
「考える人」と聞かれたらロダン作と答える。ではロダンの他の作品に何があるかと問われたら答えられない。教科書に載っている一つだけを物知り顔で言っている。その「考える人」という命名はロダン没後にこの作品を鋳造した職人がつけたという。当初は「詩人」と名づけられていたが、作品の感じからは考える人がいい、そう思う。
「これは、考える人」と子どもに教えたら「人ではない彫刻だ」と答えたという噺を聞き、子どもはなんと正直なんだろうと感じた事がある。この考える人の姿勢が注目を浴びているという複数の報道がある。注目しているのは医者で「考える人の前傾姿勢は洋式トイレで排便しやすくなる」と外国の医学誌に発表したという。そのさい、片手にあごを乗せても効果は上がらないそうだ。
ロダンは著名なフランスの彫刻家(1840~19217年))、なんの関係もないが私より100歳年上になる。この作品はロダン40歳ころの作といわれるが、作品の姿勢が医学的に評価されるなどロダンは想像もしてなかっただろう。後世の評価に苦笑いしているのではなかろうか。
右手の肘を左足の腿に乗せ右手の手首を曲げ顎にあてている姿勢、これを長時間そのまま保つとしたら体は相当に無理するのではなかろうか、写真を眺めながら気づいた。ある人にこの話をしたら、民放ワイドショーで洋式便座に腰かけて排便の説明しているのを見たという。しかし、考える人に関係あったか否か考えてみたが思い出せなかった。悩んでいる人はお試しあれだが、効果への責任は負いかねる。