田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『夜霧よ今夜もありがとう』

2020-09-16 06:58:36 | ブラウン管の映画館

『夜霧よ今夜もありがとう』(67)

 横浜でナイトクラブを経営する相良(石原裕次郎)のもとに、4年前に姿を消したかつての恋人・秋子(浅丘ルリ子)が現われる。秋子は、夫となった東南アジア出身の革命指導者グエン(二谷英明)をひそかに出国させるため、相良に協力を頼むが…。

 裕次郎の後期の代表作となったこの映画は、『カサブランカ』(42)を翻案したもの。こうした換骨奪胎は日活映画の得意技だが、今回は、脚本の野上龍雄、石森史郎、監督・脚本の江崎実生の仕業だ。 

 とはいえ、この映画に関しては、映画の出来云々よりも、ハマクラこと浜口庫之助作詞・作曲の主題歌の方が有名だ。ハマクラさんは、裕次郎には「粋な別れ」も提供している。

 その他、「涙くんさよなら」「エンピツが一本」(坂本九)、「夕陽が泣いている」「風が泣いている」(スパイダース)、「もう恋なのか」「空に太陽がある限り」(にしきのあきら)、「バラが咲いた」(マイク真木)、「星のフラメンコ」(西郷輝彦)、「みんな夢の中」(高田恭子)、「愛のさざなみ」(島倉千代子・作詞・なかにし礼)「人生いろいろ」(島倉千代子・作詞・中山大三郎)等々、名曲をたくさん残している。そのほとんどが、小学生の頃、詩の意味もよく分からずに口ずさんだ曲ばかりだ。

『嵐を呼ぶ男』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/df9f1a198510d73a423f31153e2286b8

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【インタビュー】「誰かが、見ている」三谷幸喜&香取慎吾

2020-09-16 06:35:06 | インタビュー

三谷幸喜「喜劇俳優として香取さんに全幅の信頼を置いています」
香取慎吾「最初は『本当にいいんですか?』という感じでやっていました」


https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1242089

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『バックドラフト』

2020-09-15 06:52:04 | ブラウン管の映画館

『バックドラフト』(91)(1991.8.24.日劇プラザ)

 

  消防士の兄弟(カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン)を中心に、火災現場での彼らの活躍と葛藤、彼らが謎の放火犯の正体を追う姿を描く。そんなこの映画の監督が、ロン・ハワードだと最初に聞いたときは、あれっ?と思った。これまでの彼の作品に共通して流れていたハートウォームなタッチと、消防士たちを描く骨太な映画のイメージがうまく結びつかなかったのである。

 そして、見終わった今、その予感が半ば当たってしまったような、妙な感慨に捉われている。例えば、映画が描いた消防士の中では、『タワーリング・インフェルノ』(75)でスティーブ・マックィーンが演じた、沈着冷静でタフでかっこいいオハラハン隊長のイメージが強く印象に残っているのだが、この映画に登場する消防士たちは皆人間くさくて、屈折の固まりのように描かれている。つまり、久しぶりに心地よい男の世界の英雄伝が見られると思っていた、こちらの期待を見事に裏切ってくれたのだ。

 確かに、実際には彼ら消防士とて決してスーパーマンではなく、普通の人間であり、ましてや命懸けの仕事をしているのだから、そうした人間くさい部分を、火事という一種のスペクタクルの中に描き込んだ意図は分かるのだが、もう少し、ストレートで勝負してほしかった、という思いが残って、映画の中に心底入り込めないところがあった。

 ただ、そうした不満を抱かせながらも、この映画が表現した“炎の魔力”はすさまじかったと言える。それは、放火魔や野次馬はもちろん、対する消防士たちも、形こそ違え、火が好きなのだということ。つまり、火を見ると無性に興奮する、という人間の本能を暴いているところがあるのだ。

 例えば、ラブシーンと消火活動を並行して映すことによって、彼らがどちらにも快感を得ていることが分かるし、最近のアメリカ映画にしては珍しく、たばこを吸うシーンがやたらと目に付く。特に、消防士たちが、消化現場で火災の最たる原因の一つである、たばこを一服、というシーンは奇異なものとして映るし、火に取りつかれてしまった者たちの哀れさすら感じてしまうのだ。そして、それと同時に、もはや単純なヒーロー伝が作れなくなってしまった今の社会の病根の深さも知らされる。

 主演のラッセルが体を張って随分と頑張っていたが、またもやスコット・グレンが見事な助演を見せ、ロバート・デ・ニーロが、久々に全てを食ってしまうような名演を見せた。

 また、どちらも、人間が持つ屈折を描いたという点で共通するとはいえ、ボールドウィンとドナルド・サザーランドの問答を見ながら、『羊たちの沈黙』(91)のジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの姿が重なって見えるところがあった。

