2013年08月26日 毎日新聞「はがき随筆」掲載
暑き日が来ると思い出す。世界で初めて原爆が投下された日、父は命ぜられて、岩国から広島へ自転車で向かった。
核兵器とは知らぬまま、直後の惨状を目にしただろう。その様子を聞こうとすると顔をしかめる。話すことがつらい、その表情から読み取れた。
ただ、一つ残してくれた話。「人も犬も馬も、頭から防火用水槽につかっていた」。被爆された人は、水を求めながら亡くなったと聞く。残してくれた話はその一コマだろう。
父は50代半ばで急逝した。葬儀の日、とても暑い日だったのは偶然だろうか。
暑き日が来ると思い出す。世界で初めて原爆が投下された日、父は命ぜられて、岩国から広島へ自転車で向かった。
核兵器とは知らぬまま、直後の惨状を目にしただろう。その様子を聞こうとすると顔をしかめる。話すことがつらい、その表情から読み取れた。
ただ、一つ残してくれた話。「人も犬も馬も、頭から防火用水槽につかっていた」。被爆された人は、水を求めながら亡くなったと聞く。残してくれた話はその一コマだろう。
父は50代半ばで急逝した。葬儀の日、とても暑い日だったのは偶然だろうか。