小柄な体格ながら、左のサイドスローから繰り出す変幻自在の投球で、右の松岡弘と共にヤクルトスワローズのエースとして活躍した安田猛が亡くなった。
新人王、最優秀防御率(2回)を獲得し、王キラーとしてもならした名投手だが、ペンギン投法とも呼ばれたどこかユーモラスな動きのせいもあり、いしいいさいちの漫画『がんばれ!! タブチくん!!』では、デフォルメされて、魔球を操るヤスダとして描かれていた。
『がんばれ!! タブチくん!!』は、映画も3本作られて楽しませてもらったが、今なら肖像権が問題になるだろうし、何より、果たして本人が笑って許すだろうかと思う。
『がんばれ!! タブチくん!!』(79)(1979.12.7.渋谷スカラ座)
阪神時代の話を西武での話に置き換えて、なかなか笑わせてくれました。タブチくんの西田敏行、ミヨ子夫人の二木てるみ、ヤスダの青野武、ネモト監督の内海賢二、ヒロオカの羽佐間道夫らの声も面白い。
『がんばれ!! タブチくん!!第2弾 激闘ペナントレース』(80)(1980.9.22.渋谷パレス.併映は『1941』)
去年見た『がんばれ!! タブチくん!!』の続編。現在、西武ライオンズが快進撃中なので、逆の意味で面白かった。しかし、一作目よりもお遊びが過ぎ、やり過ぎやしつこさを感じたが、プロ野球選手を茶化すというのは、今まであまりなかった発想なので、度を越さない限りは楽しめる。
『がんばれ!! タブチくん!!初笑い第3弾 あゝツッパリ人生』(80)(1981.1.12.丸の内東宝)
『がんばれ!! タブチくん!!』の第三弾。2作目ですでに行き過ぎを感じていたので、あまり期待は持てなかった。いしいひさいちの原作をいくらか変えてはいるものの、落ちが分かってしまって笑えない。もはや限界か。まあアニメなのだからあまり深く考えることもないのかもしれないが…。
とは言え、タブチくん、ヤスダをはじめ、ナガシマ、オウ、エガワ、ナカハタ(絶好調は傑作)、フルサワ、コバヤシ、カケフ、キダ、ツツミオーナー、ネモトカントク、ノムラ、そしてヒロオカ…楽しいキャラクターを生み出したことは、評価すべきだろう。
本物の田淵幸一の離婚騒動の時、「女房が漫画のミヨコ夫人のようだったら…」と言っていたのを思い出す。確かに、陰ながらタブチくんの尻をたたく、ミヨコ夫人はほのぼのとしたキャラクターとして描かれていた。そう言えば、この映画、JAと一緒に見に行くはずだったのだ。彼女、もう見たかなあ。
アイデアは面白いが…
交通事故死した中年男のパオロは、短い寿命に納得できず、天国の入口で猛抗議。すると、前代未聞の計算ミスが発覚し、92分間だけ寿命が延長され、地上に戻れることになる。パオロは、自分勝手に生きてきたことを後悔し、家族との絆を取り戻そうと奮闘するが…。
これは『幽霊紐育を歩く』(41)『天国は待ってくれる』(43)『天国から来たチャンピオン』(78)『ソウルフル・ワールド』(20)などのイタリア版といったところか。英語タイトルは「オーディナリー・ハピネス=平凡な幸せ」。監督・脚本は『ローマ法王になる日まで』(15)のダニエレ・ルケッティ。
アイデアは面白いが、パオロの回想の挿入の仕方が雑で、見ていて混乱してくる。ここは”残された92分間”の描写で押し通すべきではなかったのか。加えて、パオロを演じるピエルフランチェスコ・ディリベルトの魅力が薄いし、イタリア独特の笑いも空回り。唯一、天国の役人役のレナート・カルペンティエーリが印象に残る。
親子二代で戦国時代へタイムスリップ
スポーツの名門・滋賀県の星徳高校が校舎ごと戦国時代にタイムスリップし、戦(いくさ)に巻き込まれていく…。笠原真樹の人気コミック『群青戦記』を、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化。
新田真剣佑が、『戦国自衛隊』(79)の父・千葉真一に続いて、親子二代で戦国時代へタイムスリップ。ただ、「戦国武将VS高校生アスリート」というアイデアは面白いが、例えば、真剣佑扮する主人公の、剣道→剣術はまだ分かるとして、いきなりの見事な乗馬シーンには思わず失笑。それに、皆高校生にしては老けて見えるので、興ざめさせられるところがある。
考えたらおかしなことだらけの話だが、原作は漫画だから、これでもいいのかな。松平元康(後の徳川家康)役の三浦春馬が抜群の存在感を示す。やはりその死は惜しみてもなお余りあるものがあると感じた。
結果は
1.冷たい熱帯魚
2.ソーシャル・ネットワーク
3.ブラック・スワン
4大鹿村騒動記
5.マネーボール
6.ゴーストライター
7.トゥルー・グリット
8.英国王のスピーチ
9.ヒア アフター
10.一枚のハガキ
自分は
1.マネーボール
2.ミッション:8ミニッツ
3.ゴーストライター
4.アリス・クリードの失踪
5.トゥルー・グリット
6.ミケランジェロの暗号
7.ソーシャル・ネットワーク
8.127時間
9..マイ・バック・ページ
10.大鹿村騒動記
