楽しいおしゃべりと美味しいご飯を堪能した後、約束だったお墓参りに出かけた。霊園は寺島の家から車で10分ほどの距離にあるから、大通りからタクシーに乗るとあっという間に到着した。私達は霊園前の花屋で墓前に供える花を買ったのち、管理所でバケツと柄杓を借りて、二人して父さんと母さんが眠るお墓まで歩いた。
霊園内の木々は冬の準備を始めていて、季節の変わり目を告げるかのように、北風に吹かれた落ち葉が道路の上を転げまわっていた。平日の午後だけあって人の姿は見えない。霊園内の細い道を姉と二人で黙々と歩くのも久しい。
お墓は姉が2カ月に一回は訪れているというだけあって、とても手が行き届いていた。
私が花受の水を入れ替え、花を供えている間に、姉は線香に火をともし墓前に供えてからしゃがむと、静かに合掌して墓石に語りかけた。
「父さん母さん。メイを連れてきたわ。母さんの言われた通り力を合わせて生きているわ。」
私も合掌をして心の中で「母さん。いっぱい心配掛けてごめんね。」と謝った。
墓前で線香が燃え尽きてゆく様をしばらく見つめていると、姉は「母さんにきちんとあやまったでしょうね。」と念を押して来た。「もちろんよ。」と答えると、姉はかるく頷いてから「よっこいしょ。」と言って立ちあがった。
「さあ、帰りましょうか。」
「うん。」
「なんだか、すっきりしたわ。」
「本当にごめんなさい。」
「もう、気にしてないわ。だって母さんにきちんと謝ったんだもの。」
姉はそう言って微笑んだ。その笑顔を見て、30年以上もの間、ずっと心の底にあったもやもやした気持ちがゆるやかに溶けてゆく感じがした。そして、軽やかに私の前を歩いてゆく姉の背中を見て、やっぱりお姉ちゃんはいつだって変わることのない私のお姉ちゃんなんだと思った。
霊園内の木々は冬の準備を始めていて、季節の変わり目を告げるかのように、北風に吹かれた落ち葉が道路の上を転げまわっていた。平日の午後だけあって人の姿は見えない。霊園内の細い道を姉と二人で黙々と歩くのも久しい。
お墓は姉が2カ月に一回は訪れているというだけあって、とても手が行き届いていた。
私が花受の水を入れ替え、花を供えている間に、姉は線香に火をともし墓前に供えてからしゃがむと、静かに合掌して墓石に語りかけた。
「父さん母さん。メイを連れてきたわ。母さんの言われた通り力を合わせて生きているわ。」
私も合掌をして心の中で「母さん。いっぱい心配掛けてごめんね。」と謝った。
墓前で線香が燃え尽きてゆく様をしばらく見つめていると、姉は「母さんにきちんとあやまったでしょうね。」と念を押して来た。「もちろんよ。」と答えると、姉はかるく頷いてから「よっこいしょ。」と言って立ちあがった。
「さあ、帰りましょうか。」
「うん。」
「なんだか、すっきりしたわ。」
「本当にごめんなさい。」
「もう、気にしてないわ。だって母さんにきちんと謝ったんだもの。」
姉はそう言って微笑んだ。その笑顔を見て、30年以上もの間、ずっと心の底にあったもやもやした気持ちがゆるやかに溶けてゆく感じがした。そして、軽やかに私の前を歩いてゆく姉の背中を見て、やっぱりお姉ちゃんはいつだって変わることのない私のお姉ちゃんなんだと思った。