「ふ~ん。そんなことあったのね。」
「でも、今考えてみても本当に不思議な体験だったわ。子供の頃は純粋だったからそれが何かよくわからなくてもよかったのだけれど、大人になってから再び体験すると捉え方や感じ方が変わるから、どうにもおさまりがつかないのよね。」
遭難しかかった想い出を静かに語る姉の話に聞いて、疲れきって帰宅した理由がようやく分かった。
「そうだったのね。だから、あの日だけぐったりしていたのね。」
「いつもの登山なら山岳部の人達に甘えていればいいのだけれど、あの日の責任はすべて私にあった。だから、みんなを無事下山させなければならないという使命感で、ずっと神経を張り詰めていたから本当にくたびれたわ。」
「ふ~ん。でも、それが私の4歳の時の話とどうつながるのよ。」
「えっ。話聞いてなかったの? 」
「聞いてたわよ。」
「だったら分かるわよね。」
「だからなにが? 」
そう答えると、姉は深くため息をついた。
「だから、私が助けてもらった、不思議な生き物の事よ。」
「う~ん。生き物って言われても・・・。」
「ほんとに覚えてないのね。」
「うん。覚えてない。4歳の頃の事って覚えてるわけないじゃない。」
「・・・そうね。たしかに記憶を留めておくには少し小さすぎるかもね・・・。じゃあ、その時の事を話してみるわね・・・。」
そう言うと、私が4歳の時、七国山病院に療養している母に一人で会いに行き、迷子になった話をしてくれた。たしかに、そのような記憶がとぎれとぎれには残っているけれど、はっきりとした事は思い出せずにいた。でも、その名を聞いてハッとした。
「それで、本当に困ってしまって、大クスを棲みかにしていたトトロって言う生き物に助けを乞うたのよ。」
「でも、今考えてみても本当に不思議な体験だったわ。子供の頃は純粋だったからそれが何かよくわからなくてもよかったのだけれど、大人になってから再び体験すると捉え方や感じ方が変わるから、どうにもおさまりがつかないのよね。」
遭難しかかった想い出を静かに語る姉の話に聞いて、疲れきって帰宅した理由がようやく分かった。
「そうだったのね。だから、あの日だけぐったりしていたのね。」
「いつもの登山なら山岳部の人達に甘えていればいいのだけれど、あの日の責任はすべて私にあった。だから、みんなを無事下山させなければならないという使命感で、ずっと神経を張り詰めていたから本当にくたびれたわ。」
「ふ~ん。でも、それが私の4歳の時の話とどうつながるのよ。」
「えっ。話聞いてなかったの? 」
「聞いてたわよ。」
「だったら分かるわよね。」
「だからなにが? 」
そう答えると、姉は深くため息をついた。
「だから、私が助けてもらった、不思議な生き物の事よ。」
「う~ん。生き物って言われても・・・。」
「ほんとに覚えてないのね。」
「うん。覚えてない。4歳の頃の事って覚えてるわけないじゃない。」
「・・・そうね。たしかに記憶を留めておくには少し小さすぎるかもね・・・。じゃあ、その時の事を話してみるわね・・・。」
そう言うと、私が4歳の時、七国山病院に療養している母に一人で会いに行き、迷子になった話をしてくれた。たしかに、そのような記憶がとぎれとぎれには残っているけれど、はっきりとした事は思い出せずにいた。でも、その名を聞いてハッとした。
「それで、本当に困ってしまって、大クスを棲みかにしていたトトロって言う生き物に助けを乞うたのよ。」