南太平洋のマヌクラ島。一等航海士のテランギ(ジョン・ホール)は酋長の娘(ドローシー・ラムーア)と結婚するが、航海先のタヒチで白人といさかいを起こして投獄される。
一応クレジット上はジョン・フォード監督作となってはいるものの、いつもの“白と黒の魔法”が見られず、ひょっとして製作者のサミュエル・ゴールドウィンにとやかく言われて嫌になって、途中で共同監督のスチュアート・ヘイスラーに任せてしまったのでは…などと勘繰りたくなってしまった。
実際、8年も投獄されていたのに元気いっぱいの主人公の姿は今の目から見れば奇異なものに見えてしまう。まあ、50年以上前に作られた映画に対して、いまさらとやかく言うのも野暮だと思うし、単純にラストのハリケーンのスペクタクルシーンに驚きながら見てあげるのが筋なのかもしれないが、フォードの映画に特別な愛着を持つ者としては、どこかに責任転嫁したくなってしまうところがあったのだ。
さて、この映画、79年にミア・ファロー主演でリメークされたが未見。オリジナルがこれなら、あえて見る必要もないとは思うが、どうなのだろう。
ドローシー・ラムーア