田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』

2023-04-30 16:03:30 | 映画いろいろ

『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』(94)(1994.8.22.渋谷シネセゾン)

 正直なところ、期待していたほどではなかった。それはデビッド・ザッカーが監督をせず、他人に任せてしまったせいかもしれないが、何よりも、レギュラー出演者の一人であり、アメフトの大スターでもあったOJ・シンプソンが起こした事件の記憶が生々しかったことが大きいだろう。

 しかも、このシリーズ第3弾では明らかに活躍場面も増えていたから、冗談では済まされない、偶像のはかなさすら感じさせられ、彼がふざければふざけるほど、笑うに笑えず…という妙な状況が生じてしまった。こうした楽屋落ちやパロディのおかしさで勝負する映画にとって、これほどのバッドタイミングはなかったというべきだろう。

 加えて、幻のテレビシリーズ「フライング・コップ 知能指数0分署」(82)以来、快調にお笑いドレビンを演じてきたレスリー・ニールセンにも、さすがに疲れが見え、淋しくはあるが、これを“最後”にしたのは正解だろうと思った。寅さんじゃあるまいし、老け老けになったドレビンでは、ますます笑うに笑えなくなってしまうだろうから。

 とはいえ、「フライング・コップ 知能指数0分署」以来、約10年。随分と笑わせてもらったのも事実であり、フランク・ドレビンという希有なコメディ・キャラクターを作り上げたスタッフと、それを演じ続けたニールセンには感謝である。

 それにしても、コメディの寿命は何と短く、はかないものか。


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『裸の銃を持つ男 PART2½』

2023-04-30 14:58:28 | 映画いろいろ

『裸の銃を持つ男 PART2½』(91)(1992.3.28.日比谷映画)

 この映画と相前後して公開されたかつてのお仲間ジム・エイブラハムズの『ホット・ショット』(91)を見た際に感じた消化不良を、このザッカー・ブラザースの映画が解消してくれた。同種のコメディ映画でありながら、こちらの方が数段楽しめたのである。

 もちろん、そこには幻のテレビシリーズ「フライング・コップ 知能指数0分署」(82)から、レスリー・ニールセン演じるフランク・ドレビン警部補(この映画でめでたく警部に昇進)に親しんできたという、こちらの事情もあるのだが、満員の観客はそんな“過去”は知らずに大笑いしていたのだろうから、純粋によくできたコメディ映画として評価してもいいだろう。

 そして、トリオで映画を作っていた、つまり同じ根の元から発したザッカー・ブラザースとエイブラハムズとの間に生じた差の理由が、この映画と『ホット・ショット』を対でみると明らかになる。

 どちらも、見る者をどうやって笑わせてやろうかという目的は一致していても、エイブラハムズは『フライングハイ』(80)路線、つまり、作り手が自分たちがやったパロディに酔ってしまうという悪癖から脱却できずにいるのに対し、ザッカー・ブラザースの方は、パロディはそこそこにして、一応独立したストーリーとキャラクターを生み出すことに努力している。

 だから、アメリカとはコメディ文化の違う日本ではこの映画の方が受けるのは至極当然。万人を笑わせるのはいかに難しいかということだ。


『裸の銃を持つ男 PART2½』アンソニー・ジェームズ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fc02dd9f5e225f7dc92016707d839a69


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『裸の銃を持つ男』

2023-04-30 11:56:47 | 映画いろいろ

『裸の銃を持つ男』(88)(1989.5.3.日劇プラザ)

 

 無鉄砲なズッコケ警部補フランク・ドレビン(レスリー・ニールセン)の奮闘を描くドタバタコメディ。この映画の基になったテレビシリーズ「フライング・コップ 知能指数0分署」(82)という邦題は、同じくザッカー・ブラザースとジム・エイブラハムズによる『フライングハイ』(80)から取ったのだろうが、この映画の邦題は『007/黄金銃を持つ男』(74)のパロディのつもりだろう。

 さて、この映画の出来が特別いいというわけではないのだが、バカなシーンの連続で、出てくるやつらもみんなどこか抜けている、ペーソスのかけらもない、つまり、単純に笑わせてやろうという精神が全編にあふれているところがいいのだ。

