田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ドゥービー・ブラザーズ結成50周年

2023-04-18 10:26:26 | 音楽

 ドゥービー・ブラザーズ結成50周年のリユニオン・ツアーが開催中。今回の目玉はトム・ジョンストンとマイケル・マクドナルドの競演。行きたいが値段が高過ぎる…。最後に彼らを見たのはもう30数年前のことになる。


「THE DOOBIE BROTHERS CYCLES」(1989.11.22.代々木オリンピックプール)

 まさに滑り込みで会場に駆け込むと、いきなり「ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ」が始まった。席の都合上、豆粒ほどにしか見えないが、まさしく歌っているのはトム・ジョンストン率いるドゥービー・ブラザースの面々だ。

 ここから先は、「希望の炎=ジーザス・イズ・ジャスト・オールライト」「ブラック・ウォーター」「ザ・ドクター」「エコーズ・オブ・ラブ」「君の胸に抱かれたい=テイク・ミー・イン・ユア・アームズ」「チャイナ・グローヴ」「ロング・トレイン・ランニン」…と、まさしく怒濤の演奏が続き、あっという間にラストの「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」という感じで大満足。

 最初に、今回の再結成のことを耳にした時は複雑な心境だった。一時期、どっぷりと漬かっていた幻のジョンストン中心のドゥービーが聴けるという喜びと、所詮ソロじゃ食えないから過去の栄光にすがったのか…という思いが半々だったのだ。

 だが、思えばジョンストンのドゥービーからの離脱は、いかにも中途半端な感じがしたし、その後のマイケル・マクドナルドが中心になったドゥービーは、それはそれで楽しませてはもらったのだが、これは別物だと思っていた。加えて、このバンドはあまりにも人の出入りが多過ぎた。

 だから、ジョンストンが自分自身のドゥービー・ブラザースに対して、何らかの決着をつけるための再結成なのだろうと思い込ませて最新アルバム『サイクルズ』を聴いてみたら、1曲目の「ザ・ドクター」のイントロから、マクドナルド以前の、昔ながらのドゥービーの音が聴こえ始めた。

 これが妙にうれしかった。シンセサイザーやコンピューターで作られた音ではなく、ギターをかき鳴らすロックンロールの響きがあった。ワンパターンと笑わば笑え。けれどもちょっと聴いただけで、あー、これはあのバンドの音だと感じられることは、変化の激しい今の世の中では、逆に貴重なのではないかと思う。今回のコンサートは、それを立証してくれた。変わらないことがいいこともあるのだ。


キース・ヌードセンが死んだ(2005.2.10.)

 ドゥービー・ブラザースのドラマー、キース・ヌードセンが亡くなったという。ドゥービーと言えば、メンバーの入れ替わりが激しいバンドで、彼は確か『スタンピード』あたりからの加入だったと思うが定かではない。そしてヌードセンといえば、トム・ジョンストンが抜けた後のライブで「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」のリードボーカルをやっていたような気もするが、これも定かではない。

 昔は、よくジョンストン中心の頃のドゥービーが良くて、マイケル・マクドナルドが中心となった後はどうも…などと言っていたが、実は前期の泥臭いロック調も、後期の洗練されたオシャレなAOR調のどちらもいいわけで、その変わり身の良さがこのバンドのユニークなところだ。

 後は、メンバーの名前も結構ユニーク。まあずっと居続けたパトリック・シモンズは別にしても、ヌードセン、タイラン・ポーター、コーネリアス・バンパス、ジョン・マクフィー、チェット・マクラッケン、それからジェフ・“スカンク”バクスターなんていう愉快な連中が出たり入ったりしていた。今日は久しぶりに彼らの曲を聴いてみようかな。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「BSシネマ」『ベニスに死す』

2023-04-18 06:22:51 | ブラウン管の映画館

『ベニスに死す』(71)

『世界で一番美しい少年』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/91d5a3fa42e9fd7602aaa32a251c34db

『ベニスに死す』ニセ淀川長治
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9f06a934bd133528d6399c1be99cb1e2

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脚本・竹山洋 映画編『うれしはずかし物語』『四十七人の刺客』『SABU ~さぶ~』

2023-04-18 00:04:57 | 映画いろいろ

『うれしはずかし物語』(88)(1995.7.) 

 何の気なしに見始めたのだが、中年夫婦(寺田農と実に色っぽい本阿弥周子)それぞれの浮気のやり取りを半ばポルノチックに、しかもコメディタッチで見せる、語り口の面白さに誘われて、結局最後まで見てしまった。これは誰ぞ名のある者の仕業に違いないと思ったら、監督・東陽一、脚本・竹山洋だった。にっかつロマンポルノ終焉前の佳作と言えるのではないか。


『四十七人の刺客』(94)(1994.12.8.日劇東宝)

 これまで「忠臣蔵」に関する芝居や映画やドラマは一体どのぐらい作られたのだろうか。およそ300年前の出来事なのに、これほど日本人の中に浸透している事件も珍しい。

 しかも、目撃者は誰もいないし、真実を知っている者もいない。つまり、浅野内匠頭の江戸城松の廊下での吉良上野介への刃傷、切腹で始まり、赤穂浪士たちの吉良邸討ち入りで終わるという約束事さえ守れば、その間をどう描こうが自由だということ。それ故、過去にさまざまな話が作られ、今またこうして競作されるに至っている(聴けば、未見の深作欣二の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94)の方は、忠臣蔵から逸脱してなかなか面白いとのこと)。

 この映画では、刃傷の真相は誰も知らない、上野介(西村晃)悪役説は大石内蔵助(高倉健)によるでっち上げ、吉良邸は要塞のようであった(村木与四郎によるセットは見事)などが新たな視点。ただ、散々焦らせておいて、最後に真相を語ろうとする上野介を、大石が「聞きとうない」と斬ってしまっては、何をかいわんやだ。期待の市川崑と健さんの組み合わせも成功していたとは言い難い。

 そこには、過去のさまざまな忠臣蔵関連作品によって植え付けられたイメージの蓄積が邪魔をしたことも否めないが、もはや忠臣蔵に新しさを求めること自体に無理があるという気もする。

 先に刊行されたインタビュー集『市川崑の映画たち』によると、「絵図面で始まり習字で終わる」など、視覚的には一応狙った通りに撮れていたにもかかわらず、市川崑の名人芸が鳴りを潜めた理由はどこにあったのだろうか。


『かあちゃん』(01)

『赤ひげ』と山本周五郎原作映画2
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f6dd0ca1574fbed6a5436e5ba1323fde


『SABU ~さぶ~』(02)(2005.1.5.)

 仕事始めから帰ってみると、妻が何やらご機嫌斜め。正月休みに見ようと思って借りていたビデオを見て「中途半端な…」と、ぶつぶつ文句を言っていた。

 その映画は『SABU ~さぶ~』。山本周五郎の原作を三池崇史が監督し、今が旬の藤原竜也の栄二と妻夫木聡のさぶで映画化したものだ。妻夫木のさぶは原作のイメージとは大きく違っていたし、おのぶ(田畑智子)を中心に持ってきてナレーションまでさせるというのもいかがなものかと思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする