田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『search #サーチ2』

2023-04-04 11:38:28 | 新作映画を見てみた

『search #サーチ2』(2023.4.3.ソニー・ピクチャーズ試写室)

 米ロサンゼルスから遠く離れた南米コロンビアを旅行中に、婚約者と共に突然消息を絶った母(ニア・ロング)。デジタルネイティブ世代である高校生の娘ジューン(ストーム・リード)は、検索サイトや代行サービス、SNSなど、使い慣れたサイトやアプリを駆使して母の捜索を試みる。

 スマホの位置情報や監視カメラ、銀行の出入金記録など、人々の行動や生活がデジタル上で記録されている現代、母を見つけることは簡単かと思われたが、一向に行方を知ることができない。そればかりか、不可解な出来事はすぐさまSNSで拡散され、憶測ばかりが広がっていく。不確かな情報に翻弄されながらも、真相をつかもうとするジューンだったが…。

 パソコンの画面上で物語が展開していくという斬新なアイデアと巧みなストーリーテリングで評判を呼んだサスペンススリラー『search サーチ』のシリーズ第2弾。今回も全編がデジタルプラットホーム上で展開する。前作は父が娘について調べたが、今回は娘が母について調べる。

 前作の監督・脚本のアニーシュ・チャガンティが原案・製作に回り、前作の編集を担当したウィル・メリックとニック・ジョンソンが共同で監督した。

 前作以上に二転三転するストーリー、さまざまなアプリやサイトを駆使して目まぐるしい展開を見せるが、これがまた面白い。黒人、白人、ヒスパニック、アジア系といったさまざまな人種の人たちが登場するのも、いかにも現代風。

 加えて、この映画はパソコンやスマホの画面がいくつも交錯して目の前に広がるのだが、これを大画面のスクリーンで見ることで、情報量の多さに付いていくことができる。これも皮肉っぽくて面白い。

 デジタルネットワーク社会は、便利ではあるが恐ろしくもある。いわば諸刃の剣。この映画でも描かれたように、調べようと思えば、個人の行動はまる分かりでプライバシーなどなきに等しい。そこに、前作に影響を受けたと思われる日本の『#マンホール』との共通性を見ることもできる。 

 何かとジューンを助ける仕事代行サービス業のハビを演じた、久しぶりのホアキン・デ・アルメイダがもうけ役。


『search/サーチ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2457a3650c480c7da7e8665abfe9c5c4

『#マンホール』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4897e4d6a6a43a185d91f99db3dd2109

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『サイド バイ サイド 隣にいる人』

2023-04-04 07:10:43 | 新作映画を見てみた

『サイド バイ サイド 隣にいる人』(2023.4.2.リモート試写)

 そこに存在しない「誰かの思い」を見ることができる未山(坂口健太郎)は、その能力を使って傷ついた人々の心身を癒やしながら、恋人で看護師の詩織(市川実日子)とその娘・美々(磯村アメリ)と平穏に暮らしていた。

 ある日、自分の近くに謎の男が見えるようになった未山は、その男・草鹿(浅香航大)を介して元恋人の莉子(齋藤飛鳥)と再会し、自らの過去と向き合うことになる。

 企画・プロデュース行定勲、脚本と監督は伊藤ちひろ。よくいえば静謐だが、悪くいえば観念的で、独り善がりで、何がいいたいのかよく分からないじれったさを感じる。そもそもこれはファンタジーなのか、それともソフトホラーなのか。フランス映画の影響を受けたが、それを消化しきれていないような印象を受ける。見どころは風景のみ。

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「BSシネマ」『アンネの日記』

2023-04-04 06:26:26 | ブラウン管の映画館

『アンネの日記』(59)(1975.11.27.)

 1942年、オランダ・アムステルダム。ナチスのユダヤ人迫害から逃れるため、13歳のアンネ(ミリー・パーキンス)は、父母(オットー・フランク、ガスティ・ハバ―)や姉のマルゴット(ダイアン・ベイカー)、親しいファン・ダーン夫妻(ルー・ジャコビ、シェリー・ウィンタース)とその息子ペーター(リチャード・ベイマー)と共に狭い隠れ家でひっそりと暮らし始める。

 アンネ・フランクの不朽の名作を、ジョージ・スティーブンス監督が映画化、過酷な状況下でも希望を持ち続けたアンネの短い青春を描く。アカデミー助演女優賞(ウィンタース)、白黒撮影賞(ウィリアム・C・メラ―)、美術・装置賞を受賞。

 

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