「でも、このオムライス、本当に母さんが作ってくれたみたいだわ。」
そう言うと、姉はしんみりと「・・・母さんが亡くなってから5年になるかしらね・・・。」と、呟いた。
「もうそんなに経ったのかぁ・・・。早いものねぇ。」
と、言うと姉は真剣なまなざしで私を見て、
「ねぇ。あなた知ってた? あなたが私達に黙って彼の家に泊り込んでいた時、だれよりも心配してたのは母さんだって。」
と、私が知りえない母さんの心情を吐露した。
「えっ。なに。母さんは私の好きなようにさせてくれてたんじゃないの? 」
すごく動揺した。それは、そんなそぶりを一切見せた事のない母さんに安心しきっていたからだ。
「あなたは本当に馬鹿だわ。一番おろおろしてたのは母さんなのよ。 あなたが、型破りな恋愛する度に、母さんいつも、「大丈夫なのかしら、本当に大丈夫なのかしら」って言っていたのよ。」
「ええっ。そんなのしらない! だって、母さんいつも優しくお帰りって言うだけだったもの。」
「あなたが無茶をする度に母さんはすごく心配して、あなたはそれが当然だって顔をしていた。母さんは心配している事をメイには言わないでって父さんと私に言っていたから我慢してたけれど、あの頃のあなたの行動は幼いとはいえ本当に腹立たしかった。」
姉の口調が少し厳しくなった。当時、姉が私を避けていたのは、私のように自由に振舞えないからだとずっと思いこんでいた。子供の頃の事とはいえ、ただただ自分の未熟さに恥ずかしくなっていた。
「・・・。」
「まぁ、幼い頃の事だからもういいけれど、今日はきちんと母さんに謝るのよ。」
「・・・うん。ごめんなさい。」
ケチャップ味のオムレツがほろ苦い味に変わってゆく。私が笑うたびに、泣くたびに、落ち込むたびに、作ってくれたオムライスにそんな思いがあったとは思わなかった。目頭がジワリと熱くなるのが自分でも判った。すると姉さんがつぶやくように言った。
「母さんはいつも優しかったわね。最後の最期まで・・・。」
「うん。優しかったわ・・・。だってあの時母さんが私達に説教してくれなければ、今頃私達こんな風に向き合ってご飯なんか食べていられないと思う。」
「・・・確かにそうね。」
そう言うと、姉はしんみりと「・・・母さんが亡くなってから5年になるかしらね・・・。」と、呟いた。
「もうそんなに経ったのかぁ・・・。早いものねぇ。」
と、言うと姉は真剣なまなざしで私を見て、
「ねぇ。あなた知ってた? あなたが私達に黙って彼の家に泊り込んでいた時、だれよりも心配してたのは母さんだって。」
と、私が知りえない母さんの心情を吐露した。
「えっ。なに。母さんは私の好きなようにさせてくれてたんじゃないの? 」
すごく動揺した。それは、そんなそぶりを一切見せた事のない母さんに安心しきっていたからだ。
「あなたは本当に馬鹿だわ。一番おろおろしてたのは母さんなのよ。 あなたが、型破りな恋愛する度に、母さんいつも、「大丈夫なのかしら、本当に大丈夫なのかしら」って言っていたのよ。」
「ええっ。そんなのしらない! だって、母さんいつも優しくお帰りって言うだけだったもの。」
「あなたが無茶をする度に母さんはすごく心配して、あなたはそれが当然だって顔をしていた。母さんは心配している事をメイには言わないでって父さんと私に言っていたから我慢してたけれど、あの頃のあなたの行動は幼いとはいえ本当に腹立たしかった。」
姉の口調が少し厳しくなった。当時、姉が私を避けていたのは、私のように自由に振舞えないからだとずっと思いこんでいた。子供の頃の事とはいえ、ただただ自分の未熟さに恥ずかしくなっていた。
「・・・。」
「まぁ、幼い頃の事だからもういいけれど、今日はきちんと母さんに謝るのよ。」
「・・・うん。ごめんなさい。」
ケチャップ味のオムレツがほろ苦い味に変わってゆく。私が笑うたびに、泣くたびに、落ち込むたびに、作ってくれたオムライスにそんな思いがあったとは思わなかった。目頭がジワリと熱くなるのが自分でも判った。すると姉さんがつぶやくように言った。
「母さんはいつも優しかったわね。最後の最期まで・・・。」
「うん。優しかったわ・・・。だってあの時母さんが私達に説教してくれなければ、今頃私達こんな風に向き合ってご飯なんか食べていられないと思う。」
「・・・確かにそうね。」