「トトロ!!」
「思い出した? 」
はっきりとではないけれど、ほこりをかぶっていた記憶の中にそんな響きがかすかに残っている。
そう思うと「トトロ」と呼んでいた生き物に私は会っている気がする。
「うーん。思い出しはしないけれど、言われてみればそんな事があったかもしれない。」
「なんだかおぼろげだわね。」
「それで、姉さんが助けてもらったというのも、トトロなの? 」
「そうよ。間違いないわ。フクロウでもなくうさぎでもなく、しかも2足歩行の生き物・・・。いや。生き物ではないかもしれない・・・。だから印象深いのよ。 」
「え~。そんな変な生き物なのになんで私は覚えてないんだろう。」
「それは・・・。やっぱり小さかったからじゃない? 」
「そうかなぁ。寛太兄ちゃんと遊んでいた事は覚えているのに・・・。」
「う~ん。そうね。そう考えると不思議だわね。」
「そうよ。変だわ。」
「でもね。私も母さんが療養から帰って来たのを境に、ススワタリも次第に見えなくなって、トトロも母さんが帰ってくる前日の夜に、塚の森の大クスの先に立っている姿を観たのが最後だった。とにかく満月が綺麗な夜だったから印象深く記憶に残っているわ。メイは最後に観たのはいつだったか覚えてる? 」
そう問いかけられて考えたけれど、やっぱり思い出せない。
「・・・ぜんぜん思い出せない。」
「そうかぁ。でも、無理もないわね。メイったら母さんが帰ってきたら母さんにべったりだったものね。」
「うん。母さんが家に帰ってきてくれて、すごく嬉しかったもの。」
「それは、覚えているのね・・・。不思議ねぇ。傘をあげたことはまだしも、猫のお化けのバスに乗ったことなんて、非科学的でそれこそ夢物語のような出来事なのに忘れてしまうなんてねぇ。」
そこまで言われてしまうと思いだせないのがかえって悔しい。でも、本当に思いだせないのだから仕方がない。
「やめた。」
「えっ。」
「思い出せないから。思い出すのやめた。」
「あらあら、あなたらしいわね。」
そう言って姉は微笑んだ。そして「あら、もうこんな時間。そろそろお昼ご飯の準備をしなくては。」と言って席を立った。
「思い出した? 」
はっきりとではないけれど、ほこりをかぶっていた記憶の中にそんな響きがかすかに残っている。
そう思うと「トトロ」と呼んでいた生き物に私は会っている気がする。
「うーん。思い出しはしないけれど、言われてみればそんな事があったかもしれない。」
「なんだかおぼろげだわね。」
「それで、姉さんが助けてもらったというのも、トトロなの? 」
「そうよ。間違いないわ。フクロウでもなくうさぎでもなく、しかも2足歩行の生き物・・・。いや。生き物ではないかもしれない・・・。だから印象深いのよ。 」
「え~。そんな変な生き物なのになんで私は覚えてないんだろう。」
「それは・・・。やっぱり小さかったからじゃない? 」
「そうかなぁ。寛太兄ちゃんと遊んでいた事は覚えているのに・・・。」
「う~ん。そうね。そう考えると不思議だわね。」
「そうよ。変だわ。」
「でもね。私も母さんが療養から帰って来たのを境に、ススワタリも次第に見えなくなって、トトロも母さんが帰ってくる前日の夜に、塚の森の大クスの先に立っている姿を観たのが最後だった。とにかく満月が綺麗な夜だったから印象深く記憶に残っているわ。メイは最後に観たのはいつだったか覚えてる? 」
そう問いかけられて考えたけれど、やっぱり思い出せない。
「・・・ぜんぜん思い出せない。」
「そうかぁ。でも、無理もないわね。メイったら母さんが帰ってきたら母さんにべったりだったものね。」
「うん。母さんが家に帰ってきてくれて、すごく嬉しかったもの。」
「それは、覚えているのね・・・。不思議ねぇ。傘をあげたことはまだしも、猫のお化けのバスに乗ったことなんて、非科学的でそれこそ夢物語のような出来事なのに忘れてしまうなんてねぇ。」
そこまで言われてしまうと思いだせないのがかえって悔しい。でも、本当に思いだせないのだから仕方がない。
「やめた。」
「えっ。」
「思い出せないから。思い出すのやめた。」
「あらあら、あなたらしいわね。」
そう言って姉は微笑んだ。そして「あら、もうこんな時間。そろそろお昼ご飯の準備をしなくては。」と言って席を立った。