田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『出獄』

2019-03-11 17:24:42 | 1950年代小型パンフレット
『出獄』(48)(1990.5.26.)



 無実の罪で投獄された男を救うために奔走する新聞記者(ジェームズ・スチュワート)の姿を描く。監督はヘンリー・ハサウェイ。

 第二次大戦後、アメリカがイタリアのネオリアリスモに影響されて作ったと思われるセミドキュメンタリー映画の一本。この時期のアメリカ映画はジュールス・ダッシンの『裸の町』(48)など、ロケーション中心で撮られた社会派物が数多く作られ、独特の明るさが失われていたのだが、それは終戦直後の暗い世相を反映したものだったのだろう。

 それにしても、この映画のラストの、証拠写真の引き伸ばしをめぐるサスペンスは、今ならファックスのボタンを一押しすれば数秒で済むものであり、悲しいかな、機械文明の発達が、古い映画を興醒めさせる原因になってしまうことに気づかされる。とは言え、この映画のスチュワートのように、アメリカの良心を嫌味なく体現できる俳優が今はいないのもまた確かである。

【今の一言】と、約30年前はファックスの出現に驚いていたのに、今はファックスはとうに時代遅れになり、パソコン、スマホの時代である。今の若者がこの映画を見たら、まるでギャグのようだと思ったりするのだろうか。

ジェームズ・スチュワート

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『サヨナラ』

2019-03-11 10:16:19 | 1950年代小型パンフレット
『サヨナラ』(57)(1991.10.4.)



 朝鮮戦争時の日本を舞台に、二組の米国軍人と日本人女性との恋を描く。監督はジョシュア・ローガン。

 製作当時は“国恥映画”などとも言われ、随分と酷評されたようだ。確かに、今見てもリカルド・モンタルバン演じる歌舞伎役者や、松竹歌劇団をモデルにした“マツバヤシ”の描写など、おかしなところは多々あるのだが、概ね好意的かつ真面目に日本を描いており、そこまで酷評しなくても…という感じがした。

 また、今となっては貴重な映像となった、当時のアメリカ人たちが興味と好奇心を持って見つめた“神秘の国・日本”の風景が映る。レッド・バトンズが住んだ日本家屋は、マンションや団地に変わり、路地で遊ぶ子供もいなくなった。大げさに言えば、この映画に映った日本は今とは別の国のようにも見えるのだ。

 ところで、若き日のマーロン・ブランドのふて腐れたような個性はこの映画には合わなかったような気もする。今回新たに発見したのは、ポール・ニューマンと似ている、ということだった。何でもニューマンはそのことで随分と悩んだらしいのだが。また、バトンズと共にアカデミー助演賞を受賞したナンシー梅木は、現在は消息不明とのこと。

【今の一言】その後、ナンシー梅木は2007年に亡くなったことが報じられた。

マーロン・ブランドのプロフィール↓


レッド・バトンズ、ナンシー梅木

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『鳥』

2019-03-11 06:11:49 | 1950年代小型パンフレット

『鳥』(63)

『SCREEN特編版 これぞ映画遺産!!次世代に残したい名作映画96』(2012.7.10.)から。

『外国映画女優名鑑』から

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