日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

川の流域の生物生き延びて

2015年08月06日 | エッセイサロン


2015年08月06日 朝日新聞「声」掲載

 国の名勝、錦帯橋で知られる錦川の流域にすむ野鳥をテーマに、写真展が開かれた。私は、流域の自然の豊かさに目を見開かされる思いがした。

 撮影地域は、錦川の源流から瀬戸内海に至る100キロ余り。作品は、野鳥の美しさだけでなく、生息環境や野生ならではの生態も捉えているのが印象的だ。

 ブッポウソウがトンボを捕らえ巣へ向かう連写、アカショウビンが抱卵している穏やかな姿。人と変わらぬ親子愛を感じさせる。

 錦川の支流で撮ったというオシドリ300羽が群れる1枚は、自然環境が保たれている様子がみてとれ、うれしくなった。カワセミが羽ばたき空中に浮く姿は、羽の色彩が美しく溶けあい、まるでアニメの世界から飛来したようだ。

 野鳥たちに共通するのは、油断のない鋭い目。野生の力強さを感じさせる。撮影者の写真家からは「何時間も待機して撮った1枚ばかり」と聞いた。

 野生生物の減少が各地で危惧されている。錦川も上流で新たなダムを建設中だ。川の流域の生き物が生き延びて欲しい。そう思いつつ、帰路についた。
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