『五本の指』(52(1997.2.7.))
ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督作で、第二次世界大戦下のトルコを舞台に、イギリスとドイツを手玉に取ったスパイの暗躍を描く。
もちろん、今の目から見てしまえば、スパイの手口の安易さや、緊迫感の薄さを感じるし、マンキーウィッツが才気に走り過ぎた失敗作だとも思える。ただ、実話の映画化という点では、それなりの制約もあったのだろうと推察する。
ところで、この映画に主演したジェームズ・メイスンは、公開当時、植草甚一氏によれば「多少マゾっけのあるいじめられ役としての評価が高かった」らしい。確かにこの映画でも、伯爵夫人(ダニエル・ダリュー)に見事に裏切られ、それを知った時の苦悩の表情が印象的だったし、ラストの高笑いも自虐的なものに映った。
後年の『天国から来たチャンピオン』(78)や『評決』(82)で見せた、余裕の演技の素がこうしたところにあったとは少々意外であった。
ジェームズ・メイスンのプロフィール↓
ダニエル・ダリューのプロフィール↓
パンフレット(52・アメリカ映画宣伝社(American Picture News))の主な内容
解説/梗概/原作者と映画の主人公/この映画のこと(門司春兵)/この映画のスタア三人ジェイムス・メイスン、ダニエル・ダリュウ、マイケル・レニイ