【インタビュー】『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ロン・ハワード監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/034b9b32ed126b9e8c531d8a4ab698f0

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『探偵物語』(83)

2020-09-14 07:25:51 | ブラウン管の映画館

『探偵物語』(83)(1983.9.21.東急レックス.併映は『時をかける少女』)

 松田優作主演で同名の傑作テレビドラマがあるから、何やらややこしいが、『遠雷』(81)の根岸吉太郎監督、進境著しい薬師丸ひろ子と優作の顔合わせということで、期待は大きかったのだが、どうも薬師丸演じる主人公の性格に付いていけなかった部分がある。

 今まで、ひたすら純情路線をひた走ってきた薬師丸が、今はやりの、どこにでもいそうな軽薄女子大生を演じる姿に、無理して背伸びをしているような印象を受けた。

 憧れの先輩に誘われたからといって、何のためらいもなくホテルに入ってしまう短絡さ、自分勝手な行動の数々…。それはいつまでも、純情なひろ子ちゃんで通すわけにもいかないだろうが、そんなに急に、無理してイメージを変えなくてもいいと思うのだ。

 そんなわけで、この嫌な主人公と優作演じる探偵さんとの“探偵ごっこ”が繰り広げられていく。そして、きっとこの主人公は探偵さんと付き合っていくうちに、いい女になっていくのだろう、という期待(例えば『ローマの休日』(54)のような…)も空しく、この主人公は最後まで嫌な女のままなのだ。

 それ故、優作はもとより、岸田今日子、秋川リサ、財津一郎といった脇役たちが盛り上げても、主人公が浮かび上がってはこない。薬師丸がいくらかわい子ぶっても、わざとらしさを感じるだけだ。俳優のイメージチェンジの難しさを、改めて知らされた気がする。

 それにしても、この映画が今夏大いに受けたというのは、今の軽薄女子大生たちが、薬師丸演じる主人公に自分を重ねて、ちょっとした冒険をしたような感覚で楽しんだからなのかもしれない。そう考えると、根岸は今の若い女性たちの性格を見抜いていた、ということになるのか。

【今の一言】今から37年前に書いた気恥ずかしくなるようなメモだが、バブル前のあの時代の空気の一端は捉えていると思う。今は、軽薄女子大生なんて言わないし、言ったらセクハラになるのかな。

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ビデオ通話で西部劇談議『死の谷』

2020-09-13 15:49:03 | 駅馬車の会 西部劇Zoomミーティング

 今回の「ビデオ通話で西部劇」のお題はラオール・ウォルシュ監督の『死の谷』(49)

 淀川長治先生は「この映画は、アメリカよりも日本で受けたんだね。最後で主人公の男女が死んじゃうでしょ。日本人はこうしたドラマが好きだけど、アメリカ人は彼らが生きることを好むんだね。そういう違いも面白いね」と語っていた。

 この映画は、同じくウォルシュ監督・ジョン・ヒューストン脚本の『ハイ・シェラ』(41)を西部劇に翻案してリメイクしたものだが、その後、スチュアート・ヘイスラー監督の『俺が犯人(ホシ)だ!』(55)として三度映画化されている。それぞれ、主人公はハンフリー・ボガート、ジョエル・マックリー、ジャック・パランス、相手役はアイダ・ルピノ、バージニア・メイヨ、シェリー・ウィンタースが演じた。

 とは言え、『死の谷』のラストは、キング・ビダー監督の『白昼の決闘』(46)の影響も多少受けているのではないかとも思う。

『死の谷』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c733d7bbdbc246663e77b57476888910

『俺が犯人(ホシ)だ!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/56e6b683171ba76a1cc70452acf03892

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『ブルースの誕生』渡辺貞夫

2020-09-13 15:19:57 | 映画いろいろ

 サックス奏者の渡辺貞夫の17年前のツアーの模様を追ったドキュメンタリー「70歳のゴキゲンツアー~渡辺貞夫と新人ドラマー~」を見た。ツアーを通して、ナベサダさんの薫陶のもと、18歳のドラマーが成長していく姿がすがすがしく映った。

 この中で、ナベサダさんが「自分がジャズ好きになるきっかけになった映画」の話をしていた。その映画は『ブルースの誕生』(41)だったが、もちろん当方は未見。

 ちょっと調べてみたら、クラシックを勉強させられている少年が、父の命令に反してジャズ(クラリネット)に夢中になり、長じてジャズバンドを作る、というもので、大人の役はビング・クロスビーが演じたらしい。

 双葉十三郎さんの『ぼくの採点表』を読むと、「ストーリーが定石すぎる」「音楽の方もたいしたことはない」と酷評しているが、「一般のファンにジャズの常識を与えるのに役立つにちがいない」とも書いている。

