これ、仕上げてみたのだけど、どう?」とか、

「四隅が問題でねぇ。」と言われたり、

「このモチーフも気になるから、こっちへ写してみたんだけど。」とか、

いろいろ聞く。

“四隅”この言葉はいつも言うので、理解しようと思うのですが、

意味がとても分り難い。

四角い紙の角のことを言っているのはわかるのですが、

どう問題なのかが、さっぱり分らない。

細かい絵の場合は、部分、部分から絵がはじまり、

さらに広がっていくように色鉛筆を埋めていく。

わたしなどは、もう紙が四角だと“そうなんだと”疑問に思わないのですが、

武内の場合は、紙の空間認識が違うようで、

紙は面一(つらいち)なんだけれど、絵を描くうちに、

武内の中では絵に空間ができているのに、

その寸法があわないと云う感じなのです。

だから“寸法”という言葉もよく耳にします。

「ここから、ここの寸法が・・・・。」ともよく言います。

わたしは、何のことを言っているのか???となり、

何か辛くなってきて・・・・、脳が崩壊しそうになる。

そんな時は、「ちょっと、待ってくれる。」と言い、

台所へ直行する。

「今日は、何が食べたいかな?」と気持ちを切り替える。

いきなり冷蔵庫を開けたりして、気持ちを落ち着けます。

ヒロクニさんは、アトリエの紙の山を整理したらしく、その間多くの絵が出来上がり、

また、ゴミが大量に出て、捨てては描き、描いては捨てをくり返していた。

充実していたらしく、夜中も制作の音がしていた。

凄い体力と気力があるのだなと、「良人すご~い。」と感心した。

ちょっと、感動していました。

 

ところが、いきなり冬のように寒くなった。

寒いだけで、人格が変わるヒロクニさん。

それも悪い方に変わる良人。不機嫌。悪態。

感心していた心は、いきなり終わりを告げ、

いきなり私はひどい妻よばわり。

「君は、何でそんな口の聞き方するの?」と言い、

「何で?」って、何でも聞く。

もう、子供みたいになって、困るのです。

そして、私を困らせ、イライラさせたあげく、アトリエに行って絵を描いています。

しかし、絵はよく描く。

よく、画家の方が、「ご飯を食べるように絵を描きたい。」と、

インタビューなどで答える人がいますが、

その境地には、武内は行っていると思います。

春から秋にかけては、本当に絵をよく描いていました。

それも精力的に。

冬はやっかいな人物になるけど、

春から秋の頑張りは、よくやった!と認めます。

ヒロクニさんは、秋になると、「寂しくてたまらん。」とか、

淋しいばかり言う“淋しい病”があるのですが、

今年は、言う暇もなかったのか、聞きませんでした。

それほど、忙しかったのだろうと思います。

よく三昧の境地というようなことが言われますが、

ヒロクニさんは、制作三昧だったのだと思います。

仏教哲学では、「三昧」というのは、一種の瞑想に近いものらしいですね。

 

我家の柿が、今年はたくさん実をつけました。

↑昨年は、ほとんど生らなかったのですが、今年は豊作。

寒くなったので、これから柿が甘くなるでしょう。

近所にもたくさん配れそう。

ここの柿は、以前住まれていた方の自慢の柿の木らしく、美味しいのです。

色々な方から聞いた話をつなぎあわせて知ったのですが、

京都で買った苗木だったらしく、それがこんなに大きくなったということ。

住まれていたご主人は、京都大学の農学部だということも知りました。

この柿の木は、私にとっても普通の柿の木じゃないのです。

由来や、住まれていた方のお人柄や、いろんなものを感じる柿の木をいとおしく思っています。

↑かなり大きい木なので、高枝バサミとはしごを使って収穫します。

みかん(はっさく)も、実をつけていて、こちらは皮を使って、パウンドケーキに入れたりします。

 

 

そんな庭を見つめるピピちゃん。

↑窓から庭をみるピーちゃん。

寒いのか、毛が逆立っています。

(柿の木は左の奥なので、写真には写っていません。)

こうやって、じーとしてよく外を見ています。

小鳥を見つけると、変な声で鳴く。

そして、私の方を見て、「何とかして欲しい。」という目でみます。

 

これは、よくする姿。

↑毎朝、膝に手をのせてくっついてきます。

撫でて欲しいらしい。

かなり長時間、じっとしています。

 

↑ちょっと顔を上げたところ。

ほんとうに長い時間、いつまでもこうやっているので、

「ピーちゃん、もういいでしょ?」と何回も言って、

切り上げます。

置いている前足のようすが可愛い。

 

 

 

 


