『ゴーストタウンの決斗』(58)(2023.4.1.人形町・三日月座)
ニューメキシコで保安官を務めるジェイクは、ある夜、隣町の牢獄に侵入し、昔助けてもらった恩を返すために、かつての強盗仲間クリント(リチャード・ウィドマーク)を脱獄させる。
だが、ジェイクと婚約者のペギー(パトリシア・オーエンス)はクリント一味に捕縛され、クリントはかつて銀行強盗で得た大金をジェイクが隠した場所を教えるように迫る。やがて、目的地のゴーストタウンに到達するも、コマンチ族の襲撃でクリント一味は次々と命を落としていく。
マウント・ホワニイやデス・バレーの風景が圧巻なこの映画は、同じくジョン・スタージェス監督の『OK牧場の決斗』(57)『ガンヒルの決斗』(59)と併せて、「決斗三部作」と呼ばれるが、3作の間に直接的なつながりはない。
ただ、2大主人公の愛憎劇…『OK牧場の決斗』のワイアット・アープ(バート・ランカスター)とドク・ホリディ(カーク・ダグラス)、『ガンヒルの決斗』のダグラスとアンソニー・クイン、この映画のテイラーとウィドマーク。
気の強い女…『OK牧場の決斗』のジョー・バン・フリート、『ガンヒルの決斗』のキャロリン・ジョーンズ、この映画のオーエンス。
屈折した若者…『OK牧場の決斗』のデニス・ホッパー、『ガンヒルの決斗』のアール・ホリマン、この映画のヘンリー・シルバなど、3作通しで考えると、意外と共通点は多い。これは、ジョン・スタージェス映画の共通パターンといえなくもないか。
(1974.9.19.木曜洋画劇場)(1994.6.24.)
蓮實重彥が、プレストン・スタージェスを持ち上げたいばかりに、名字が同じというだけのジョン・スタージェスを“二流監督”とほざいていたが、改めてこの映画を見ると、それが何の根拠もない、誹謗中傷や暴論の類であったことがよく分かる。
86分という驚くほど短い時間内に、西部劇のエッセンスがたっぷりと詰まり、しかも、ひねりの効いたストーリーと切れのいいアクションに満ちた道中記を撮れる監督のどこが二流なのか。
ところで、今回約20年ぶりに見直してみたら、リチャード・ウィドマークの西部劇的な身のこなしのよさが目立って見えたし、今も変わらぬ、ヘンリー・シルバの屈折した悪役ぶりも面白かった。恐らく、スティーブ・マックィーン以前では、ウィドマークがダントツではないか。なになに暴論だって?