 ナベサダさんは「少年と自分が重なって、とても楽しい気分になって、ジャズっていいなあと思った」みたいなことを語っていた。このような、一本の映画との出会いが、ある人間のその後の人生を変える、などという話は、今でもあるのだろうか。


 

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「土曜プレミアム」『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

2020-09-12 09:30:13 | ブラウン管の映画館

今日の「土曜プレミアム」(フジテレビ)は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)。もう5年前なのか…。

【ほぼ週刊映画コラム】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fe1edecc36670284d7f31a7f2cc013ba

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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

2020-09-12 08:28:55 | 新作映画を見てみた

『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2020.9.9.オンライン試写)

 サンフランシスコに生まれ育った黒人のジミー(ジミー・フェイルズ)は、祖父が建て、幼い頃に家族と暮らした、高級住宅街にあるビクトリアン形式の家を愛していた。

 ある日、その家が売りに出されたことを知ったジミーは、そこに再び住むために奔走する。そんなジミーの思いを、親友のモント(ジョナサン・メジャース)は静かに支えるが、やがて彼らはある真実を知ることになる。

 変貌するサンフランシスコを舞台に、ひたすら家=ホームにこだわる一人の黒人青年の姿を通して、移民やマイノリティの問題、都市開発によって取り残された人々の姿を描く。かつてスコット・マッケンジーが歌った「花のサンフランシスコ」が象徴的に歌われる。

 この映画は、『ムーンライト』(16)を製作した映画スタジオ「A24」とブラッド・ピットが率いる「プランB」が再びタッグを組んだもので、監督・脚本は、これがデビュー作のジョー・タルボット。ストーリーはタルボットと主演のフェイルズが実際に体験したことを題材にしたものだという。

 タルボットは、映画の根本について「多くの財産は持たなくても、かけがえのない友がいて、心の中には小さいけれど守りたい大切なものを持っている。それだけで人生はそう悪くないはずだ」と語っている。

 そんなこの映画は、サンダンス映画祭で監督賞ほかを受賞するなど、すこぶる評判がいいのだが、ジミーとモントの関係性や、彼らに絡む人々に関する説明が不足しているので困惑させられるところがある。どうもストレートではなく、ニュアンスや詩的な部分で勝負している節がある。

 また、こちらはサンフランシスコの変化や住宅事情などはよく分からないから、ジミーの思いも唐突なものに見えてしまう。だから、見終わった後で、もやもやした気持ちが残ることになる。というわけで、『ムーンライト』同様、好みは分かれるのではないか、という気がした。

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『レオン』

2020-09-11 07:35:27 | ブラウン管の映画館

『レオン』(94)(1996.11.)

 話題のリュック・ベッソン監督作を、遅まきながらテレビで見た。 

 ジャン・レノ演じる一匹狼の殺し屋レオンとナタリー・ポートマン演じる少女マチルダとの、あたかも道行きのような愛の姿は、『シベールの日曜日』(62)をほうふつとさせ、『グロリア』(80)の逆パターンのようでもあり、なかなか面白かった。

 ところが、ゲイリー・オールドマン(うまいんだけど…)の悪徳警官を絡ませるとちょっと話が違ってくる。そのため、手放しでは乗り切れないところがあったのが残念だった。

 ところで、この映画のキーとなる小道具は、レオンが大事にし、マチルダが引き継いだ鉢植えなのだが、ローレンス・カスダンの『フレンチ・キス』(95)で、ケビン・クラインが大事にしてフランスに持ち帰った葡萄の苗は、この映画に対するパロディだったのでは? などと思ってしまった。

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『ネバダ・スミス』

2020-09-11 07:12:41 | ブラウン管の映画館

『ネバダ・スミス』(66)(1974.3.1.ゴールデン洋画劇場)

 白人の父と先住民の母との間に生まれた青年マックス(スティーブ・マックィーン)は、ある日、3人の悪党(カール・マルデン、マーティン・ランドー、アーサー・ケネディ)に両親を殺され、一味を追って復讐の旅に出る。

 世間知らずのマックスだが、途中で知り合った鉄砲鍛冶屋のコード(ブライアン・キース)に銃の扱いや世渡り術を教えられ、犯人たちを一人ずつ追いつめていく。

 『大いなる野望』(64)でアラン・ラッドが演じたネバダ・スミスの前半生を描く。ラッドの死で、代わりにマックィーンが演じた形になったが、結果的に彼の代表作の一つとなった。

 監督はヘンリー・ハサウェイ、印象的な音楽はアルフレッド・ニューマン。ナイフ、泥水、銃と三種三様の闘い方がユニーク。悪役の3人はもちろん、銃の指南役のキースがいい味を出している。

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