土曜の夜に、夢中になって見ていた「傷だらけの天使」の放送が終わったのは今からちょうど44年前の1975年3月29日だった。
しばらくして、同じく「傷だらけの天使」を夢中で見ていた井のさんから「修(ショーケン)と亨(水谷豊)が住んでいたペントハウスの場所が分かったから行ってみないか」と誘われた。
ペントハウスは代々木駅にほど近い「代々木会館」の屋上にあるという。行ってみると、会館の内部はまるでラビリンスのような不気味な雰囲気で、中学生にはいささか刺激が強過ぎた。ボロボロの階段を上がってやっと屋上に着くと、確かにペントハウスはそこにあった。
中に入ってみると、最終回で、修が死んだ亨の体に巻きつけたヌードグラビアのようなものや、ゴミが散乱していたが、何だか最終回のタイトル「祭りのあとにさすらいの日々を」そのままの、空しく寂しい気分になって、早々に立ち去ったことを覚えている。
風の噂では代々木会館はまだ取り壊されていないらしい。井のさん、元気か。ショーケンが死んじゃったよ。
ショーケンには一度だけ会ったことがある。彼が『日本映画〔監督・俳優〕論』という本を出した時に、出版記念会見の模様を、取材、撮影し、記事にしたのだが、かつての憧れの人を目の前にして、仕事とはいえドキドキした覚えがある。(2010.10.18.)