田中雄二の「映画の王様」

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『はなちゃんのみそ汁』

2016-01-10 17:10:31 | 新作映画を見てみた

ユーモアを交えて描くことで見えてくるものとは…



 がんを患い、33歳の若さで亡くなった千恵(広末涼子)。結婚、妊娠、出産を体験し、変化していく夫婦の姿を、実話を基に半ばコミカルに描いていく。

 タイトルは、余命わずかとなった千恵が幼い娘のはなに、みそ汁作りを通して愛情と生きる力を伝えるところからきている。

 ブログ→書籍化→ドラマ化を経て映画化された本作は、認知症の母親とその息子が織り成す悲喜こもごもを描いた『ペコロスの母に会いに行く』(13)の脚本家・阿久根知昭の監督デビュー作だ。

 深刻な問題を、あえてユーモアを交えて描くことで見えてくるものとは…、という視点や死生観は『ペコロス~』と同じで、通常の闘病物、お涙頂戴物とは一味違うが、無理な設定や胡散くささを感じさせられる部分があり、少々鼻に付くところもある。

 こういう映画は、美談に終始しても、悲劇を強調し過ぎても駄目で、作り方が難しい。『ペコロス~』はそこを越えていただけに、今回も期待したのだが、その出来は少々残念なものだった。夫役の滝藤賢一が好演を見せる。

 『ペコロス~』との違いは題材はもちろん、やはり監督の力の差なのだろうか。

 その『ペコロスの母に会いに行く』のコラムはこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/59351

コメント
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