啓蟄を過ぎたのだから、どんな生き物が目に付いても不思議ではない。といって、特に見たいとも思わない生き物もある。
現れるのが早いのか遅いのか知らないが、あの長くてくねくねしながら移動していく蛇をみた。草むらから出て道を横切り反対側の枯れた葦の中へ入っていった。葦の茂みでは小鳥の鳴き声が聞こえ続けている。少し心配だ。
その蛇にまつわる話。町なかではあまり見かけないが、電柱を支えるワイヤーの途中にじょうご、三角錐の底辺を上に向けた物が取り付けられている。これは蛇が電線まで上れないように工夫された蛇返し。蛇が電線へ絡みショート、停電になる事を防ぐ人間の知恵。
どうして蛇は電線へ上るのか、と尋ねたことがある。にわかには信じがたいと思ったが「電線にいる小鳥を狙って上る」というのが答えだった。蛇が地上から小鳥へ届くまでの時間がかかり過ぎるだろう、というのが疑問に思った理由だ。
蛇が蛇返しで困っているところをまだ見た事がない。鎌首もたげてうろうろするのだろうか。この蛇返し、何にでも巻きついて上る雑草のかずらも、そこからは上っていけません。これはカラスの巣を取り除く電気屋さんの話だけに納得する。
菜種梅雨が終われば桜に誘われるように雑草も繁茂する。そこには嫌なもの生き物も住み着ていよう。それでも、よく観察すると何か新しい事を見つけれるかも知れない。虫たちも春を待っていたのだから。
(写真:よく見かける蛇返し)
余り好き嫌いの無い方ですが、蛇は大嫌いです。もう少し寝ていて欲しいですね。
「蛇返し」、興味深く、面白く拝読いたしました。
見ればコロンブスの卵ですが、よくできていると感じます。
微笑ましいような、すまないような、そんな光景もあるのですか。