日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

戻り川

2013年08月03日 | エッセイサロン
            

 子どものころから授業の音楽は苦手な学科の1番手。その理由は簡単、とにかく歌うことが下手だから。いつからそう思いはじめたのか記憶にないが、小学校低学年のころからと思う。だから、人前で自ら歌う、歌ったというこれまた記憶にない。「歌を唄はなくていい宴会は大好き」社会人になってからの独りごとだった。

 実業高校には音楽教科はなく助かった。社会人の年数を重ね職種が変わるなどして、独りごとをいっていては済まなくなる時が来た。それならと、カラオケの演奏にどうにかついていける何曲かを選んで、片道20分の通勤車中、運転しながらCDで耳学習した。今、売込中の英会話教材と同じ方法、あの時、カラオケでなく英会話を流していたら、思っても何も返っては来ない。

 久しぶり、そう何年振りかにカラオケに行った、いやついて行った。何もかもはじめてな感じで、浦島太郎とはこのことだろう。何か、と促されて曲名を思い出すことから苦労する。備えてある曲目や歌手の一覧の薄い冊子の内容の大方を知らない。そして演歌など見当たらない感じ。それでも同行者の歌を聞くうち少し感が戻った。

 気にいっていた歌は五代夏代の「戻り川」。♪ 涙見せたらあなたが困る いいのいいのよ 眠った振りして闇の中 足音が遠ざかる 追いかけて風が哭く 愛しても ふたり渡れない 戻り川 ♪

 演歌らしい歌詞も曲もいいが、これほどの素晴らしい背景映像をほかに知らない。全編が岩国だった。半月庵、錦川、錦帯橋、吉香公園が紹介されていた。錦帯橋と錦川のカメラアングルは素晴らしかった。出張先で歌うことがあれば「岩国観光大使」気分で紹介した。

 退職してしばらくたって後輩からの呼び出しで飲んだ時、「カラオケ戻り川」の背景は近代的な都会の街中を若い男女がただ歩くだけ、演歌の味は消えていた。これも時代の流れだろうか。それから後、チャンスはあってもこの曲を指名したことはない。
コメント
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