ドゥービー・ブラザーズ結成50周年のリユニオン・ツアーが開催中。今回の目玉はトム・ジョンストンとマイケル・マクドナルドの競演。行きたいが値段が高過ぎる…。最後に彼らを見たのはもう30数年前のことになる。
「THE DOOBIE BROTHERS CYCLES」(1989.11.22.代々木オリンピックプール)
まさに滑り込みで会場に駆け込むと、いきなり「ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ」が始まった。席の都合上、豆粒ほどにしか見えないが、まさしく歌っているのはトム・ジョンストン率いるドゥービー・ブラザースの面々だ。
ここから先は、「希望の炎=ジーザス・イズ・ジャスト・オールライト」「ブラック・ウォーター」「ザ・ドクター」「エコーズ・オブ・ラブ」「君の胸に抱かれたい=テイク・ミー・イン・ユア・アームズ」「チャイナ・グローヴ」「ロング・トレイン・ランニン」…と、まさしく怒濤の演奏が続き、あっという間にラストの「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」という感じで大満足。
最初に、今回の再結成のことを耳にした時は複雑な心境だった。一時期、どっぷりと漬かっていた幻のジョンストン中心のドゥービーが聴けるという喜びと、所詮ソロじゃ食えないから過去の栄光にすがったのか…という思いが半々だったのだ。
だが、思えばジョンストンのドゥービーからの離脱は、いかにも中途半端な感じがしたし、その後のマイケル・マクドナルドが中心になったドゥービーは、それはそれで楽しませてはもらったのだが、これは別物だと思っていた。加えて、このバンドはあまりにも人の出入りが多過ぎた。
だから、ジョンストンが自分自身のドゥービー・ブラザースに対して、何らかの決着をつけるための再結成なのだろうと思い込ませて最新アルバム『サイクルズ』を聴いてみたら、1曲目の「ザ・ドクター」のイントロから、マクドナルド以前の、昔ながらのドゥービーの音が聴こえ始めた。
これが妙にうれしかった。シンセサイザーやコンピューターで作られた音ではなく、ギターをかき鳴らすロックンロールの響きがあった。ワンパターンと笑わば笑え。けれどもちょっと聴いただけで、あー、これはあのバンドの音だと感じられることは、変化の激しい今の世の中では、逆に貴重なのではないかと思う。今回のコンサートは、それを立証してくれた。変わらないことがいいこともあるのだ。
キース・ヌードセンが死んだ(2005.2.10.)
ドゥービー・ブラザースのドラマー、キース・ヌードセンが亡くなったという。ドゥービーと言えば、メンバーの入れ替わりが激しいバンドで、彼は確か『スタンピード』あたりからの加入だったと思うが定かではない。そしてヌードセンといえば、トム・ジョンストンが抜けた後のライブで「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」のリードボーカルをやっていたような気もするが、これも定かではない。
昔は、よくジョンストン中心の頃のドゥービーが良くて、マイケル・マクドナルドが中心となった後はどうも…などと言っていたが、実は前期の泥臭いロック調も、後期の洗練されたオシャレなAOR調のどちらもいいわけで、その変わり身の良さがこのバンドのユニークなところだ。
後は、メンバーの名前も結構ユニーク。まあずっと居続けたパトリック・シモンズは別にしても、ヌードセン、タイラン・ポーター、コーネリアス・バンパス、ジョン・マクフィー、チェット・マクラッケン、それからジェフ・“スカンク”バクスターなんていう愉快な連中が出たり入ったりしていた。今日は久しぶりに彼らの曲を聴いてみようかな。