

共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2018-12-07_1956855/
『女房の殺し方教えます』(64)(1986.5.19.銀座文化)
独身主義の漫画家スタンリー(ジャック・レモン)は、酔った勢いで知り合ったばかりのイタリア人女性(ビルナ・リージ)と結婚する。だが、結婚生活のストレスがたまったスタンリーは、執事(テリー・トーマス)と共に、妻を殺す漫画の話を考え始めるが…。監督はリチャード・クワイン。
ジャック・レモン自身は喜劇俳優と呼ばれることを嫌っているという。それ故か、近年は主にシリアスな役柄を演じ(それはそれでうまいのだが)、この映画のようなコミカルな役は演じなくなっている。
俳優という職業は、さまざまな役柄がこなせてこそのものだとは分かっているのだが、ジャック・レモンという名前から浮かぶイメージは、どうしても、このクワイン(『媚薬』(58)もある)やビリー・ワイルダーと組んで撮った、コミカルとペーソスを併せ持ったキャラクターということになる。
レモンのコメディ演技は、もちろんチャップリンらの体を使ったものとは違うし、かといってウディ・アレンほどの癖やくさみもない。彼特特の味と言ってもいいだろう。その味を捨ててしまうのはいかにも惜しい気がするのだが、もはやワイルダーやクワインは映画を撮っていないのだから、レモン自らが役柄を広げていくのは当たり前のことなのだ。
例えば、ジョン・フォード亡き後のジョン・ウェイン、黒澤明と別れた後の三船敏郎、ジョン・スタージェスとスティーブ・マックィーン、岡本喜八と佐藤允など…、一人の監督との絆が深過ぎた俳優が一人になると恵まれないことが多い。その点、ジャック・レモンは頭のいい人なのだろう。
テリー・トーマスについては
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a9af692fdd18315a2dedc7542ced6c88
『女房の殺し方教えます』パンフレット(65・大阪映画実業社)の主な内容
解説/リチャード・クワイン、ジョージ・アクセルロッド/物語/プロダクション・ニュース/スター・メモ、ジャック・レモン、ベルナ・リージ、テリー・トーマス、クレア・トレバー、エディ―・メイホフ
『お熱いのがお好き』(59)(1986.6.5.銀座文化)
何度見てもこの映画の素晴らしさにはうならされてしまう。マリリン・モンローのかわいらしさを生かし切ったのは、『七年目の浮気』(55)も含めて、やはりワイルダーだけだったのかもしれないと思わされる。
今回の新たな発見は、シドニー・ボラックの『トッツィー』(82)の原点は、まさしくこの映画ではないのかということ。この映画のジャック・レモンとトニー・カーティスの女装なくして、果たしてダスティン・ホフマンの女装などあり得たのだろうか。
『お熱いのがお好き』パンフレット(59・松竹事業部(Shochiku Picadilly NO10.))の主な内容
かいせつ/ものがたり/ワイルダーは、おふざけが好き「お熱いのがお好き」からのノート(淀川長治)/想い出の名画・ビリーワイルダー監督作品集/ジャック・レモン、トニー・カーティス、ジョー・E・ブラウン、ジョージ・ラフト、マリリン・モンロー/こぼれ話/ワイルダー監督の自信