ある施設の玄関を出かけたとき、向かいの通路から来た人に「こんにちは」と挨拶した。ここでは知らぬ人でも時の挨拶をしている。すると「こんにちは、〇〇課におられた辰之仔さんですよね」と40代くらいの女性から返って来た。名前を訊ねると「平成元年に入社」した時の名前を告げられた。彼女のお父さんとは製造プラントで共に働いたことがある。残念なことに昨年、急逝されている。
当時勤務していた工場で採用も仕事の一つだった。その当時の女子採用状況は毎年50名前後、多い年にはそれを上回る採用数だった。現在との比較は適切でないかもしれないが、女子社員の多くが結婚するので退職、出産で退職をしていた。合理化も進めたが退職者の全カバーは無理で補充に頭を悩ました。平均すれば仕事を任せられるころに退職期が訪れていた。
ただ、応募者も多く選考にも頭を悩ました嬉しい思い出がある。人出の中で、散歩やスーパーなどで、その回数は少なくなったが、思いがけず今も声を掛けられることがある。先日はそんなOGの一人と出会った。その彼女が連れ立っているのは彼女の実父、その人とは子どもころに遊んだ中の一人、久しぶりの挨拶を交わす。そんな出会いにOGの驚いた顔が現役のころを偲ばせる。
何百人という若い人を迎え、見送って来た。退職から18年目、頭髪は薄くなり顔の張りも緩んできたが、どこかに現役のころを思い出してもらえるものが残っているのだろうか、声を掛けられるたび嬉しくもありありがたくも思う。仕事で大切にした「人への心掛け」、そのお陰かもかもしれない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます