
小池都知事は「今も東京がベストという考えは変わっていない。東京都として同意することはできないが、最終権限を有するIOCの決定を妨げることはしない。あえて言うなら合意なき決定であります」と、不満をにじませながら、五輪4者協議で表明したと報道されている。これで2020五輪のマラソンと競歩は札幌開催に決まった。
五輪誘致に当たって「この時期は晴が多い、この時期は温暖である、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる、理想的な気候である」、こんな宣言を誰が発したか多くの人は記憶している。五輪を締めくくるマラソンが、東京の気候を気遣い開催地変更をIOCが決定した時、札幌も暑い日があるだろうが、東京より選手のためにはいいのでは、と感じた。選手は暑い東京に耐える練習を重ねている。暑さ対策もしているのに、今さら変更は理不尽、その意見もある。
マラソンは五輪の華と言われる。そこには短距離走とはまた違った妙を感じる。1964年の東京五輪の男子マラソン、その日、幸か不幸か交通事故で当て逃げされ負傷し休んでいる日だった。白黒のテレビ映像で観戦した。トップを黙々と走るエチオピアのアベベ選手の姿は今も思い浮かぶ。円谷選手が銅メダル、君原選手は入賞だった。
都知事は「合意なき決定」と発言、解決すべき課題を今後どう処理して行くのだろう。解決の先送りが出来ないことを思えば関係者の知恵を結集するしかない。経験からこういう時には実務を担う人、決して表に出ない人らに大きな負担がかかる。マラソン愛好家としては、陰で支える人らの苦労に頼るしかない。9カ月後と差し迫った中での敢闘に期待します。