『チャイナ・シンドローム』(79)(1980.10.7.東急名画座)
原発事故後にこそ見るべき映画
東日本大震災における福島原発の事故を見るにつけ、思い出されてならなかったのが、架空の原発事故の前後を描いたこの映画でした。
原子炉事故に遭遇した原発の技師(シリアスなジャック・レモン)と、居合わせたテレビクルー(ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラスら)が、真実を伝えようと奮闘します。ところが、見えない大きな力によってもみ消されるさまを描くことで、権力の恐ろしさやマスコミの無力さを浮き彫りにします。
この映画のタイトルは「もし、アメリカの原発がメルトダウン(炉心溶融)を起こしたら、地面を突き抜けて中国まで熔けてしまう」というジョークから取られていましたが、全米公開直後に米スリーマイル島の原発で本当に事故が起きたことで、笑い事や絵空事では済まなくなりました。
~シンドローム(症候群) という言葉が日本で一般的に使われるようになったのも、この映画がきっかけです。まさに先見の明があった映画です。日本でも未曾有の原発事故が起きてしまった今こそ、見るべき映画だと強く思います。