それから何回かサツキと一緒に通学したけれど、二人きりになる事も、告白する勇気もなくて延ばしに延ばした卒業式も迫った3月の初め。学校前のバス停に行くとサツキ一人だけがバスが来るのを待っていた。これはチャンスじゃないかとドキドキしたけど、悟られまいと普通に声をかけた。
「おう。今帰りか?」
「うん。寛太がこの時間に帰るのって珍しいね。」
「おぅ。もう、部活にも行く理由もなくなったしなぁ。さつきはいつもこの時間なのか?」
「そうだよ。生徒会が無い時はいつもこの時間に帰ってたよ。」
「さすがだな。本校初の女性生徒会長。」
そう言うと、頬をふくらませて、
「その言い方やめてくれない。」と、少し怒ったように言った。
「ごめん、ごめん。冗談だよ。けど、二人で帰るのって久しぶりだよな。」
「あ~、そうね。何年ぶり?」
「たしか、一年の・・・クラブに入るまでの数日だけじゃなかったかな。」
「ああっ、そうだ。寛太ってすぐに野球始めたものね。けど、なんで3年生の2月までクラブ活動に参加してたの? 」
「早く家に帰っても仕方がないからだよ。」
「駄目じゃない。家の手伝いしなきゃ。」
「冬はいいんだよ。まき割りは済ましてあるし、もう麦は作ってないし。」
「二毛作止めたの?」
「うん。親父も働きに出てるしね。畑仕事は婆ちゃんの仕事だし、大変な事は休みの日にでも手伝えるしね。」
「ふ~ん。そうなんだ。」
「そうだ。婆ちゃんがサツキちゃんは元気にしているのかって言ってたぞ。メイちゃんは時々婆ちゃんに会いに来るけど、サツキは高校に入ってからぱったり来なくなったから心配してたぞ。」
「ごめん。なんか、自然に足が遠のいちゃって。おばあちゃんには元気ですって伝えといて。」
「わかった。伝えておくよ。でも、たまには会いに来てくれよ。婆ちゃんも喜ぶし。」
「・・・うん。」
サツキは少し間をおいてから小さく頷いた。僕はその間がなんなのか気になったが、ここは聞かないほうがいいだろうと思って聞こうとした言葉を飲み込んだ。
「おう。今帰りか?」
「うん。寛太がこの時間に帰るのって珍しいね。」
「おぅ。もう、部活にも行く理由もなくなったしなぁ。さつきはいつもこの時間なのか?」
「そうだよ。生徒会が無い時はいつもこの時間に帰ってたよ。」
「さすがだな。本校初の女性生徒会長。」
そう言うと、頬をふくらませて、
「その言い方やめてくれない。」と、少し怒ったように言った。
「ごめん、ごめん。冗談だよ。けど、二人で帰るのって久しぶりだよな。」
「あ~、そうね。何年ぶり?」
「たしか、一年の・・・クラブに入るまでの数日だけじゃなかったかな。」
「ああっ、そうだ。寛太ってすぐに野球始めたものね。けど、なんで3年生の2月までクラブ活動に参加してたの? 」
「早く家に帰っても仕方がないからだよ。」
「駄目じゃない。家の手伝いしなきゃ。」
「冬はいいんだよ。まき割りは済ましてあるし、もう麦は作ってないし。」
「二毛作止めたの?」
「うん。親父も働きに出てるしね。畑仕事は婆ちゃんの仕事だし、大変な事は休みの日にでも手伝えるしね。」
「ふ~ん。そうなんだ。」
「そうだ。婆ちゃんがサツキちゃんは元気にしているのかって言ってたぞ。メイちゃんは時々婆ちゃんに会いに来るけど、サツキは高校に入ってからぱったり来なくなったから心配してたぞ。」
「ごめん。なんか、自然に足が遠のいちゃって。おばあちゃんには元気ですって伝えといて。」
「わかった。伝えておくよ。でも、たまには会いに来てくれよ。婆ちゃんも喜ぶし。」
「・・・うん。」
サツキは少し間をおいてから小さく頷いた。僕はその間がなんなのか気になったが、ここは聞かないほうがいいだろうと思って聞こうとした言葉を飲み込んだ。