50年あまり生きてきて、東日本大震災のあった昨年ほど、生と死の狭間について考えさせられたことはなかった。1位は“メジャーリーグ好き”という趣味故に選んだが、2位と8位、そして10位(原田芳雄について)などは、生と死の狭間が象徴的に描かれていたと思う。未見だが『一枚のハガキ』もそうした映画なのでは。ワースト1位は言わずもがなの『さや侍』。吉本の芸人に簡単に映画を撮らせる風潮はいかがなものか。『ツリー・オブ・ライフ』のテレンス・マリックは評価され過ぎ。
結果は
1.桐島、部活やめるってよ
2.ヒューゴの不思議な発明
3.アルゴ
4.この空の花 長岡花火物語
5.ドライヴ
6.ダークナイト ライジング
7.別離
8.裏切りのサーカス
9.ミッドナイト・イン・パリ
10.007 スカイフォール
自分は
1.アルゴ
2.ヒューゴの不思議な発明
3.TIME/タイム
4.戦火の馬
5.ミッドナイト・イン・パリ
6.007 スカイフォール
7.オレンジと太陽
8.桃さんのしあわせ
9.ロック・オブ・エイジズ
10.人生の特等席
邦画も洋画も“この一本”というはなかったと思う。廣木隆一監督の『RIVER』はずっと画面が上下に揺れていたので“船酔い”状態になって思わず目を閉じた。長い間映画を見てきたが、こんな体験は初めて。映画の出来、不出来を論じる以前に、生理的にワーストワン。
ドイツからの亡命監督フリッツ・ラングが撮った西部劇。モノクロ版とテクニカラー版がある。主役はランドルフ・スコットではなく、ロバート・ヤング。
さて、このラングのほかにも、ダグラス・サーク、マイケル・カーティス、ルドルフ・マテ、チャールズ・ビダー、ロバート・シオドマーク、ウィリアム・ディターレ…といった、第二次大戦前、ナチスドイツから逃れてアメリカに渡った亡命監督たちがいる。不思議なのは、ビリー・ワイルダーを除いて、彼らが皆西部劇を撮っていることだ。
いきなりアメリカの荒野に行かされて、彼らはどんな気持ちで西部劇を撮っていたのだろうか、という疑問が湧く。そのせいか、この映画も、西部劇にしては妙に思えるところがある。
双葉十三郎さんは「ぼくの採点表」の中で、この映画について「西部劇の醍醐味ともいうべき場面が、思ったほど生きていない。これらは、監督が生粋の“西部魂”を持っているかどうかで決まる問題だろう」と書いている。そういうことなのかもしれない。
『西部魂』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3d726c0cf7266b9488afde14cfe6ed46
結果は
1.ジャージー・ボーイズ
2.インターステラー
3.ゴーン・ガール
4.6才のボクが、大人になるまで。
5.グランド・ブタペスト・ホテル
6.そこのみにて光り輝く
7.百円の恋
8.ウルフ・オブ・ウォールストリート
9.ラッシュ/プライドと友情
10.紙の月
自分は
1.ジャージー・ボーイズ
2.アバウト・タイム~愛おしい時間について~
3.インターステラー
4.小さいおうち
5.ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
6.ウルフ・オブ・ウォールストリート
7.her/世界でひとつの彼女
8.オール・ユー・ニード・イズ・キル
9.野のなななのか
10.滝を見にいく
ここ数年、「これは絶対に1位だ」というような映画にめぐり会えていない。大傑作も大愚作もない“映画の平均化”が進んでいる気がする。2014年は、私事ではかつての映画の友との別れがあり、なじみの映画館の閉館、健さんや文太といったスターの死など、寂しい話題が多い年だった。キネ旬1位の『そこのみにて光輝く』と『渇き。』は、作り手が確信犯的に見る側を不快にさせるようなところが感じられ、どうしても好きになれなかつた。
結果は
1.マッドマックス 怒りのデス・ロード
2.セッション
3.海街diary
4.アメリカン・スナイパー
5.恋人たち
6.スター・ウォーズ/フォースの覚醒
7.バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
8.イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
9.バクマン。
10.ナイトクローラー
自分は
1.消えた声が、その名を呼ぶ
2.スター・ウォーズ/フォースの覚醒
3.ジュラシック・ワールド
4.Dearダニー 君へのうた
5.イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
6.バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
7.セッション
8.はじまりのうた
9.アメリカン・スナイパー
10.マッドマックス 怒りのデス・ロード
昨年は、マッドマックスにターミネーターに恐竜たち、イーサン・ハントにジェームズ・ボンド、そしてルーク・スカイウォーカー&ハン・ソロ&レイア姫、最後はロッキー・バルボア、といろいろなキャラクターがスクリーンに戻ってきた。それらは懐かしくもあり、楽しくもあったのだが、同時に、全く予想外の映画が見たいという思いも浮かんできた。『消えた声が、その名を呼ぶ』が、まさに滑り込みでその欲求を満たしてくれた。