ロイヤルブルーの空を背景に木守柿となった熟柿が見える。季節の光景を撮っておこうとカメラを取り出したところに小鳥が飛んできて、熟柿をついばみ始めた。またとないチャンスとカメラを向ける。ファインダーにメジロ、鉄則通りとりあえず1枚撮った。シャッター音か私の動きに気付いたか急ぐように飛び去った。再来を待つこと15分くらい、連写にしていればと後悔何とかの諺を思い出しながら、1枚でも撮れたことを良しとし立ち去った。
メジロを呼び寄せるといえば聞こえはいいが、格別のことをするわけではない。毎年、柑橘類の美味くなる時期に、半分に切ったものを皿にのせたり、棒に通して立てておく。庭木の枝に挿すこともある。義理堅いのか必ずやって来る。それも2羽が連れだって来て、1羽は近くの枝で監視する。交替でついばむ姿に野生の本能を感じながら、2羽のショーを見る。
そのショーをぶち壊すのは大型の鳥、わが家の場合はヒヨが邪魔に入る。メジロはヒヨが来る前に気配を察知し飛び去る。ミカン1個くらいヒヨはあっという間に食べつくす。メジロのために追い払っている。警戒心からか、メジロの再訪までには時間が必要になる。時には丸くなるほど膨らんでいる。何かを威嚇しているのだろうが、その相手を私には見えない。
子どもころに寺の境内で鳴き比べの大会が開かれていた。何十個と並んだ鳥かごから聞こえる声は同じに聞こえていたように思う。メジロは木にとまるとき、押し合うように沢山並んでとまることから「目白押し」という言葉が生まれたという。しかし、今はメジロは捕獲も飼育も禁止されている。貴重な鳥、今年も獲るでなしに撮らせてもらおう。