 加えて、ニールセンをはじめ、ジョージ・ケネディら本来コメディアンではないシリアスな俳優がたちが、お笑いに徹している意外性やイメージギャップが、おかしさを倍加させる効果がある。これとは逆になるのが、お笑いのたけしや鶴太郎がシリアスな役をやると際立って見えるというパターンだ。 

 何だかんだといっても、最近これだけ笑わせてくれた映画がなかっただけに、今は素直に感動している。



全部で6話しかない…「フライング・コップ 知能指数0分署」
https://www.youtube.com/watch?v=h2-BJgllagA

 

 

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「BSシネマ」『ジュマンジ』

2023-04-30 06:33:03 | ブラウン管の映画館

『ジュマンジ』(96)(1998.10.3.ゴールデン洋画劇場)

 奇妙なボードゲームを拾ったアーサーが、友達のサラと一緒にゲームを始めると、次々に不思議な出来事が起き始める。

 公開時は、どうせまたCGを多用しただけのたわいもない映画だと思って見逃がしていたのだが、甥と一緒にテレビで途中まで見てしまったものだから、妙に後を引かれてビデオで見直してみた。

 その結果、確かにCGの多用が前面に押し出された作品ではあったが、その根底には、不思議なボードゲームを通して示される、子ども心を持った大人のピュアな感覚が流れ(演ずるはまたまたロビン・ウィリアムズ)、恋人役のボニー・ハント(近頃、わがお気に入りの女優)との純愛やら、達者な子役たちとの絡みもあって、一種のタイムスリップものとして、あるいは父親との和解も加えた家族回帰的なものとしても楽しめた。さすがに『ミクロキッズ』(89)のジョー・ジョンストン監督だけのことはある。

 ラストの、両親と死に別れた子どもたちに、生き返った両親との新生活を与えるくだりは、見事なクリスマス・キャロルだった。どうもこういう話には弱いところがある。


【今の一言】ドウェイン・ジョンソン主演で再映画化された。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9b34a027da2de7b172d5495a5690a248

『ジュマンジ/ネクスト・レベル』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0b28e064db633bc096c6efd25b291406

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「笑った映画」

2023-04-30 01:07:42 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で「笑った映画」のアンケート結果が発表された。結果は以下の通り。参加16人。

3票
『セブンチャンス』(25)
『モダン・タイムス』(36)
『ニッポン無責任時代』(62)
『テルマエ・ロマエ』(12)
『カメラを止めるな!』(17)

2票
『黄金狂時代』(25)
『吾輩はカモである』(33)
『鴛鴦歌合戦』(39)
『独裁者』(40)
『毒薬と老嬢』(44)
『おかしなおかしなおかしな世界』(63)
『男はつらいよ』(69)
『サイレント・ムービー』(76)
『裸の銃を持つ男』(88)
『12人の優しい日本人』(91)
『Mr.ビーン』(97)
『ラヂオの時間』(97)
『トロピック・サンダー』(08)
『イニシェリン島の精霊』(22)
『バビロン』(22)


自分は

『要心無用』(23)

1929年以前の映画ベストテン1
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/dba12fc2bb2bb95eb4a4c002826d77d6


『黄金狂時代』

1929年以前の映画ベストテン2
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5b3e07371d50226f6a28415508114c64


『セブンチャンス』

「荏原オデヲン座」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0bf6b235d7cc5aa3f45099723b9eab6e

『Mr.ビリオン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8780c2c26c656c1badd6f8e4bd29a9f3


『モダン・タイムス』

「BSシネマ」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/354508452a360f875ff36ab39982e2c6


『おかしなおかしなおかしな世界』


『男はつらいよ』

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/40719f5f8740de1ab4cd1157c56fd299


『クレージー四人組スーパーマーケット珍作戦』(73)


『ポリスアカデミー』(84)

「午後のロードショー」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/02def547e4ea7751be737cdbb6e2b6a6


『裸の銃を持つ男』

元ネタテレビシリーズ『フライング・コップ 知能指数0分署』の方が面白かったけど…。https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/53a4142f31225a75622ef03f22731b57

『裸の銃を持つ男 PART2½』(92)アンソニー・ジェームズ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fc02dd9f5e225f7dc92016707d839a69


『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ca7e4aad3820f11eb33a111ef7df4d51


 何をもって「笑った」なのかと考えてなかなか決まらなかったが、結局はコメディ映画というところで落ち着かせた。

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