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2 コメント

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近年、シンプルな作品をよく目にします。 (さほりん)
2021-10-25 12:42:31
コメントありがとうございます。
すっかり寒くなりましたね。
近年、シンプルな作品が目立つようになりました。私が目にする作家の晩年の作品は、シンプルになる方が多いので、自然なことなのかな?と思いつつ、ヒロクニさんの絵の作品群を見ています。これは、途中の絵を仕上げたものと思われます。ソフトな感じもあり、優しい絵かもしれません。いつも、絵をよく見て下さっているのが、コメントで伝わってきます。改めて、ありがとうございます。
コロナを恐れているヒロクニさん。もう、篭って制作、制作の日々。血液検査も異常がまったくないし、元気なんでしょうね。ご飯も美味しいらしいし・・・。コロナのニュースが刺激になっているのか?はたまた、コロナに負けない!と思っているのか、禁欲的な生活があっているのか?今年は、目を見張る頑張りでした。飽きるということがない姿に脱帽。夏は、暑いけれど気にならないようで、とにかく寒さがダメ。元々、生まれが鹿児島県徳之島なので、暑い方が身体にはあっているのでしょう。本人もそう言っています。(豪語してます)
私は、暑いのも寒いのも嫌だけれど、日常の限界の温度がヒロクニさんと違うので、争いのもとになります。冬は、部屋を暑くされすぎて、「暑くて、汗かくから、向こうへ行く。」とヒロクニさんに言う始末。(節約して欲しい・・・。家計圧迫も半端じゃない)トホホなんです。
たぶん、私は、ともりんと同じだと思います。春、秋ですよ。
柿は毎年生っていたのが、2年おきに変わり、生る年は数多くというスタイルになったよう。不思議です。小さい苗木を想像し、また植えた人より長生きして大きくなり、今の柿の木の姿を植えた方は今の姿を知るはずはなく・・・、と時空を超えた想像をしています。
ピピちゃんは、鳥を見ているみたい。木にやってくるのでしょうね。時々、変な声で鳴きます。取って欲しいという目で見る。「ピーちゃん、それ無理だって。」と言ってしまっています。朝は、膝の上で撫で撫でしてと・・・・。ヒロクニさんは、「さほりのことお母さんって思ってるって。」と言います。そうなのか?子供がいないので「お母さん」という感覚がよくわからないのが正直なところ。
辰蔵君は、男意識が強い子なんですね。おもしろいね。(笑)ライバル意識をもって、ともりんに甘えるなんて。かわいい。
我家は、以前、オスのジル君がいた時、ヒロクニさんが、ジル君に張り合って、「俺と猫とどっちが大切なの?」と迫られたことがあった。(笑)もう、「猫」っていいそうで・・・。ピピを飼う前、ヒロクニさんから「メスにしてくれ。」と嘆願されましたよ。(笑)私は、内心「とにかく女がいいのか?」と思っていて、「女好きだなぁ~。」と呆れていました。辰蔵君って、ヒロクニさんみたいですね。(辰蔵君、我家の年寄り猫と同じに言ってごめんなさい。)
寒くなりましたが、愉快にやっていきたいですね。
ともりん、辰蔵君を大切にしてあげてね。
いつも、ユニークなコメントをありがとうございます。
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Unknown (ともりん)
2021-10-24 22:09:05
色がとても印象的にきれいな作品だなと思いましたが、なるほど、秋ですね。この作品は色に目が惹かれてしまいます。モチーフがシンプルな感じだからでしょうか。
とはいえ、しっかりと描かれた太く四角が強調されたこの形、機械っぽくて面白いです。四角のなかにある、ガッツポーズのような手と足の丸い曲線がキュートでよいアクセントです。
ヒロクニ先生の体力と気力に、改めて驚きました。本当に、画家になるために生を受けた方なのだなと思います。
冷蔵庫=食べること=現実の生きること、なのですね。お腹が減ってはヒトは生きていけません。現実を感じるには、その「食べること」を実感として確認することは大事です。
さほりんは、それを本能としてわかっているのですね。
東京も急に寒くなりました。ヒロクニ先生ほどではありませんが、寒くて何かをすることがおっくうになってきました。「寂しい」という気持ちではないですが、寒くて気力が萎えてしまう感じです。
猛暑の盛りには「暑くて何もする気が起きない」と思っていました。ヒロクニ先生は暑さは大丈夫なのですね。私は春か秋以外は、ちょっとだめなヒトになってしまいます。
柿が見事に豊作です。ヒトに歴史があるように、果樹にも歴史があるのですね。背景や歴史を知ると、思い入れが深まります。
猫は外を見ることがとても好きだと思います。自分は外に参加できないけれど、自然の中で一緒にいろいろしている気持ちになるのでしょうか。
ピーちゃんは、さほりんのお膝に顔をうずめて、お母さんを感じているのでしょうか。きっと、とても落ち着く格好なのでしょうね。
我が家の、辰蔵(たつぞう)というオス猫は、夫が寝た後、私が一人で机に向かっているときに、キーボードを打つ腕の中に入ってきて脇の下や胸に顔をうずめてゴロゴロいっています。
彼は夫をオスとして敵視しているようです。そして、私をひとりじめしようとしているかのようなこういう行動を、しばしばします。かわいいですね(笑)
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