近くの小学校の運動場を囲むように幾本もの樹木が植えられている。四季それぞれの装いを見せる。花を咲かせ、葉の色を変え落葉する樹木もある。常緑樹は夏の日陰を提供しながら運動場の乾いて白い地面に陰を落とす。児童らが見えなくてもその姿は変わらない。その中で春の桜と秋の紅葉がやはり見ごたえがある。
こうした自然の変化を撮りたいと思ったら、樹木の下で時間を過ごしていた。いつからだろう、「部外者立入禁止」の表示が門扉に付けられた。それ以降は道路からの眺めだけになった。確かに、通りがかりとはいえ学校施設に足を踏み入れるのは遠慮すべきだろうが、自然の変わり様を見る、そんな軽い気持ちで、門扉から入っていた。
表示の狙いはよく分かる。子どもを巻き込む各種犯罪の頻発を考えれば、児童らの安全確保は学校に課せられた重要な使命の一つになる。その策の第一は部外者を校内に立ち入らせないことだ。校門も閉まっており、出入りする車は都度開閉しなければ通れない。物騒、「世間が騒がしく何が起きるか分からない」そんな危険な感じがする事を児童らには教えたくないが、安全のためには必要なのか。
そんな物騒な世情を知らぬ樹木は、繰り返し四季の装いをする。今年も鮮やかな秋から初冬への移ろいを黙って見せている。通りがかりの年配の婦人がモミジの落ち葉を2、3枚「栞にします」と拾った。拾われたモミジの葉はどんな栞になるのだろう。今年の紅葉ももうすぐ終わるが、モミジには思い出になる年になるだろう。