上下逆さまの世界が…
特撮パニック映画の最初の成功作で、監督はイギリス出身のロナルド・ニームです。巨大客船ポセイドン号が、何とニュー・イヤー・イブのパーティの最中に、津波によって180度転覆してしまいます。
ここから、主人公のスコット牧師(ジーン・ハックマン)やロゴ警部(アーネスト・ボーグナイン)をはじめ、個性豊かな面々が“船底”を目指して、時には対立しながらも決死の脱出行を繰り広げていきます。
上下逆さまの世界が現出するという発想がとてもユニークです。一人また一人と命を落とす中、最後に生き残るのは一体誰なのかというサスペンスで盛り上げます。牧師が主人公だけに神の存在を問うシーンもあります。
日本ではこの手の映画は“パニック(恐慌)もの”と呼ばれますが、アメリカでは“ディザスター(災害)・ムービー”と呼ばれます。この映画のプロデューサー、アーウィン・アレンは、後に超高層ビルの火災を描いた『タワーリング・インフェルノ』(74)も生み出しました。彼こそは70年代を席巻した名物プロデューサーと言っても過言ではありません。
キャロル・リンレイ(吹き替えはモーリン・マクガバン)が歌った劇中歌「モーニング・アフター」も大ヒットしました。